DV被害 新支援制度を 決算委員会第3分科会
投稿日:2017年04月10日

193-衆-決算行政監視委員会第三…-1号 平成29年04月10日

○斉藤(和)分科員 日本共産党の斉藤和子です。
 きょうは、女性の人権にかかわる問題について質問をさせていただきます。
 二〇〇一年に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV法が制定されました。お茶の水女子大学名誉教授の戒能民江氏が編著された「危機をのりこえる女たち」という本がございます。ここには、従来、夫婦げんかとして放置されてきた行為が、国家が責任を持って防止すべき暴力とみなされ、どっちもどっち、殴られる方にも悪いところがあると言われ続けてきた女性たちは、国家によって保護されるべき被害者となった。その後の法改正によって、被害者の自立支援も含めて行政の責務となり、国、自治体は被害者の立場に立った切れ目のない支援を担うことになったと書かれています。
 二〇一三年には、同居の交際相手まで対象範囲が拡大される改正も行われました。DV防止法によって、夫からの暴力が、ある種容認されていたものから、配偶者からの暴力は犯罪となる行為を含む重大な人権侵害であるという、認識を変える画期的なインパクトを社会に与えたもので、非常に重要だと考えます。
 DVの被害相談件数は年々増加をして、年間十万件を超えて、警察における配偶者の暴力事案等の相談件数も六万件を超えているという実態があります。DVは、残念ながら、減るどころかふえているというのがこの相談件数にもあらわれているというふうに思います。その上で、やはり初期の対応が私は非常に重要だというふうに考えております。
 まず、DV防止法の第三条三の三に、「被害者の緊急時における安全の確保及び一時保護を行うこと。」というふうにあります。この対応をする上で、非常に重要な判断が、一時保護するかどうかというのは、求められるというふうに考えるわけですけれども、一時保護の役割、重要性、そしてこの段階でどのような支援が必要と考えているか、明らかにしてください。

○吉田政府参考人 お答えいたします。
 夫等からの暴力などによって心身に被害を受けられた女性の方々、この方々を一時的に保護する施設としましては、今御指摘いただきましたように、全国にある婦人相談所に併設されております一時保護所、これは全国で四十七カ所ございますが、これが非常に重要な役割を担っているというふうに私ども考えております。
 この一時保護所におきましては、安全、安心な生活環境を提供するというために、居室等の生活空間あるいは一日のスケジュール構成、それ以外にも、衣食住全ての生活環境にわたって、利用していただく方々が不安感とか危険感を感じないように配慮をしていただくということが必要だというふうにまず思います。
 また、DV被害に遭われた利用者の方々、その多くが著しく心の健康を損ねておられるという場合が多いというふうに聞いておりますので、心理面接など、特に心理的な支援というものが求められているというふうに思います。
 このほか、利用者の方々御本人が自立に向けた手続などのために、例えば福祉事務所でありますとかハローワークなどに出向かれることもあります。そういう場合に、この一時保護所が同行支援するなどのことも現実において求められているということだと思います。

○斉藤(和)分科員 非常に重要だという御答弁がありました。本当に、やはり、わらにもすがる思いで助けを求めて来た方が、相談に来た人に、安全な場所で一時保護をし、支援を行っていくというのは非常に重要だというふうに考えます。
 政府は、二〇〇二年から、この一時保護を委託できるようにしています。これはちょっと質問通告が漏れてしまったんですが、一時保護を委託できるようにした理由、それから、直近の一年間で一時保護した人数と、そのうちの委託先での保護をされた人数を教えてください。

○吉田政府参考人 お答えいたします。
 まず、今、一時保護されている方々あるいは一時保護委託ということになっている方々の人数から御報告申し上げますと、平成二十七年度の数字といたしまして、まず婦人相談所に一時保護されている女性の数として五千百十七人、この方々に同伴する家族の方々もおられますので、そういう場合、その同伴家族の方々が四千五百七十七人、都合合わせまして一時保護されている方々が九千六百九十四人でございます。
 この内数でありますが、いわゆる一時保護委託された方々ということについて申し上げれば、まず女性が千五百十二人、同伴家族の方々が千七百八十七人、合わせまして一時保護委託されている方々が三千二百九十九人、先ほど申し上げました一時保護全体の九千六百九十四人の方々に対して約三四%というのが現在のまず数字でございます。
 その上で、これまで一時保護というところだけではなくて委託という仕組みまで拡大させていただきましたのは、現実問題、一時保護を行います婦人相談所の部分について、地域的な偏在があったり、あるいは、キャパシティーとしての定数もさることながら、やはりいろいろな事情を抱えておられる方々のことを考えますと、先行してあります婦人保護施設、それは公立の場合も民間もありますけれども、そういうところで持っておられる専門性などを活用して、必要な保護のニーズというものに対してきちっと地域地域で応えていただけるように、私どもとしては、仕組みとして一時保護委託というものの道を開いたという経緯かと思います。

○斉藤(和)分科員 一時保護をされた方の大体三割以上が委託先になっている。この間の推移を見ても、一時保護されている方の、同伴児童を含めると一万人ぐらいで推移をしている、そのうちの三、四割が委託先というようなことだと思います。
 被害を抱えている、今御答弁ありましたとおり、さまざまな問題を抱えて、しかも複雑化してきていらっしゃいます。そうした中で、やはりDV被害の支援に取り組んでこられた民間支援団体の皆さんにも御協力いただく、こういう支援は非常に私は重要だというふうに考えています。
 同時に、老人福祉施設やその他の保護施設などでも都道府県の判断で一時保護委託ができるようになっています。被害者の立場に立った切れ目のない支援をする上で、先ほども御答弁ありましたが、やはり必要な保護のニーズに合った、その人が必要としている必要な支援ができる場所に保護をしていくということが本当に求められると思います。
 と同時に、やはり私は、どの施設に行っても、少なくとも、一時保護所で受けられる心的カウンセリングや食事の提供、同行支援など、最低限の支援がどこに行っても受けられる体制、これをやはりきちんと国としても支援しながらつくっていく必要があるのではないかということを感じております。
 同時に、この支援をする上で、現在、委託費というのは一人当たり七千七百円、これは正直言って私は少ないというふうに感じます。しかも、同伴児童は、就学前は一人約四千五百円、小学生から十八歳までは二千四百円。これでは、やはり心的ケアも含めて十分な支援ができる額とははっきり言って言えない。
 そこで、大臣、ぜひ、この支援体制を委託先でもしっかり受けられるような体制と、あわせて本格的に委託費を増額する、こうした取り組みを進めていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○塩崎国務大臣 おっしゃるように、婦人相談所が一時保護を行う場合に、被害者の状況とか同伴する家族の有無などを勘案して、婦人相談所がみずから行うほか、婦人保護施設、母子生活支援施設、民間シェルター等、状況に応じ適切な一時保護委託先で保護することというふうになっているわけであります。
 一時保護を外部に委託する場合についても、入所者に対して、食事あるいは入浴、衣服を提供したり、入所者が行政機関を訪問する際に一緒に同行するといったような適切な支援がさまざま提供されるべきとなっていまして、それから、心理的なケアが必要な場合には、一時保護所の心理療法担当職員が委託先を訪問して、被害女性などに対して支援を行うということについて、都道府県に通知を、これは平成十四年に局長通知として行っていまして、こういう趣旨が実際に徹底をされているかどうかということについて、私どもとしてもしっかり見ていかなければいけないというふうに思います。
 委託費が不十分じゃないか、こういう御指摘をいただきましたが、必要な人件費や日常生活に必要な経費を勘案して定めておりまして、今後も、これらの経費の実態を踏まえて、今御指摘いただいたような問題意識も踏まえながら検討してまいりたいというふうに思います。

○斉藤(和)分科員 実態を踏まえて検討という、ぜひやっていただきたいと思うわけですけれども、一時保護をされた方の実に七二・七%が夫等からの暴力が理由です。子、親、親族、交際相手等を含めれば、全体の八五・一%が暴力被害となっている。心身ともに傷ついている相談者をしっかりと受けとめて回復へと導くためには、やはり心的ケアを十分に受けられる体制をどう確保していくかというのが非常に大事だというふうに思っております。
 一時保護所というのは、大体一県に一つですから、そうした面からも、心的ケアを行う人材をしっかり配置していく、そして委託先でも十分に心的ケアを受けられるようにしていく、これは本当に必要不可欠な、最低限の支援ではないかというふうに感じています。
 同時に、同伴児童の対応なんです。一時保護をされた、先ほど数字を御紹介いただきましたとおり、約一万人のうちの半数が同伴児童、子供たちが、厚労省の資料によりますと、乳児が一一・八%、幼児が四七・三%、全体の六割が小学生以下、三割が小学生で、同伴家族の九八%が十八歳未満というふうになっています。
 私、非常にこれは重要だと思うのが、一時保護を委託として行っている母子生活支援施設、この運営指針に、「目的」で、「子ども期における精神的・情緒的な安定と豊かな生活体験は、発達の基礎となると同時に、その後の成人期の人生に向けた準備でもある。」というふうに書かれていて、さらに、「回復をめざした支援」というところには、「子どもに応じた成長や発達を支える支援だけでなく、虐待体験や分離体験などによる悪影響からの癒しや回復をめざした専門的ケアや心理的ケアなどの治療的な支援も必要となる。」「子どもたちは、虐待体験だけでなく、家族や親族、友達、近所の住人、保育士や教師など地域で慣れ親しんだ人々との分離なども経験しており、心の傷や深刻な生きづらさを抱えている。」「こうした子どもたちが、安心感を持てる場所で、大切にされる体験を積み重ね、信頼関係や自己肯定感を取り戻していけるようにしていくことが必要である。」これが母子生活支援施設の運営指針に書かれていて、私はこれを読んで全くそのとおりだなというふうにも思いました。
 その点で、やはり一時保護というのは、まさにここで書かれている、分離体験のスタートというか始まり、悲しいですけれども始まりになってしまうわけです。一時保護の段階から、この運営指針に定められているような、子供たちがしっかりと心的なケア、専門的ケアが受けられるような支援体制にしていく必要があると思うんです。先ほども言ったとおり、委託費は四千五百円だったり二千四百円ですから、とても委託先でどうにかなるという問題ではありませんので、ぜひこうした子供への支援体制を強化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えいたします。
 今おっしゃっていただきました、一時保護された女性の同伴児童のお子さんたちについては、今るる御指摘いただきましたように、DVの目撃による心理的外傷ですとかあるいはネグレクトなどの不適切な養育の影響から、情緒面、行動面の問題を抱えておられるということも、残念ながら我々は報告を受けておりますし、その後のことを考えますと、やはり、私ども昨年の児童福祉法の改正で掲げましたように、養育というもの、将来に対しての発達というものを哲学として据えまして考えた場合には、それに対して、それぞれの状況に応じた個別的なケアというものがこの分野においても必要だというふうに強く認識してございます。
 このために、一時保護所あるいは一時保護の委託先であります施設などにおきまして、心理療法の担当をしていただく職員、あるいは同伴のお子さんたちに対して保育ですとかあるいは学習支援という形で支援を行う指導員の方々が配置できるように、その体制の確保にこれまで努めさせていただいております。
 さらに、この二十九年度の予算におきましては、この同伴児童の支援体制を強化するために、保育ですとかあるいは学習支援を行う指導員の配置の上限を上げまして、二名から三名に拡充をさせていただいております。
 このような取り組みを通じまして、引き続き、DV被害などに遭われた女性の方々はもとよりですが、その同伴のお子さんたちに対しても支援というものを強化してまいりたいと考えております。

○斉藤(和)分科員 学習支援や保育というお話がありましたが、私は、やはり心的ケアができるような体制も、一方で、早い段階から、傷ついている子供たち、なれ親しんできた人たちと離れる、しかも、お母さんはみずからが被害を受けて、みずからの意思で逃げてきているからいいんですが、子供にとっては、なぜ自分がこうなっているのかを理解できないまま来ているという子たちもいるわけで、その子たちに現状をわかってもらうような、そういう親身な体制というのは非常に求められているというふうに思うんです。
 大臣、私の青いノートというのを聞いたことがございますか。私の青いノートというのがあるんです。これは何かというと、家庭でDVを経験し、家を離れた子供たちのためのノートとして、家族でDVが起きると子供も巻き込まれる、子供たちの多くは、自分の意思とは関係なく、母親と一緒に大きな生活の変化を強いられる、今言ったとおりです。別に質問しません、これは何かという紹介なんです。
 これは何かというと、やはり子供たちに現状を理解してもらいたい、元気を取り戻してもらいたいというために、長崎のNPO法人の皆さんが、実際にスイスのシェルターで使われている心理教育テキストというのをもとに、みずから日本語訳をされてつくったのが、私の青いノートというものなんです。こういうものも民間の支援団体の皆さんは使いながら子供のケアをされている。こうしたところが決して抜け落ちないように充実を求めていきたいというふうに思います。
 私、一つ指摘しておきたいのは、そもそも、暴力は犯罪となる行為を含む人権侵害だと言われているんですけれども、しかし、隔離されるのは加害者ではなくて、被害者が身を隠し、これまでの生活や人間関係、つながりを奪われる、この支援のあり方、根本が、私は率直に言って矛盾を感じるわけですけれども、そこは指摘にとどめて、次の質問に移りたいと思います。
 次は、相談を受ける側の婦人相談員についてです。
 四月七日の日本経済新聞に、婦人相談員が対応した相談件数は、二〇一五年度三十一万三千六百五十七件というふうに出ておりました。婦人相談員は全国に千四百十五人いらっしゃいます。単純計算すると、一人大体二百件以上相談を受け持っているということになります。この婦人相談員は、売春防止法の三十五条で都道府県知事が委嘱するものとされ、市長は委嘱することができるという任意規定になっております。人口当たりの配置基準はありません。
 厚生労働省は、市区によって婦人相談員の対応が異なったり、相談支援の内容や質に格差が生じないようにということで、婦人相談員相談・支援指針というのを出しています。DVやストーカー、性暴力だけでなく、ありとあらゆる相談が持ち込まれているというのもこの指針を見るとわかるわけですが、昨年、婦人相談員を非常勤とするという規定は削除されました。処遇改善、そして研修の回数をふやすということも盛り込まれていますけれども、さらに、今、受けているDVの被害の相談件数がふえている実態、また女性が抱えているさまざまな複雑化する問題、こういうところからいって、その相談に乗っている婦人相談員、これをやはり、任意規定ではなくて、しっかりと処遇も改善するし配置の基準も設ける、こういう姿勢が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○塩崎国務大臣 今、婦人相談員の数について御指摘があって、平成二十八年四月一日現在で都道府県に四百八十二人、市や特別区に九百三十三人、合計で千四百十五人配置をされているということを今御指摘になられました。
 特に、市や特別区の相談員の数は年々増加しておりまして、平成二十二年と比較をいたしますと約一・五倍ということで、まさにこういった問題の現場は市や特別区になってきている、こういうことではないかというふうに思います。
 厚生労働省としては、市においても、それぞれの地域の実情に応じて婦人相談員を配置していただくべきものというふうに考えております。こういうことから、平成二十九年度予算、ここでは婦人相談員手当の国庫補助基準額を引き上げたところでございます。さらに、平成二十七年三月には、特に市や特別区の婦人相談員を念頭に、婦人相談員相談・支援指針というものを策定いたしまして、周知を図っているところでございます。さらに、これを教材として研修を行うなどの支援体制の強化を図っているわけであります。
 今後とも、婦人保護事業に尽力される婦人相談員の処遇改善にしっかりと努めてまいりたいというふうに思います。

○斉藤(和)分科員 処遇改善をされたということで、これは非常に私は重要だというふうに思います。それでも、十四万九千三百円ということですから、率直に言って、婦人相談員の高い専門性を持つソーシャルワーカーとしての位置づけからいくと少ないし、さらなる処遇改善が必要かなというふうに思います。
 同時に、現場から、生活困窮で相談に来る相談者の収入と相談員自身の収入に大差がない、相談員自身の自立が望めないというおかしな状況になっているという指摘も出てくるぐらいな状態です。また、任意規定に市や特別区がなっておりますので、全く婦人相談員が置かれていないというような自治体間格差も生まれている。ここを、都道府県や市に任せるのではなくて、国がきちんと責任を持って、人口当たりの配置基準も示していくというようなことも必要ではないかということを求めたいというふうに思います。
 婦人相談員にしても婦人相談所にしても、先ほど言った売春防止法第三十四条が根拠法になっております。それが、二〇〇二年にDV防止法が入り、二〇〇四年には人身取引被害者への支援が入り、二〇一三年にはストーカー被害女性の支援を婦人相談所で行うということが位置づけられてきたわけです。根拠法は変わらないけれども、役割はどんどんふえていっている。
 こうした中で、婦人保護事業にかかわっている皆さんからの声で、二〇一二年五月に婦人保護事業等の課題に関する検討会が設置をされています。そこで婦人保護事業等の課題に関する検討会のこれまでの議論の整理というのが出されておりますが、その中で、課題二、婦人保護事業の対象となる女性の範囲について、検討案には何と書かれているでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えいたします。
 御指摘いただきました報告書におきまして、対象となる女性の範囲につきましては、婦人保護事業の対象者の規定を実態を踏まえて見直し、包括的な定義及び具体的な定義を置くことを検討してはどうかという記述がございます。
 その報告書の中には、今申し上げました包括的な定義といたしましては、家族関係の破綻、生活困窮、売春など性暴力被害その他生活を営む上で困難な問題を有しており、現に保護及び支援を必要とする女性という、規定の一つの提案がございますし、具体的な定義につきましても、配偶者からの暴力を受けた、配偶者以外の親族、交際相手からの暴力を受けた、売春の経験等を有する者で、現に保護、支援を必要とする状態にあると認められる、人身取引被害者、さらには、家族関係の破綻、生活困窮、性暴力被害その他生活を営む上で困難な問題を有しており、かつ、その問題を解決すべき機関がほかにないために、現に保護、支援を必要とする状態にあると認められるというような方々を例示として、その定義を置くことを検討してはどうかというふうに盛り込まれていると承知をしております。

○斉藤(和)分科員 ちょっと時間がなくなってしまったので、その検討を受けてどういう対応をして、今後どうするかということは飛ばして、この間、こういう検討も受けて、婦人相談所のガイドラインだとか先ほどの指針なども出されたということがあります。
 やはりこの検討会でも指摘されているとおり、根本的には、この根拠法、売春防止法、これはあくまでも売春をした要保護女子を保護、更生するというふうになっているわけです。しかし、検討会でも、今御答弁ありましたとおり、さまざまな困難を抱えている、DVだとかストーカーだとか人身取引だとか、こうした方々に対する、ある意味、被害者女性の人権回復という視点は、はっきり言って抜け落ちているわけです。
 この状況の中で、やはり女性の人権擁護と自立を支援するという新たな法制度を考えていく必要があるんじゃないかということで、婦人保護事業にかかわる皆さんの中で検討会などもつくられて検討がされております。売春防止法が制定されてから六十年以上がたっております。売春防止法を見直すこととあわせて、やはり包括的な女性の人権尊重、社会的包摂を中身とするような法制度のあり方を真剣に検討する時期に来ているのではないかというふうに私は思うわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○塩崎国務大臣 昨年の通常国会で児童福祉法の改正を行いましたが、これも、昭和二十三年にたしかできた法律を大改正いたしましたが、もともとこの児童福祉法ができたのは、浮浪児対策、つまり道にいっぱい戦争孤児がいて浮浪児化していた、それに対するものとして法律ができ上がった、保護をするということで。したがって、施設中心でやってきた。しかし、事は全然変わってしまって、虐待による要保護児童化するというのが六割以上というふうになってきて、そして、去年、子供が健全な養育を受ける権利があるという、子供の権利を初めて明定をした法律にしたわけであります。
 今お話しのように、売春防止法ということ自体がおどろおどろしい名前でありますし、そもそも、婦人という言葉がクラシックな形で残っている数少ない法律であります。したがいまして、売春防止法を根拠法とする婦人保護事業を抜本的に見直すことについては、婦人保護施設の役割と機能や支援のあり方を明らかにすることを目的とした有識者による調査研究を実施して、その報告書が昨年三月に出てきたわけですね。
 去年の十一月には、与党のプロジェクトチームからも、性犯罪・性暴力被害根絶のための十の提言というのが出てきておりまして、その中でも、婦人保護事業の抜本的な見直しが指摘をされています。
 厚労省としては、これらの提言等を重く受けとめて、これは御案内のように、売春防止法は法務省と共管の法律で、厚労省だけでは物事を決められないということもございますが、婦人保護事業の運営の実態を踏まえた上で、弱い立場にあります被害女性の包括的な支援をどのように見直していくべきか、また子供たちを含めた家族の保護と健全育成をどう考えるのか、こういうこともしっかり、関係省庁と協力しながら、検討していかなければならないというふうに思います。

○斉藤(和)分科員 関係省庁ともぜひ真剣に検討していただきたい。
 やはり、人権侵害を受けた全ての女性たちに光が当てられて、見守られて、切れ目のない支援が受けられる、そういう中長期にわたる支援ができる体制をぜひつくっていただきたいということを、済みません、本当はAVの強要とJK、内閣府、ぜひ民間の支援を受けてということで、質問、時間ができませんで申しわけございませんでした。
 ありがとうございました。