既存添加物の安全性 一刻も早く確認を 3月8日 農水委員会 
投稿日:2017年03月08日

193-衆-農林水産委員会-3号 平成29年03月08日

○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
 食の安全にかかわって、消費者団体の中でも問題になっている、聞きなれないんですが、既存添加物の安全性の問題について質問します。
 WTO協定を受けた一九九五年の食品衛生法改正で、それまで天然添加物としていたものを既存添加物としてから二十二年になります。
 当時、千五十一品目あった天然添加物は野放し状態で、消費者からも、天然添加物の安全性を確かめて食品添加物の指定をすべきだという声が出されていました。
 しかし、当時の厚生省は、一九九五年の食品衛生法の改正で、千五十一品目あった天然添加物を安全性のチェックもせずに全て既存添加物として食品添加物の中に位置づけています。当時、消費者団体からも抗議の声が出されました。
 そこで、お聞きします。一九九五年の食品衛生法改正に際し、衆参の厚生委員会で附帯決議がなされています。この既存添加物に対してどのような附帯決議がなされているでしょうか。

○馬場大臣政務官 お答えします。
 一九九五年の食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案に対して、衆議院におきましては、「食品添加物の指定及び規格基準並びに残留農薬基準については、国際的基準も考慮しつつ、科学的根拠による安全性評価に基づき指定及び策定を行うとともに、最新の科学的知見に基づき適宜見直しを行うこと。特に、既存の天然添加物については、速やかに安全性の見直しを行い、有害であることが実証された場合には、使用禁止等必要な措置を講じること。」との附帯決議が付されております。
 また、参議院においても同趣旨の附帯決議が付されております。

○斉藤(和)委員 つまり、既存添加物について速やかに安全性の見直しを行い、有害であることが実証された場合には、使用禁止など必要な措置を講じるということが国会の意思として出されているわけです。
 では、この附帯決議に沿ってどのような安全性の見直しがされてきたのでしょうか。また、安全性の評価がいまだにされていない既存添加物はどの程度残っているのでしょうか。

○馬場大臣政務官 お答えします。
 平成八年度の既存添加物の安全評価に関する調査研究におきましては、既存添加物四百八十九品目について国際的な評価結果に基づき安全性の検討を行った結果、基本的な安全性が確認されていないなどから、百三十九品目については安全性の確認を迅速かつ効率的に行うべきとされました。
 その後、百三十九品目につきましては、順次、国内外の試験成績を収集するとともに、新たに毒性試験を実施して得られた知見を踏まえ、毒性学等の専門家による意見を聞きながら、安全性の評価等を行い、現時点では百三十五品目について評価を行っております。残り四品目ということでございます。
 また、現在、国際的な評価を含めた安全性評価がなされていない品目数は百十四品目であります。

○斉藤(和)委員 残り四品目というお話がありました。
 二〇一四年、平成二十六年の「既存添加物の安全性見直しの状況」という表が出されています。これを見ますと、「基原、製法、本質等からみて安全と考えられ、早急に検討を行う必要はない品目」というのが百九品目あります。これは、平成八年度の厚生科学研究「既存天然添加物の安全性評価に関する調査研究」、林班報告書というふうに言われているようですが、で判断されたものが土台になっています。
 このとき、当時、その厚生科学研究、平成八年の段階でアカネ色素はどのような評価になっていたでしょうか。

○北島政府参考人 事実関係でございますので、お答えさせていただきます。
 アカネ色素は、平成八年度の既存添加物の安全性評価に関する調査研究において、その当時入手できた各種安全性試験の成績に基づき評価が行われ、平成八年当時においては安全性の検討を早急に行う必要はないものと報告されております。
 その後、平成十年にドイツで実施された発がん性試験により発がん性を疑われる結果が得られたため、国立医薬品食品衛生研究所において新たに発がん性試験を行った結果、発がん性の可能性のある結果が得られました。
 これらの状況を踏まえまして、食品安全委員会において、アカネ色素については発がん性が認められ、ADIを設定できないと評価されたため、既存添加物から削除し、添加物としての使用を禁止したものでございます。

○斉藤(和)委員 つまり、平成八年の段階ではアカネ色素は安全だとされていたけれども、二〇〇四年、平成十六年段階で、遺伝毒性と肝臓への発がん性が認められているということで、使用を禁止され、削除されました。ですから、アカネ色素を安全だとしていた平成八年度の厚生科学研究の妥当性そのものが私は問われているというふうに思うわけです。
 その平成八年の段階で早急に検討を行う必要がないとされた百九品目についても、早急に安全性評価が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○北島政府参考人 お答えいたします。
 平成八年度の既存添加物の安全性評価に関する調査研究において、国際的な評価結果や欧米での許認可状況等を踏まえ、基本的に安全性が確認されていないなど、安全性の評価が早急になされるべきとされた百三十九品目の既存添加物のうち、現時点では評価が終了していない四品目については、引き続き早急に検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、流通実態のないものにつきましては、安全性の評価を行うまでもなく、食品衛生法に基づき既存添加物から消除することとなっております。
 また、御指摘のその他の既存添加物につきましても、安全性に係る情報の収集、検討を進めてまいりたいと考えております。

○斉藤(和)委員 その他に係る問題、つまり、早急に検討を行う必要がない百九品目についても検討を、今後安全性の確認を行っていくという答弁がありました。
 これは非常に私は重要だと思うんです。一番最初に附帯決議で読み上げていただいたところにも、「最新の科学的知見に基づき適宜見直しを行うこと。」というふうにされているわけです。科学の進展とともに新しい知見がわかれば絶えず更新される、そのもとで安全性を確かめていくということが必要だというふうに思うわけです。
 過去の知見に安住せずに、謙虚に安全性の評価を進めていくことが国会の決議でもありますし、その立場で既存添加物の問題も進めていくというお立場でよろしいでしょうか。

○馬場大臣政務官 お答えします。
 既存添加物は、御指摘のとおり、平成七年の改正食品衛生法附則第二条に規定されているものであります。これは、改正当時既に添加物として使用されていたものの取り扱いを定めたものでありますが、特に時限を区切った暫定的な制度とされているものではないと理解をしておるところであります。
 また、食品衛生法においては、既存添加物については法第十条の規定は適用しないとされておりますが、しかし、委員御指摘のような点もありますので、既存添加物については、国内外の試験成績を収集し、その試験成績について専門家による評価を進め、その結果について公表を行うとともに、安全性に問題があると認められる品目や流通実態のない品目については順次販売、製造を制限し、また規格基準の設定を進め、添加物としての品質や使用方法等を規制していくこととしております。
 こういったことにより、その品質や安全性を確保してまいります。

○斉藤(和)委員 品質や安全性を確保してまいるということです。
 既存添加物というのは、そもそも、食品衛生法の附則に、既存添加物に関する経過措置というところで位置づけられています。本来食品添加物は食品衛生法第十条に基づき指定をされているわけで、だからこそ、既存添加物も安全性をきちんと評価し、本来の指定制度の枠内に整理統合すべきではないかというふうに考えるわけですけれども、どのように今後進めていくお考えなのか、明らかにしてください。

○北島政府参考人 お答えいたします。
 既存添加物は、御指摘のとおり、先ほど政務官からお答えしましたとおり、平成七年の改正食品衛生法附則第二条に規定されているものでございます。これは、改正当時既に添加物として長年使用されていたものの扱いを定めたものでありますが、特に時限を区切った暫定的な制度としているものではないことから、法第十条の規定は適用されないという整理でございます。

○斉藤(和)委員 例外的にとして既存添加物が置かれている、それを私は整理統合して、しっかりと成分や規格、そして摂取量などもチェックをしていく、そういう方向にしていく必要があるのではないかというふうに考えるわけです。
 食品添加物の成分だとか規格を決めている食品添加物公定書、この第九版が出版される予定になっていますが、既存添加物三百六十五品目のうち、ここに載らない、収載されない予定の品目は何品目あるでしょうか。そして、本来、第九版公定書作成の基本方針でも、既存添加物などの規格を積極的に収載することとされています。にもかかわらず、収載されないものがあるのはなぜなのか、今後どのようにしていくのか、ぜひ明らかにしてください。

○北島政府参考人 御指摘の第九版食品添加物公定書に収載される予定のない既存添加物は百五十二品目となる予定でございます。
 食品添加物公定書への収載につきましては、その品目ごとに規格基準を設定する必要がありますが、そもそも天然物である添加物について、その特徴を踏まえ、含まれるべき成分とその量、色や形状等の物理化学的性質を決定する必要があること、また、流通している添加物を実際に入手して分析方法を開発する必要があることなどから、規格基準を定めるためには一定の時間を要するものもあります。
 引き続き検討作業を進め、規格基準の設定を行ってまいりたいと考えております。

○斉藤(和)委員 百五十二品目あるというお話でした。
 つまり、安全かどうか、現に使われているから大丈夫だということでいえば、平成八年の段階で大丈夫だと言われていたアカネ色素は発がん性があるということがわかったわけですから、この百五十二品目も、現に使われているから大丈夫だということではなくて、やはり附帯決議にあるとおり、最新の科学に基づいて早急に行っていく。私たちの口に入っていいという、ある意味お墨つきをつけているわけですから、その責任はぜひ感じていただきたいというふうに思うわけです。
 最後に農水大臣にお聞きしたいと思います。
 食品添加物は六次産業を推進する農業分野にもかかわる問題です。食の安全、安心について、ぜひ大臣の見解をお願いいたします。

○山本(有)国務大臣 御指摘の食品の安全確保、これに関しましては、農林水産省を初めとして、食品安全委員会、厚生労働省など関係省庁が一体となって取り組んでおるところでございます。
 農林水産省は、食料の生産から消費までの段階におきまして、適切な安全性向上対策を策定し、普及を図るとともに、生産資材の適正使用を推進しておるところでございます。さらに、食品に対する消費者の信頼を確保するため、食品表示の適正化に取り組んでもいるところでございます。
 具体的には、食品中の有害化学物質・微生物の含有実態の調査、科学的な根拠に基づいた生産から消費までの必要な段階における安全性向上のための指針等の策定、普及、農薬、飼料等の生産資材の適正使用のための規制、指導、食品表示法等に基づく適正な食品表示のための指導等を実施しております。
 以上、食品安全についてはこれからも万全を期してまいりたいというように思っております。

○斉藤(和)委員 ぜひ、食は命にかかわる問題ですので、省庁を挙げて全体で取り組んでいただきたいということを重ねて強調して、質問を終わります。
 ありがとうございました。