189-衆-農林水産委員会-9号 平成27年05月14日
○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
農林水産省設置法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
現在、北海道と沖縄を除き、全国を七つのブロックに分けて地方農政局が置かれ、そのもとに六十五カ所の地域センターと三十八カ所の支所が置かれています。先ほどもありましたが、全国に百三の地域の拠点を今回の改正は廃止する、そして、農林水産省は、農林水産業・地域の活力創造プランなどに基づく農政改革を現場で着実に推進するために、より機動的で、現場と農政を結ぶためとして設置を変えるとしていますが、北海道は六カ所の地域センターを五カ所に、そしてその他の都府県では県庁所在地に一カ所と、現在ある地域センター、支所を含めても、半分に拠点を縮小することになります。
明らかに、より現場と農政が離れると私は思うんですが、大臣はどのように認識をされていらっしゃるでしょうか。
○林国務大臣 現場と農政を結ぶ業務については、地方参事官とそのスタッフを県庁所在地に集約することで、県や農業団体等の幹部と定期的に情報交換をいたしまして、地域の農業の課題解決に向けた役割分担を調整するなど、県庁や農業団体と密接に連携をするということ、また、災害それから家畜伝染病等の緊急事態発生時において重点的に人員を投入すること等が可能となりまして、より一層効果を発揮することが期待をされます。
それから、今御指摘があったように、活動拠点を集約しても、地域の課題解決に必要な農政サービスが十分に提供されなければなりませんので、地方参事官とそのスタッフがやはり出向いていくということできめ細やかに対応していく考えでございます。
さらに、出向くだけではなくて、県それから農業団体、さらには市町村等々とやはり密接に連携しまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、こういう方々とネットワークを形成していただいて、これを活用しながら現場と農政を結ぶ業務を行うこととしております。
こういうことをすることによって、拠点そのものが集約される中にあっても、現場と農政を結ぶ機能がより効果的に発揮されるように対応していきたいと思っておるところでございます。
○斉藤(和)委員 きめ細やかな対応をということでしたけれども、実は、先ほどもありましたけれども、前回の改正法案の附帯決議で、人材の育成や、今大臣がお答えになられた地方公共団体等との連携を密にするということが既に書かれています。こうしたことをどう総括しているのかということと、あわせて、そもそも地域センターはできて三年半、地方農政事務所そして統計・情報センターなど三百四十六カ所あった全国の拠点を、六十五カ所と三十八カ所の支所、合わせて百三カ所に集約したわけですけれども、この間の取り組みをどう総括されているんでしょうか。
○林国務大臣 地域センターは、今、斉藤委員からお話がありましたように、二十三年の九月に、地方農政事務所と統計・情報センターを廃止しまして、統計調査、農業経営の安定、食品安全に関する業務等の執行業務を担当する組織として設置をいたしました。
その後、地域センターにおいては、統計調査におきましては、現場段階での調査それからその審査を適切に行って、経営所得安定対策等の施策の企画立案や実施に不可欠な統計データの整備、提供を行う、また、農業経営の安定というところでは、経営所得安定対策等の百万件を超える申請に対して交付事務等を実施する、食品安全では、事業者への巡回調査等を適切に行いまして、食品表示制度を初め、米や牛、また牛肉のトレーサビリティー制度等の浸透、定着を図ってきた、こういう機能を発揮してきたところでございます。
また、本省、それから地方農政局の本局、地域センターの各レベルで業務研修を行いまして、さらに、本省と地方農政局の間の人事や県間の人事交流、こういうものを促進することによって、職員の資質向上にも努めてきたところでございます。
その一方で、この地域センターの業務を取り巻く環境が変化したということ、それから、先ほど来申し上げてまいりましたように、活力創造プランに基づく農政改革を着実に推進していく、こういう課題が出てきたわけでございますので、今般、地域センターを見直して、さらなる拠点集約などの簡素化を図りながら、現場と農政を結ぶ地方参事官等を配置する等の体制整備を行うことにいたしたところでございます。
○斉藤(和)委員 やはり地域センターが果たしてきた役割というのは非常に大きいと思います。確かに、現場と農政を結ぶという新たな機能を設けるということは大事だと思いますが、拠点を集約するわけです。
前回の改正のときに、地域センターの設置位置は都道府県庁から移動時間がおおむね二時間以内になるように調整したというふうにされています。
なぜ、設置するときに二時間以内というふうにあえて設定したんでしょうか。その根拠を明らかにしていただければと思います。
○佐藤大臣政務官 二時間の根拠ということでございますけれども、地域センターの設置に当たりましては、戸別所得補償制度等の農業経営の安定や食品表示監視等の食品安全に関する業務等を国が的確に実施するために、農業者への円滑なサービスの提供、それから、食品事業者等が集中する地域への迅速な行き来に適した立地となることを基本とさせていただいたところであります。
その際、農業者が来所して用件を済ますのに半日程度で往復できるようにということで、農業現場から片道二時間から三時間で移動可能な配置としたところであります。
○斉藤(和)委員 非常に私は大事だと思うんです。しかし、今回は県庁所在地に一カ所になりますから、例えば長野県でいえば、今まで地域センターが長野と松本に二カ所、さらに支所が四カ所あったわけです。それを一カ所にするわけで、例えば、宿泊で調査をやるというようなことがレクのときにありましたけれども、そもそも宿泊するような場所もなかったりとか、レンタカー会社もないような場所があるわけで、そうなれば職員の皆さんがより長距離な出張になり、負担が大きくなる、現場と農政を結ぶ新たな業務というふうに言いますけれども、日常の業務さえ支障が出るというふうに思うんです。
少なくとも、こうした現場から支所を残してほしいという声が出ています。地域の実情に合わせて検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
まず、今回の見直しによりまして現場の活動拠点を集約するわけでございますが、先ほど佐藤政務官の方から御答弁ありましたが、例えば、経営所得安定対策につきましては、交付申請等の受け付けに当たっては、従来から市町村段階の地域農業再生協議会、こういうところが申請書類の農業者への配付あるいは農業者からの回収を行っているといったような実態になっております。また、職員が出張して、市町村あるいは農協などの会議室で臨時受付を開設、あるいは農業者が県庁所在地の拠点に直接郵送、あるいは県庁所在地拠点で直接受け取りといったような受け付けも行っていくようなこととしておりまして、まず農業者に不便をかけないようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
また、先生の方から御質問ありましたように、地域センターにつきましては幾つかの業務を行っているわけでございますが、統計調査でございますが、これにつきましては、これまで統計業務にかかわってきた職員のOB、あるいは都道府県、農協、銀行の職員OBといった農業等の専門的知識を持った方を調査員に任命いたしまして、調査の外部化というものを図ることとしているところでございます。
また、表示の監視業務でございますが、これまで食品表示、あるいは米トレーサビリティー、牛トレーサビリティーの法律ごとに分かれた体制でやってきたわけでございますが、これを統合して、調査対象が重複する食品事業者等の監視業務を同時に行うといったような合理化、また、特に産地偽装といいますか、原産地表示の偽装問題なんかを取り扱ってきたわけでございますが、これまで一つ一つ伝票等をチェックして、かなり時間的なものをかけまして確認をしていたところでございますが、やはりDNA分析ということで、簡単に申しますと、店に行って検体をとってくればすぐにせものかどうかといったことが科学的に立証できるといったようなことで、産地や品種の偽装の有無を判別する立入検査等をDNA分析等を活用しまして重点化するといったような合理化を行うこととしているところでございます。
また、先ほど出ておりましたが、距離が遠くなるといったようなことがあるわけでございますが、やはり計画的に行うということを考えておりまして、この場合には必要に応じて宿泊つきの出張を行うといったようなことを考えているところでございます。
いずれにいたしましても、現場で業務を実施する職員に対しましては、組織再編の趣旨あるいは業務の実施のあり方について引き続き丁寧に説明して、職員の声にも耳を傾けながら、業務に支障が生じないよう対応していきたい、このように考えているところでございます。
○斉藤(和)委員 業務に支障が出ないようにということですが、先ほども言いましたけれども、宿泊する場所がないというような実態もあるわけで、やはり職員には負担がかかることは明らかです。
同時に、私は問題だと思うのは、職員を減らすことによって、やってきた業務内での合理化が進むということです。地域センターが担ってきた統計だとか食品表示の監視などの外部化、合理化が、今言われたとおり、行われます。
お手元に資料をお配りいたしました。「地方組織における業務及び定員の見直しについて」という資料をごらんいただきたいと思うんです。
例えば、一のJAS法に基づく表示監視に係る業務では、巡回調査は原則として広域業者を対象とするとし、十月以降の体制をもとに二〇%程度削減、体制に見合った調査店舗数に削減とあります。
また、二の米トレーサビリティー法及び改正食糧法に基づく米穀流通監視に係る業務では、調査対象の重点化と、やはりここでも、人員に見合った調査件数に削減とされています。
そもそも、米のトレーサビリティーがなぜ始まったかといえば、二〇〇八年、平成二十年の九月に、複数の米の業者が、国から、非食用、工業用ののりの原料として購入した事故米、つまり、残留農薬が検出された米やカビ米などを、食用にふさわしくないと認定された米を食用として不正に横流ししていた事実が発覚して、最終的には、弁当だとかお菓子などに使われて、私たち国民の口に入っていたということが明らかになって、米製品の安全性に対する消費者の非常な怒りと不安が増大をいたしました。
このもとで、農林水産省に対する信頼は著しく低下をし、当時の農林水産大臣、また事務次官が引責辞任をするという異例の事態となりました。
そのもとで、翌年、二〇〇九年に、米トレーサビリティー法で、米穀などの受け渡しの情報の記録や原産地情報の伝達を義務づけたわけです。
この監視をやっていたのが地域センターなわけで、この廃止によって監視体制というのは弱まらないでしょうか、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今回の組織再編では、百三カ所ある地域センターなどを見直しまして、拠点は、先ほど斉藤委員からお話がありましたように、五十一カ所に集約をするということになっております。
一方で、今御指摘のあった食品の表示監視ですが、制度の定着もございまして、店頭での違反率は低下をしておりますので、網羅的、悉皆的な店頭指導から、広域的で悪質な事案への対応にシフトをしてきておるところでございます。
生鮮食品の原産地の不適正表示率というのが、平成二十年度は一五・四%でございましたが、平成二十五年度は二・七%まで低下をしてきているところでございます。
こういう状況を踏まえて、これまで各地域センターにそれぞれ配置をされておりました食品表示等の監視業務を行う担当者につきましては、より広い範囲で監視業務を実施する広域監視官ということで、地方農政局に配属になってもらって、各県庁所在地に駐在をすることにしていただきます。
こういう広域監視官については、先ほど官房長からありましたように、DNA鑑定等の科学的手法を拡充する、また、従来は、米穀の流通、それから牛トレーサビリティーの監視担当官であった者も広域監視官として食品表示に係る監視を実施する、また、県域を超えるより広範な地方農政局のブロックの範囲で監視業務を実施する、こういうことをすることによりまして、監視業務の実効性をしっかりと確保していきたいと思っております。
○斉藤(和)委員 監視業務をしっかりやるというのは、私は、国民に対する責任だというふうに思うんです。
今、牛のトレーサビリティーの問題が出ましたけれども、そもそも、この牛のトレーサビリティーも、二〇〇一年の九月にBSEの感染牛が日本で初めて確認をされ、食肉の偽装事件などが続発する中で、BSE問題に関する調査検討委員会が発足し、その報告を受けて、今ある食品安全委員会が設置をされたりだとか、農林水産省や厚生労働省などにおけるリスク管理体制の見直しなどが決められ、今回廃止となる地域センターの、統合前になりますけれども、地方農政事務所が設置をされた経過があります。
同時に、牛のトレーサビリティー法で、牛を個体識別番号により一元管理するとともに、生産、流通、消費の各段階において、当該の個体識別番号が正確に伝達されているのかどうか、この義務づけも行いました。やはり、その監視を担ってきたのも、この廃止されようとしている地域センターです。
今回の合理化で、この資料にありますけれども、生産段階では、全頭確認から地域の実情に合わせた抽出率の設定などとあります。また、流通段階では、巡回調査の頻度を見直す、さらには、十月以降は、体制に見合った巡回調査件数に削減とあります。
これで本当に食の安全を担保できるのか、私は非常に不安に思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今までも地域センターにおいて、食の安全それから消費者の信頼を確保するために、食品表示法に加えて、米トレーサビリティー法、食糧法、牛トレーサビリティー法に基づく監視業務、今御指摘がありましたように、実施をしてきたところでございます。
これらの監視業務につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、個別の法律ごとにそれぞれ監視担当官を配置してきたわけでございますが、今後は、より広域な範囲で、複数の法律に基づく監視業務を横断的に実施をする広域監視官を地方農政局に配置の上、各県庁所在地に駐在させて実施をすることにしたわけでございます。
こうした中で、牛トレーサビリティー法に基づきまして、生産から流通、消費段階に至るまで行われる個体識別番号の記録、伝達等に対する監視業務も、DNA鑑定等の科学的手法を拡充するということ、それから、広域監視官が機動的、効率的に実施することによりまして監視業務の実効性を維持することにしております。
こういったことによりまして、引き続き食の安全や消費者の信頼を確保してまいりたいと思っておるところでございます。
○斉藤(和)委員 表示の問題でも、先ほど大臣からありましたとおり、違反率が非常に落ちている、また、BSEも出ていないというような状況があります。
しかし、確かに米と牛で分けていたものを横断的にやるということは、それはあり得ると思うんですけれども、それによって監視業務自体が縮小していってしまう、これ自体は本当にないように、やはり、横断的にやるのだから、監視業務がより強化されたというふうになるように体制をつくっていく必要がある、私は、それが、国民に対する食の安全に責任を負う、監視業務をやっている農林水産省の責任ではないかというふうに思います。
さらに、六ページ目に、統計業務のことで一つあるんですけれども、作況特定筆調査について、現在、農家の聞き取り対象筆数が約二万筆となっているものを、十分の一の約二千筆に縮減するんだと。私は、これを見て非常に驚いたんです。
日本の農業統計というのは、世界からも評価され、信頼の高い統計というふうに認められています。それは、先ほども質問があったとおり、職員が出向き、きちんと農家の皆さんと膝を交えてやった統計だからこそ信頼がある。それをそもそも減らしてしまう。
作況指数というのは、米価にも大きく影響を与えますし、政策立案にとっても非常に大きな影響を、ある意味土台となるものです。それを削減するというのは、統計の信頼性そのものを損なうものになると思いますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今般の組織見直しによりまして、現在、統計調査の実際の調査それから調査結果の審査の業務を行っている地域センターが県庁所在地に集約化されることになるわけでございます。
他方、統計調査については、平成二十七年度からは、これまで職員が行ってきた経営統計、生産統計業務につきまして、統計業務に携わってきた職員OBそれから都道府県、農協、銀行の職員OBなど、農業などの専門知識を有する外部の調査員が現地の調査実務に携わる体制に順次移行していくこととしているほかに、調査結果の審査業務は地方農政局本局の方に集約化をしていくということで、業務の外部化、合理化を図っていくこととしておるところでございます。
これらによりまして、引き続き質の高い信頼性のある統計データを整備、提供することとしておりまして、今般の組織見直しによって統計調査に支障が生じることのないように対応してまいりたいと思っております。
○斉藤(和)委員 本当に、統計の信頼を損なうということは絶対にあってはならないと思います。
先ほども質問がありましたけれども、統計というのは、数だけではなくて、やはり職人わざだというふうなお話がありましたけれども、私も本当にそのとおりだと思います。そうした技術や知識を持った、技術の継承じゃありませんけれども、そういったものをきちんと農林水産省の中に確立していくということは、やはり今後の農政の土台をつくっていく根幹にかかわる問題だというふうに私は思いますので、減少になるようなことがないように、信頼に十分足るような体制をぜひつくっていく必要があるというふうに思います。
地域センターの廃止に伴って、四月からは、表にありますとおり、表示監視業務では五十五人、米穀流通監視業務では三十三人、農畜産安全管理業務では三十三人削減が行われ、十月には三つの業務合計で四百九十四人が削減されることが予定されています。農政局などに百四人振りかえられるというふうになっていますけれども、大幅に人員が削減されることには変わりがありません。さらに、統計業務でも、四月に七十二人、十月に二百十人と削減されます。食品の安全の監視でも統計でも、この表にありますとおり、体制に見合ったものに調査対象を削るという方向が打ち出されています。
私は、現場と農政を結び、かつ食の安全、安心に対する責任を果たすのであれば、やはり、今ある地域センターを廃止するのではなくて、存続をさせ、さらに体制を強化して、現場と農政を結ぶという新たな取り組みもやっていくということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 先ほど官房副長官からも御答弁いただきましたように、やはり、行政運営の簡素化を図って、よってもって国民負担の軽減をしていく、これは、農林水産省に限らず、行政に携わる者は常に心がけておらなければならないことであろうか、こういうことだというふうに思っております。
そういう意味では、この厳しい財政状況の中で、業務、定員合理化、これは真摯に取り組まなければならない、こういうことでございますが、その中で、先ほど来お答えをしてまいりましたように、いろいろな新しい状況に対応した工夫等をすることによって、食品表示に対する監視にしても、いろいろな今までやってきた統計等の信頼にしても、確保されるようにしっかり対応してまいりたいと思っておるところでございます。
○斉藤(和)委員 人員削減によって国民の負担の軽減に努めるというふうにありましたけれども、国民の負担の軽減に努めることは大事ですが、この安全監視業務を削ることや統計の業務を削ることは、むしろ私は、国民の生存にとって、国民の命にかかわって、削ってはならない部分だと思うんです。
だからこそ、やはり、人員削減という全体の流れのもとでも、人員が削減されたから、それに見合って業務を変えるのではなくて、国民の安心、安全のためにはこれだけ人員が必要だから確保してほしいんだ、もっと別のところを削れるじゃないかという要望を、逆に言えば、出していただきたいというふうに要望して、次の食品の表示問題についてちょっと質問をします。
今、食品表示問題というのが極めて重大な局面にあります。食品表示法が四月一日から施行されました。これまでの表示法では、農林水産省のJAS法、厚生労働省の食品衛生法が消費者庁の食品表示法に一本化をされました。しかし、残された課題は、遺伝子組み換え表示だとか加工食品の原料原産地表示など山積みです。
さらに、国民にとって私は問題だと思うのは、消費者庁は表示の企画立案はしますけれども、監視の業務は手足はない。表示が適切に行われているかどうか監視するのは、農林水産省と四十七都道府県に配置されている保健所に任されています。それが、今、法案で出ているように、それぞれの省庁だとか地方自治体の都合によって人員が削減されたり、専任の職員が置けずに兼任になっていたりして、監視機能が低下する事態が起ころうとしています。
消費者庁として、どのようにこの表示の監視機能の強化を行おうとしているのか、どう取り組む必要があるというふうにお考えなのか、お答えください。
○松本大臣政務官 お答えいたします。
食品に関する表示でありますけれども、消費者が食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保に関しまして重要な役割を果たしております。このため、平成二十七年四月一日に施行されました食品表示法の的確な執行が重要であることは、委員御指摘のとおりだと考えております。
食品表示の監視体制につきましては、消費者庁のほか、農林水産省、財務省、都道府県、保健所設置市等が監視、取り締まりを行える体制をとっておりますし、これからもそのような体制をとっていくものと承知をしております。
消費者庁は、食品全般の横断的な監視、取り締まりをみずから行いながらも、地方出先機関を有し、監視業務についてのノウハウを有する農林水産省及び財務省と、また、地域的な事案や保健衛生に係る事案を所掌する都道府県及び全国の保健所と連携を図り、効果的、効率的な法執行を図ってまいりたいと考えております。
また、食品表示法における関係省庁や地方公共団体との一体的な運用を図ることが大変重要でありまして、このため、行政処分指針等の作成、公表を行ってきたところでもあります。この指針に基づいて、統一的な法執行を図ってまいりたいと考えております。
○斉藤(和)委員 やはり、他人事のように、お願いベースで各省や地方自治体に依頼するというのでは何の保証にもならないと思います。やはり、表示の監視機能強化に対する抜本的対策を内閣全体としてやるべきだということを求めて、次に、機能性表示食品の問題を質問したいと思います。
機能性表示食品は、特保のような許可制ではなく、届け出制で、機能性成分を証明する研究文献を提出すれば、どんな機能性も表示できるものになっていて、多くの企業がビジネスチャンスだということで殺到をしていますが、その一方で、健康被害も心配をされています。
健康食品に関するリコムのサプリメント、蹴脂粒、このエノキタケ抽出物が機能性表示食品として届け出をされ、四月十七日から消費者庁のホームページに掲載をされています。しかし、この成分というのは、エノキタケ抽出物について、ことしの二月三日の食品安全委員会で、その作用によって心血管系、泌尿器系、呼吸器系、生殖器系など多岐にわたる臓器に影響を及ぼすことを否定できないため、提出された資料からは本食品の安全性が確認できませんでした、安全性を評価することはできないと判断いたしましたと報告されています。
きのう報道されましたけれども、十二日の食品安全委員会で、安全性がやはり確認できないという最終的な評価書をまとめたとされていますけれども、そういったもとで、消費者庁は、特保では認められなかった、安全性が確認できないとされた食品を、機能性表示食品では受理し、ホームページに掲載し、二カ月後には市場に出回る。極めて問題だと思いますが、いかがでしょうか。
○松本大臣政務官 お答えをいたします。
五月十二日の食品安全委員会におきまして、今委員御指摘のとおり、特定保健用食品として申請中の蹴脂茶につきましての評価書が決定をされたことは承知をしているところでございます。これは、まだ、食品安全委員会からの答申がなされたということでありまして、この答申の中身というのは、今お話がございましたとおり、評価ができない、そういう答申がなされたところであります。
手続といたしましては、これを受けまして、消費者委員会においてどのようにこの結果を受けとめ考えていくのかはまた改めて判断がされていくということで、今後の手続というものは進んでいくものと承知をしているところでございます。
そうした状況でもございますので、今後、消費者庁におきましては、食品安全委員会に答申の趣旨を確認するなどして、評価書の内容をぜひ精査させていただいて、消費者委員会における機能性及び安全性に関する審査を経た上で、最終的に消費者庁において許可に係る判断を行わせていただきたいと考えております。
また、機能性表示食品制度は、事業者から消費者庁に届けられました安全性や機能性に関する科学的根拠に関する情報を消費者庁のウエブサイトで公表することで、届け出後の事後チェック制度をしっかり機能させることが前提となっておりまして、消費者庁は、公表資料を端緒として寄せられる疑義情報も活用しながら、届け出情報の公表後に、安全性や機能性に関する科学的根拠などにつきまして、食品表示法に基づく事後監視を行うこととしております。
今お話がございました機能性表示食品、蹴脂粒につきましては、蹴脂茶の審査状況も踏まえつつ、消費者庁におきまして、評価書の内容を精査いたしまして、必要な調査を行うこととなるものと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、科学的根拠に基づかない表示がされた食品の流通を防ぎ、消費者の安全が確保されるように制度を運用してまいりたいと考えております。
○斉藤(和)委員 朝日新聞には、特保で安全性が認められなかった成分が、機能性表示食品では体によい成分として表示される、経済成長戦略の一環として導入された新制度だけれども、早くも課題が突きつけられているというふうに書かれています。
やはり、今の消費者庁の手順的にはいろいろあったとしても、安全委員会が確認できないと言っているわけですから、これは実際に販売されてはならないし、もっと言えば、健康被害を出すようなことが絶対にあってはならないために、強化をお願いしたいというふうに思います。
終わります。