農業共済と地域コミュニティ崩す 農業災害補償法改正(6月1日、農水委議事録)
投稿日:2017年06月01日

193-衆-農林水産委員会-17号 平成29年06月01日

○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
 農業災害補償法の改正案について質問をします。
 今回の農業災害補償法の改正案は、新たな収入保険制度の導入と、現在の農業災害補償制度の改正でなされており、論点が数多くあると感じています。今回質問し切れなかった問題は次回に回したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今回の収入保険制度は鳴り物入りでまとめられたわけですけれども、農業関係者にはその詳細がほとんど知られていないなというふうに私も感じてまいりました。まず、その点、収入保険について質問をします。
 今回の収入保険は、加入対象者について、先ほど来あったとおり、青色申告を行い、経営管理を適切に行っている農業者としています。
 青色申告を行っている農業者は四十四万人程度であり、農家数は全体が二百十五万五千戸。全体にすると、青色申告を行っている方は二〇%弱。販売農家に限定をすれば、百三十三万戸ですから、約三三%になるわけです。つまり、今の段階で、七割、八割の農家の方は、今回の収入保険には加入できないということになります。
 収入保険的要素を持っている、そして加入率も非常に高い、例えば漁業共済の積立ぷらすは青色申告を前提にしていません。それなのに、なぜ今回の収入保険は青色申告をしている人というふうに限定、対象にしたんでしょうか。

○山本(有)国務大臣 御指摘のように、収入保険制度は、青色申告を行う販売農家を限定して対象にしております。
 国費を投入して収入減少を補填する制度というものは、他産業にない制度でございます。収入把握の正確性、これが国民の理解を得るための一番大事な肝であるわけでございます。
 青色申告というのは、日々の取引を残高まで記帳する義務がございますし、在庫等と帳簿が照合できるわけでありまして、不正が行われることがほぼないというすぐれた制度でございます。その一方で、白色申告ではそこまでの義務がないということでございます。
 なお、青色申告への切りかえを促進する観点から、収入保険制度では、青色申告の実績が一年あれば加入できますし、簡易な方式による青色申告も対象としてスタートすることができるわけでございます。
 特に、簡易な方式では、複式簿記までは求められておりませんし、現金出納帳等を整備し、日々の取引を残高まで記帳する方式であることでございますので、現在、白色を行っている方でも容易に取り組めるものだというように考えておるところでございます。
 特に、先生御指摘の漁業共済、積立ぷらすについてでございます。漁業者の収入減少を補填する仕組みという点では同様でございますけれども、漁業等において、漁業者の販売数量及び販売金額を管理を漁協がしております。それを用いれば漁業収入を正確に把握することができるわけでございまして、両方とも同様に、税の申告の仕組みの厳格性、これをもって、共通の認識でございますので、そうした意味での漁業ぷらすと同レベルに今回させていただいたというように考えておるところでございます。

○斉藤(和)委員 つまり、青色申告は、必ずしも複式簿記だけではなくて単式の簿記でもいいという選択制になっている。しかも、二〇一四年の改正のときに、白色も帳簿をつけることになっているわけですね。そうしたら、収入をきちんと管理するというのであれば、白色でも私は十分可能ではないかと。先ほど大臣おっしゃられたとおり、白色の方であっても簡易な青色に行けるということは、白色でも可能だということではないかと思うので、必ずしも青色にこだわる必要は、私は率直に言って、ないというふうに思うわけです。しかも、対象がもう七割は今現在やっていない。それで、先ほど来あるとおり、ことしの三月十五日に申請しなければできない、そういう制度でそもそもいいのかなという疑問があるということを指摘したいと思います。
 それだけではないということなんですね。青色申告をしている農業者であっても、農業共済事業の共済関係の存する者その他農業収入の減少について補填を行う事業を利用する者は保険資格者に該当しないものとすると。つまり、農業共済や収入減少影響緩和対策、ナラシ対策、野菜価格安定制度だとか加工原料乳生産者経営安定対策などの各加入者は、その制度をやめなければ今回の収入保険制度には入れない、加入できないというふうになっています。
 なぜこれは加入できないようにしたのかということと、それぞれの加入者が今現在どうなっているかというのを明らかにしてください。

○細田大臣政務官 今、加入者についてのお尋ねということでよろしいですね。事実関係のお尋ねですので、私の方から回答させていただきます。
 まず、農業共済でございますが、これは引受戸数という数字が出ております。農作物共済は約百四十八万六千件、畑作物共済は約七万四千件、果樹共済は約六万三千件、家畜共済は約六万三千件でございます。
 収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策は加入申請件数という数字が出ております。これは約十一万件でございます。
 加工原料乳生産者経営安定対策については、これは加工原料乳生産者補給金の指定生乳生産者団体への委託者数という数字が出ておりますが、これが約一万六千件でございます。
 野菜価格安定制度については交付対象者数という数字が出ておりまして、これは約二十三万五千件となっております。

○斉藤(和)委員 加入できない、なぜ加入できないようにしたのかというところをお答えお願いします。

○山本(有)国務大臣 収入保険制度と申しますのは国費が投入されるわけでございます。農業者が他の国費が投入された類似の制度にも加入して、損失が起こった場合に二重に取得できるというようになりますと、これは損失のダブルカウントになります。これでは国民の理解が得られない。税金の二重取りというように批判されるわけでございます。このため、ナラシ対策、農業共済、野菜価格安定制度など、国費が投入されている類似制度との重複は避ける必要がございます。
 また、農業者の経営形態がさまざまである中で、収入保険制度が導入されましても、従来の制度がよいという方のニーズにも対応できるようにするということは必要でございます。
 このようなことから、農業者がそれぞれの経営形態に応じた適切なセーフティーネットを利用できますように、選択加入というようにさせていただきました。
 ただし、マルキン等につきましては、収入保険制度やナラシ対策等と異なりまして、収入減少だけではなくコスト増も補填するという仕組みでございます。収入保険制度とは別建ての制度、仕組みでございますので、肉用牛などのマルキン等の対象品目は収入保険制度の対象外として、いわば二重に加入することができるわけでございます。
 以上です。

○斉藤(和)委員 要は、マルキンは収入保険の対象外だということで、農業共済と重複加入は認められているわけですよね。これはちょっと矛盾があるのではないかと率直に言って思うわけです。だからマルキンやめろとか重複加入をやめろと言っているわけではなくて、要は、わざわざ税金の二重取りだからだめだというふうにおっしゃられますけれども、必要な制度はやはりしっかりと、災害時、あったことに対しては補償もするということとあわせて、やはり収入が減少したときに補償するということは必要なわけですから、そういう点で、これは整合性がいかがなものかなというふうに感じるわけです。
 今、前段で人数を確認しましたけれども、農業共済に入っている方は延べ百四十八万件あるということです。ナラシも十一万。それから、野菜が二十三万五千、加工原料乳が一万六千。しかも対象品目から外されている畜産農家は五万六千というふうになっていることを合わせますと、共済を除いたとしても、約五十万以上の方々は既存の制度に残った場合は加入できないというふうになっているわけです。
 さらに、今回の収入保険は今入っている制度をやめて加入するほどのメリットがある制度なのかというふうに疑問符がつくと、青色申告者であったとしても、今回の収入保険に加入する農業者は極めて限られてくるのではないかというふうに思うわけですけれども、農林水産省としては一体どれぐらいの農業者がこの収入保険に加入するというふうに想定されているのか、お答えください。

○山本(有)国務大臣 収入保険制度につきましては、他の類似制度と選択加入であるということでございますし、農業者がみずからの経営形態に合った制度を自由に選んでいただくこととしております。
 国が加入目標を示すというように考えてはおりませんけれども、収入保険制度というのは、品目の枠にとらわれず、自然災害に加えて価格低下など農業者の経営努力では避けられない収入減少を補填の対象としております。また、青色申告を行えば、規模等の要件なく誰でも加入できるというようにしております。新規作物の生産、新たな販路の開拓、そういうようなチャレンジをしていただいている農業者の場合にはふさわしいセーフティーネットであるというように感じているわけでございます。
 そのため、複合経営をこれから考える若手の農業者、こうした人たちが相当程度加入するというように見込んでおりますので、農林水産省としましてもこの加入を促進してまいりたいというように思っておりますし、農済、農業共済の団体の皆様も、こうしたことに理解を深めて勧誘の手だてをとっていただいているというところでございます。

○斉藤(和)委員 希望的観測で、複合経営の若手などが入ってくれるのではないかということですけれども、先ほど来あるとおり、目標を設定してではなくて選択制なのでという話なんですけれども、本当に運営が成り立っていくのかという疑問が払拭されないなというふうに思うわけです。
 今後この制度はどう展開していくのかというところも非常に気になるところでありまして、ナラシだとか畜産、野菜の価格安定の今ある制度と選択制にしたということは、今後、このナラシだとか畜産価格の価格安定制度はなくしていって、収入保険一本にしていくんだ、そういうふうな制度の展開を考えていらっしゃるんでしょうか。

○山本(有)国務大臣 あくまで制度の並立という前提に立っているわけでございますが、今までセーフティーネットとしましては、収量低下に対する備えとしての農業共済、あるいは品目別の収入や価格の低下対策としてのナラシ対策、野菜価格安定制度などでございました。
 けれども、農業共済は収量減少が外見で確認できるものに限定をされていることによって、露地野菜等が対象外でございました。ナラシ対策や野菜価格安定制度と申しますのは、地域の統計データを活用しておりまして、対象はデータがそろっているものに限定をされているわけでございます。ですから、いずれも対象品目として全てをカバーしていないわけでございます。
 今回の収入保険制度の創設によりまして、初めて全品目、全ての品目で、農業をやっていらっしゃる方々がセーフティーネットの制度、仕組みのサービスを享受できるということにしたわけでございまして、既存の制度と選択加入ということとともに、個々の農業者ニーズ、実情に応じた対応も可能となりました。
 こうしたことによりまして、本制度の普及を促進し、安定的に運営することによりまして、農業者の経営安定と農業の成長産業化、さまざまな工夫ある農業者がこれによって救われるというように思っております。

○斉藤(和)委員 全品目のセーフティーネットができると。
 その一方で、農業者の選択を奪わないためにも、ナラシだとか畜産マルキンだとか野菜価格安定制度はなくさない、収入保険に全て集約して一本化することはないということでよろしいでしょうか。

○山本(有)国務大臣 御指摘のとおりでございます。

○斉藤(和)委員 一本化せずに農業者の選択の幅を広げる一つだというふうに理解をいたしました。
 さらに、今回の収入保険は経営単位が対象になって、品目別の販売収入を対象にしていません。経営単位の収入保険では、先ほどもあった、複合経営している場合、ある品目が価格下落で損害を受けても他の品目の収入が増加すればトータルとして収入を見るため、相殺されて保険の受取額が小さくなるということもあるわけです。
 現在の農業共済でも、全相殺方式、圃場ごとの減収分と増収分を相殺して保険金を支払うという方式がありますけれども、余り好まれていないという実態があります。
 日本の農家でも、総収入を対象とした保険というのは余り普及していない、好まれていないというふうに指摘をされている専門家の方もいます。
 収入保険の先進国のアメリカでも、品目別の販売収入を対象とした収入保証保険、RPと言われるようですが、これが収入保険全体の九五%を占めていて、経営単位での収入全体を保険の対象にするAGRという保険の加入者は少数にとどまっているという指摘もあります。
 こうした現状を見ましても、今回の収入保険が経営単位になっているということが日本の農業者に受け入れられるというふうに考えておられるのでしょうか。

○山本(有)国務大臣 収入保険は、品目の枠にとらわれないというのが特徴でございます。農業経営者ごとに収入全体を見て総合的に対応し得るセーフティーネットという意味で、導入する価値があるものだというように考えております。
 我が国で、単一経営でなくて、認定農業者を中心として複合経営に取り組む農業者がふえております。相当程度ニーズがあるというように考えております。
 二十八年度に調査事業において調査をいたしましたところ、五千経営体に対するアンケートで四三%が収入保険の加入を考えていただいているということでもございました。
 また、導入につきましての品目別収入保険制度というものについて御提案をいただいたわけでございますが、この保険に加入していない品目で十分収入を確保しつつ、保険に加入した品目については意図的に収入を減少させるというモラルハザードが発生するということを予測しております。これを防止するために、品目ごとに収入が減少した要因を詳細に確認するという事務コストが膨大になります。というように、品目別の収入保険は我が国ではなじまないというように思います。
 アメリカでも、先物価格に応じて、先物対象品目に限定して、先ほど御紹介の品目別収入保険が存在するというように理解をさせていただいておりますので、今回のこの収入保険という制度、仕組みは、経営体の収入に着目し、かつ、正確な把握をすることができる青色申告、しかも簡易型でも可というようなことでございますので、まずはこうした取り組みによって農業を下支えさせていただきたいというように思っております。

○斉藤(和)委員 今、五千件にアンケートをとって、四三%加入を考えていると。これを高いと見るか、低いと見るかという問題もあると思うわけですけれども、経営体全体で収入を補填する全相殺というのが現在の共済制度の中でも余り好まれていないということはよく見ていただきたいなというふうに思うわけです。
 同時に、四三%以外の方や、現に青色申告をされていない七割以上の農業者の方々は今後も農業共済に依拠することになるんだろうというふうに思うわけですけれども、ここも、収入保険を入れるのと同時に、農業共済の改正もこの中に含まれて、今回の法律の中に入っている。
 先ほどもありましたが、加入者にとって、私は今回の改正というのは大きな問題が生じかねないというふうに思っているわけです。
 まず、やはり、先ほどもあった、当然加入がなくなって任意加入になる点です。
 作物共済、稲や麦は当然加入になっていて、保険において起こりやすい、皆さん入りますから、逆選択という、災害や事故など被害が多い人がより多く加入するという、逆選択と言われますけれども、これを防ぐ手法になっています。車の自賠責保険などが、車を持っている人は全員加入するという、ある意味、社会政策的な目的として保険がつくられている。これが今までの農作物共済の考え方だったんだろうと思うわけです。それで、農業共済でも米と麦は当然加入になっていた。
 しかし、今回、これが任意加入になってしまう。そうなった場合、災害が多い地域では共済に入るけれども、そうじゃない人たちはやめていくというようなことも起こり得るのではないか。農業共済組合の、そうなってくると、財務、財政的に運営が大丈夫なのかということと、農村集落において、相互扶助の仕組みでこの共済制度というのはつくられてきた。相互扶助ですから、全員入っているので相互扶助という意味が働いていたわけですけれども、こういうところにも影響しかねないのではないかというふうに思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

○山本(有)国務大臣 今回の改正では、農作物共済の当然加入制につきまして、米麦を取り巻く状況の変化等を踏まえて、任意加入制度に移行することといたしました。
 当然加入制を廃止いたしましても、危険段階別共済掛金率を導入することによりまして、共済金を受け取らない農業者ほど掛金が安くなるため、低被害の人でも継続加入しやすくなるというように思っております。
 また、坪刈り等を要さずに目視による評価で一筆ごとの損害を補償する制度を導入いたしました。そのことによりまして、制度の改善を行うことができたというように考えております。
 また、経営発展を目的とした融資及び補助事業の採択に当たって、共済等への加入を促すこととしておりますから、災害に遭いやすい者だけが加入し、共済事業の運営に支障を来すような事態にはならないのではないかというように考えるところでございます。

○斉藤(和)委員 本当にそれで大丈夫かというふうに懸念するわけですけれども、その理由は、日本の農業共済の大きな特徴というのは、農家みずからが組合員として組合の運営に参加をして事業の推進や損害評価を行っている。これは全員加入だから、大変だけれども俺やるよという、そういう力というか、そういうのが働いていたというふうに思うわけです。
 具体的には、集落ごとに共済部長を選出し、共済部長は、加入申し込みの取りまとめだとか共済掛金の徴収だとか支払い通知の配付など、組合と組合員の間をつなぐパイプ役を果たしているわけです。全国に共済部長は十七万人いると言われておりまして、また、災害が発生した際に損害評価を行う損害評価員も十四万人選出されています。共済部長の報酬はごくわずかでありますし、損害評価員についてもほとんどボランティアのような状態で共済の業務を行っているという実態があります。
 こうした集落を基礎とした農業共済の仕組みというのは、戦前、農会が組織した農家組合の機能を受け継いだものであり、農協組織と同様に日本の村社会の伝統の基礎になっているというふうに思うわけです。
 こうやって農家の皆さんがみずから役員にもなり、評価もし、そしてみんなで支え合おうという仕組みによって、ある意味農家は自分たちがつくっている農業共済であるという意識を持つ、それがある意味モラルハザード、不正請求を防いだり、また推進費用の節約にもつながってきたのではないか。
 農業共済の農村を守っていくという視点からも非常に大きな役割を果たしていたのではないかと思うわけですけれども、今回の任意制に移行することによって、こうした農業共済が果たしてきた非常に基礎的な、基本的な農村社会の基盤をつくってきた、こういうものを掘り崩すことになりかねないのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○山本(有)国務大臣 委員御指摘の農村社会を維持する人の輪というような、そういうものに裏打ちされたこれまでの農業共済の評価はそのとおりであろうというように思っております。
 ただ、今回の改正につきましては、当然加入制につきまして、米麦を取り巻く状況の変化等を踏まえた形で任意加入に移行をさせていただきました。
 現行制度では、当然加入制でございますが、農業者が現地調査に従事することにより損害評価を実施してきたところでございます。これは御指摘のとおりでございます。しかし、今後、農業者が激減しておりまして、その評価方法を継続することが困難な地区が散見されるわけでございます。
 このため、出荷資料で減収量を把握する等、他の適切な損害評価方法を活用することによりまして、引き続き災害に対する農業共済の機能が発揮できるようにしてまいりたいというようにも思っております。
 というような時代背景というものを踏まえた形で新しい仕組み、制度を導入させていただきました。

○斉藤(和)委員 それで、この任意制も問題だということとあわせて、私はさらに危険だと思うのは一筆方式をなくすことなんです。
 今でもやはり災害が少ないところでは、もういいやというような声も、任意性になればやめるわという声も聞かれる。しかし、一筆方式が残っていれば、何かあったときにというのでまだとどまる要因になると思うんですけれども、これさえ廃止してしまう。
 収穫共済の一筆方式というのは、御承知のとおり、被害圃場の全筆を農業者が現地調査などを行って損害評価する方式です。収穫共済の八割が一筆方式に加入している、補償単位が圃場ごとである点が特徴であって、三割の減収でも補償されるという、非常に小規模の農家であっても圃場ごとに損害が受けられる非常に私はいい制度だというふうに思うわけです。
 収穫共済の引き受け方式が圃場単位であることはこの一筆方式だけなわけで、半相殺だとか全相殺だとかありますけれども、補償単位がほかのものは農業者全体になるわけですね。
 今回の一筆方式の廃止で、圃場ごとの被害補償がなくなるということは、きめ細かい補償ができなくなるというふうになると思うんです。今回、新たに一筆の特例というのも設けられますけれども、五割以上の減収というのは、農業者の方に、ええっ、五割ってそれは何だよという反応を私は聞きましたが、やはり現行の一筆方式から明らかに後退だと思うんです。これはやはり農業者にとって不利益になるというふうに考えるわけですけれども、いかがでしょうか。ぜひ、一筆方式を残していただきたいと思うんですけれども。

○山本(有)国務大臣 一筆方式につきましては、現在、特に米で普及した制度でございます。農業者による損害評価やいわゆる坪刈りによる査定方式など、事務コストが逆にかかる、そういう将来に向けて継続するということが逆に困難な状況となっております。こうした背景を考えて、これを廃止するということとしたわけでございます。農業者にとってメリットがある措置で、結果的にそうなるだろう、メリットがあるだろうというように考えております。
 一筆方式をこの際廃止しましたが、廃止したとしましても、他の方式の中で簡単な査定で一定の場合に一筆ごとの損害を補償する一筆半損特例、御指摘のとおり、これを設けております。こうしたことによりまして、他の方式に移行した場合、より安い事務負担や掛金で、従来一筆方式で補償されていた一筆ごとの被害もかなりの程度補償されることとなるわけでございます。この点でも一筆方式の廃止が農家に不利益をもたらすことにならないようにと考えるところでございますし、一筆方式をとったこれまでの英知は受け継がれているというように考えているところでございます。

○斉藤(和)委員 いずれにしても、やはり小規模な農家も含めて災害があったときにきめ細かく受けられる共済制度というのがやはり地域を守ってきたと思うんです。そこを掘り崩すようなことはぜひやめていただきたいなということを強調して、次に質問させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。