192-衆-農林水産委員会-2号 平成28年11月17日
○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
早速質問させていただきます。
昨年、都市農業振興基本法が制定をされて、ことし五月に都市農業振興基本計画が閣議決定をされました。
大臣は、残念ながら所信で都市農業には触れられていませんが、都市農業振興の基本計画が策定されたということは画期的なことだというふうに考えております。
都市農業に対する大臣の認識と、施策を進めていく上での決意をぜひお聞かせいただきたいと思います。
○山本(有)国務大臣 都市農業は、食料生産だけではなく、いろいろな面で我が国の国民に寄与するところがあると思っております。まず第一に、農作業体験。子供たちは食べ物がどうやってできているかということを小さいうちから理解することができますし、災害時の避難場所の提供の面でも多様な役割がありますし、重要でございます。
このため、政府におきましては、本年五月に都市農業振興基本計画を閣議決定しておるところでございます。
都市農地につきまして、宅地化すべきものから都市にあるべきものというような、位置づけを変えたことも画期的でございます。
都市農業振興施策を講じられますように頑張りたいというように思っております。
○斉藤(和)委員 大臣からもありました、今までの宅地化すべきものから都市にあるべきものと農地の位置づけを大きく転換したということは、私も非常に重要だというふうに思っております。
それを受けまして、農林水産省は、平成二十九年度税制改正要望で、都市農業の振興として、相続税、固定資産税の措置を挙げています。基本計画にある市街化区域内農地の保有に関する税負担のあり方と、貸借される生産緑地などに係る相続税納税猶予のあり方、この要望が農水省から出されています。
それに対して、総務省、財務省は、それぞれどのような検討が今されているでしょうか。
○三木大臣政務官 ことし五月に閣議決定されました都市農業振興基本計画におきまして、生産緑地が貸借された場合の相続税の猶予制度については、相応の政策的意義や公益性を有すること、また、土地の利用規制とのバランス等を考慮した上で税制措置が適切に講じられることが重要とされております。
現在、生産緑地における土地利用規制等については、関係省庁において検討が進められている段階というふうに承知しております。具体的な提案がなされましたら、財務省としても真摯に検討していきたいと考えております。
○冨樫大臣政務官 都市農業振興基本計画では、都市農業振興上の位置づけが与えられた市街化区域農地について、一定期間の農業経営の継続と農地としての管理、保全が担保されていることが明確なものに限り、その保有に係る税負担のあり方を検討することとされております。
同基本計画にあるとおり、関係省において適切な土地利用規制等の措置について検討を深めていただき、それを踏まえて、総務省としても検討を進めてまいります。
○斉藤(和)委員 今、財務省、そして総務省からお答えをいただきました。いずれにしても、土地利用の規制について、関係省庁からの提案を待っているという御回答でした。
都市農業振興基本法では、第八条で、政府は、都市農業の振興に関する施策を実施するために必要な法制上、財政上、税制上、金融、その他の措置を講じなければならないというふうに定めているわけです。それを、ある意味、関係省庁、つまり農水省の出方を待っているというのは、政府全体としての構えが問われているし、消極的なのではないかというふうに私は思うわけです。
いずれにしても、ここでやはり農林水産大臣のイニシアチブを発揮することが私は非常に重要だというふうにも感じるわけです。まさに、関係省庁である、その重要な一翼を担っている農林水産大臣が、政治的に決断をし、来年度の税制改正で固定資産税や相続税の軽減を実施する、この立場で都市農業振興を実現するためにイニシアチブを発揮することが大事だというふうに思うわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 御指摘の点、新たな都市農業振興制度の構築ということになろうかと思います。そのための税制上の措置というのはこれとセットで議論すべきものと考えておりまして、現在、国土交通省とも連携しつつ、新たな都市農業振興制度の検討を進めていきたいというように思っております。
○斉藤(和)委員 連携して、検討していきたいというお話でしたけれども、来年度の税制改正に、この都市農業の一番かなめだと思うんですよね。やはり、相続税だとか固定資産税が高いがために、逆に言えば、相続税を支払う、それが払えないから農地を手放さざるを得ない、こういう状態が都市農業では進行している。
だとしたら、来年度の税制改正大綱に盛り込むという、前向きなというか積極的なイニシアチブをやはり大臣に発揮していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 基本的に、農業振興地域あるいは農地等について、一義的に私に責任や権限があります。しかし、都市農業におきましては、都市ということでございまして、都市のあり方論、そういうものとの整合性も必要でございます。
したがいまして、国土交通省の大臣とも連携しながら、この税制等、頑張っていきたいというように思っております。
○斉藤(和)委員 都市のあり方の中に農地が大事だというふうに位置づけたわけですから、前向きに、積極的に、来年度盛り込まれるようにぜひイニシアチブを発揮していただきたいというふうにお願いしたいと思います。
その上で、地価が高い都市部において、振興にとって、宅地と同等の資産価値に見合う課税をした場合、農業収入で生計を立てることは困難である、だから、農地を保全すべき、このためには、保有コストを低く抑えることが必要だと基本計画にちゃんと書かれているわけです。
そのときに、農地とあわせて大事なのが、農業用施設用地。私は、これも農地とみなして、相続税納税猶予の対象にすべきだというふうに考えているわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 御指摘の農業用施設用地は、固定資産税評価基準上、宅地等に当たります。農地と比べて、権利移転、転用行為に係る厳しい規制は存在しておりません。このような土地についてまで納税の格別な措置というものが納税者の理解を十分いただけるかどうか、少し不安がございます。
そんなことから、市街化区域内か農業振興区域内かといった地域を問わず、そうした観点の検討が必要だと思っておりますし、委員御指摘の、農業用施設用地もあわせて何らか措置をする必要はわかりますけれども、総務省や財務省の課税の公平という観点からもまた問題を解決していかなければならないというように思っております。
○斉藤(和)委員 今大臣から、必要性はわかるという答弁がありました。
まさに、確かに、農家の施設用地だとかは広いわけですね。でも、それは無駄に広いわけではなくて、収穫したものを、泥を落とすために洗う、乾かす、仕分けして段ボールに入れる、それをやるために施設用地が必要だし、庭が広かったりする。やはり、農業をやっていく上で機械が必要、それをおさめる施設用地が必要、だから一体不可分なわけですよね。大臣も必要性を感じていらっしゃる。
だとしたら、都市農業を守っていくという、せっかく閣議決定された今こそ、本気でやっていくという構えをぜひ大臣に発揮していただきたいということを最後に訴えて、強調して、質問を終わりにさせていただきます。