農業競争力強化支援法案は農業弱体化法案だ 本会議で反対討論
投稿日:2017年04月11日

193-衆-本会議-18号 平成29年04月11日

○斉藤和子君 日本共産党を代表し、農業競争力強化支援法案に反対の討論を行います。(拍手)
 本法案は、農業が将来にわたって持続的に発展していくことを目的として競争力を強化するとしていますが、日本農業が直面している課題に応えるものにはなっていません。
 この間、自民党農政のもとで農産物の輸入自由化は拡大され、農産物価格の下落により農家の所得は減り続けています。その結果、後を継ぐ者は他産業に行き、農家は高齢化し、耕作放棄地が増加する現状がつくり出されてきました。
 それにもかかわらず、本法案では、TPPなど農産物のさらなる関税撤廃のもとでも、輸入農産物と競争できる大規模化を推進し、農協解体をてこに政府が業界の再編に乗り出すものであり、農業競争力強化どころか、農業弱体化法案と言わねばなりません。
 第一に、農業の持続的発展のためには、欧米で当然のように行われている再生産可能な生産費を補償する所得補償や価格保障こそ行うべきです。
 関税撤廃されたもとでも生き残れる大規模な農業経営体だけを支援しても、日本農業の持続的発展にはつながりません。
 それどころか、コスト削減の名のもとに、政府主導で中小の農薬、肥料メーカーを再編、淘汰するのは、地域営農に打撃を与えるだけでなく、地域経済や雇用にも悪影響を与え、さらなる過疎を拡大しかねません。
 第二に、本法案は、安倍政権が進めてきた、全農を株式会社化し外資の参入を許す農協改革とあわせて、協同組合である農協、全農への介入を促進することになりかねません。
 そもそも協同組合は自主自立が基本であり、政府がとやかく言う筋合いのものではありません。昨年十一月、協同組合はユネスコの無形文化遺産に指定されました。全世界で展開されている協同組合の思想と実践が人類の大切な財産であり、これを受け継ぎ発展させることが求められているにもかかわらず、協同組合の自主性を奪い、権力的に介入することなど、断じて認められません。
 第三に、農業政策の基本は、食料主権を確立し、国民への安定的な食料供給のために、三九%の食料自給率をいかに向上させるかを柱に据えるべきです。
 本法案では、食料自給率の向上に触れないどころか、農業の根幹である種子を民間に開放し、主要農作物種子法の廃止をセットで行うなど、断じて許せるものではありません。
 北海道から沖縄まで、気候も風土も違い、平地の少ない日本では、家族農業が地域を支え、文化を築き、食料生産を支えてきました。
 小規模な家族農業も含めた多様な農業者全体を支援し、再生産可能な価格を保障する農業政策を根幹に据えてこそ、農業の持続可能な発展が可能になり、食料自給率の向上へとつながります。
 中山間地の多い日本の国土のもとで、大規模化一辺倒の政策は、農業の弱体化を招き、地域を荒廃させるものです。農政の方向を根本的に改めるべきことを求めて、反対討論を終わります。(拍手)