自給支える種子法 廃止法案に反対
投稿日:2017年03月23日

193-衆-農林水産委員会-4号 平成29年03月23日

○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
 質問が重なることもあるかとは思いますが、御理解をいただければというふうに思います。
 まず、主要農産物種子法の廃止法案について質問をいたします。
 今までも議論がありましたとおり、種子は人類共有の公的な財産です。最も基本的な農業生産資材。種子の供給の過不足が農業生産を直接左右する。種子の品質のよしあしがそのまま農産物の生産性や品質のよしあしに直結するわけです。だからこそ、主要農産物の種子は、その優良な種子の生産、普及及び品種改良を、国、都道府県の公的機関が責任を持って行うことで農民に良質な種子を安定的に供給してきた、そういう法制度と言えます。その種子法を、率直に言って、廃止すべきではありません。
 そもそも、大臣にお聞きしたいんですけれども、これまで主要農産物種子法が果たしてきた役割、これをどう認識されていらっしゃるでしょうか。

○山本(有)国務大臣 昭和二十七年に制定されて、原種、原原種の生産、そして種子の普及及び優良な品種改良、そして奨励品種の指定、また、試験あるいは手続を義務づけるというようなたてつけの法律でございますが、これは、二十七年から今日まで、大変具体的に、我が国に大いに農業の分野で貢献できました。
 特に単収の増加、これがございました。そして、品種数の増加、これもございました。また、病害虫、災害、これらの抵抗性の向上、こうしたものが著しいわけでございます。こうした農業者の経営の安定とか消費者ニーズへの対応、食料の安定供給、こういったものに大いに貢献してきたわけでございます。
 ただ、もう何度も申し上げますとおり、都道府県だけでこの分野を担っていただく、それでは今後、大丈夫な面と大丈夫でない面を感じるわけでございます。
 特に、今後、民間が参入して、さらにコラボしながら、連携しながらさらに強い、いい種子開発というものが望めるならば、ぜひ、この種子法の大きな立場を維持しつつも、都道府県の主体による、都道府県に限定されたものを外しながら、国家的にこの種子が開発、供給できるというようなものを目指したい、こういうように思っているところでございます。

○斉藤(和)委員 大臣から、種子法が果たしてきた役割というのは非常に大きい、大いに貢献してきたというお話がありました。私もそのとおりだというふうに思います。
 種子を制する者は農業を制すと言われているとおり、種子は食料を生産する上でなくてはならないものです。だからこそ、種子の生産、普及を促進するために、国が、そして都道府県が責任を持って行ってきた。
 農業は、言うまでもなく自然が相手です。日本列島は、北から南まで、気候も風土も四季の変化も違います。平地もあれば中山間地もある。だからこそ、それぞれの土地に合った、気候に合った、そして病気に強い品種もたくさんつくられてきた。それぞれの場でこうした品種改良が繰り返される中で、優良品種が数多くつくられてきた。それは、まさしく今大臣がおっしゃったとおり、この主要農産物種子法があったからこそできてきたことなわけです。
 それが廃止されたもとで、こういうふうに都道府県が果たしてきたこれまでの役割、そして体制、これが崩れるのではないか、こういう懸念がたくさん出されているわけですけれども、いかがでしょうか。

○齋藤副大臣 累次の御答弁と重複をいたしますけれども、この主要農作物種子法の廃止後も国や都道府県の主要農作物種子の開発、生産、流通、管理における基本的な役割は従来までと変わるものではないと認識しておりまして、今後はむしろ、民間のノウハウが一層活用されて、広域的、戦略的に種子の開発、生産等が進められていくのではないかと考えております。
 もう繰り返しになるので申し上げませんが、私の経験だけちょっと一言申し上げますと、私はある県で副知事をやっておりまして、農林部も担当しておりました。そして、そのときに、誰も言ってくれないのであえて宣伝しますと、彩のかがやきというお米を開発いたしまして、それを大々的にその県の農家の人たちに生産をお願いしてまいりましたが、これが主要農作物種子法に基づいて行っているという認識は全く当時ございませんでした。
 やはり、県といたしましては、自分たちの農家にとってプラスになるようなことでブランド化を進めていこうということでやってきておりますし、これが、この種子法が廃止されたからといって、直ちにマインドが変わるというふうには、私の経験上は考えられないなと思っておることをつけ加えさせていただきます。

○斉藤(和)委員 そのとおりだと思います。
 私も、農林総合研究センターに行って話を聞いてきました。皆さん方、やはり、少しでもおいしい米を、そして病気に強いお米をといって、現場で必死になって品種改良をやって頑張っているわけです。
 しかし、その品種改良というのは簡単にできるものではありません。先ほどもありましたとおり、早くても八年から十年、十五年という長期にわたるものです。しかも、稲、麦、大豆は、生命を維持するために必要な基幹作物だからこそ、その種子の生産というのは失敗が許されないわけですね。品質のいい種子を安定して供給することが求められてきた。だからこそ、それを都道府県の試験場がそれぞれ担ってきたわけです。
 国は、一九九八年、平成十年までは、圃場の審査などに要する都道府県の経費を国が補助金という形で出しているという、まさに国の責任としても主要農産物種子をちゃんと生産していこう、普及していこう、こういうことをやっていた。しかし、九八年の改正で、補助金から一般財源にし、都道府県の判断に委ねるということをやったわけですね。
 そもそも、種子法があるからこそ、一般財源であっても予算確保の主張の根拠になってきたのではありませんか。種子法がなくなったもとでも予算が確保されると。
 都道府県は、確かに、種子法というよりは、もう一般財源化していますから、色はついていません。だから、それぞれの試験場は、必死になって自分たちがやっている役割を県当局に伝えて、自分たちの予算確保のために頑張っていますよ。だけれども、それは、やはり国がちゃんと、色はついていないけれども、一般財源の中で予算を確保してきたからですよ。
 これは、種子法がなくなって、どうやって予算を確保するか、その担保を国は考えているんですか。

○齋藤副大臣 今委員御指摘のように、この主要農作物種子法に基づく補助金そのものは、地方分権の推進を図るという観点から平成十年に一般財源化をされておりまして、当該補助金に相当する部分は、地方交付税の単位費用算定基礎のうちの生産流通振興費に上乗せされるという形で手当てをされてきているところでございます。
 その手当てで、交付金を確保していく上では、確かに法律があるということはプラスに働くのは委員がおっしゃるとおりだろうと思いますけれども、ただ、今般の種子法の廃止が、都道府県による種子の生産、普及に係る取り組みそのものを否定するものではありません。
 したがって、都道府県は、今後は、各都道府県の判断におきまして、引き続き種子の生産、普及に関与する。先ほど申し上げましたように、私は、この法律が廃止されたからといって、それぞれの都道府県が今やっている、一生懸命自分たちで開発したものを奨励していくということが直ちに大きく変わっていくとはとても思えないわけでありますので、引き続き、都道府県の判断の中で、重要な政策として位置づけられていくというふうに思っております。そして、ヒアリングでもそういうことが確認をされているわけであります。
 ただ、それだけでは担保が弱いというふうに思いますので、種子法に関係する事務を対象として現在措置されている地方交付税につきましては、引き続き、農業競争力が根拠として措置されることが望ましいと我々も考えておりますので、今後、平成三十年度予算編成過程において、この法律が廃止されてもしっかりと位置づけられるように、関係省庁に働きかけてまいりたいと思っております。そういう意味で、御懸念に対応してまいりたいと考えております。

○斉藤(和)委員 ある意味、都道府県の判断に任せて国は手を引く、こんなことは絶対に許されないわけで、法律がなくなったとしても、やはり予算を確保するという話がありました。それは必要です。しかし、やはり、種子法をなくすという意味は、財政当局との交渉の上でも非常に大きいウエートになるということですよ。それをなくしてしまうことの意味。
 それから、もう一つは、競争力強化の中で位置づけるとありました。これも問題なんですね。
 先ほども出ましたけれども、競争力強化支援法案の第八条の四のところに、「独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。」この知見を有しているから、都道府県の種苗に対する、種子に対する知見を都道府県は持っていないといけないので、これを担保に予算を確保するというようなことを聞きましたけれども、そもそも、この民間業者への提供する知見とは何なんでしょうか、具体的に。
 それから、この文章を真面目に読めば、都道府県みずからが今までやってきた業務を継続して知見を深めたり拡大するということには読めないわけですね。むしろ、都道府県が持っている知見を民間に開放しなさい、提供しなさいというふうに読めるわけですけれども、いかがでしょうか。

○柄澤政府参考人 お答えいたします。
 今までの経緯を見てみますと、稲、麦、大豆の種子のほとんどにつきましては、まず、独立行政法人の試験研究機関ですとか都道府県の農業試験場が優良な品種の開発を行い、そして都道府県が指定した原原種圃あるいは原種圃において増殖した原原種や原種をもとにしまして、都道府県が指定した採種農家が一般種子の増殖を行うということで農家に供給されてきております。
 この一連のサイクルの中で長年やってまいってきておりますので、どうしても独立行政法人ですとか都道府県の有する知見が非常に厚くなっております。民間事業者との間で知見のレベルにギャップが生じているというのが現実でございます。
 今般の農業競争力強化支援法案におきまして御指摘のような条項があるわけでございますけれども、この内容としましては、民間事業者による種子生産への参入を促進するために、必ずしも品種自体の遺伝情報というようなものだけではなくて、今申し上げました一連のプロセスの中の、原原種圃あるいは原種圃を設置する技術ですとか、あるいは高品質な種子を生産するための栽培技術、さらには種子の品質を測定するための技術というようなものにつきまして民間事業者に提供を促進するということでございますけれども、これはあくまで、都道府県等に対してその提供を強制するといった趣旨のものではございません。

○斉藤(和)委員 強制するものではないというお話がありました。
 都道府県は、農家の皆さんと一緒になって、農林一号というのがありますけれども、それ以来ずっと品種改良が積み重ねられてきたわけです。少しでもおいしい米をつくろうと積み重ねてきた。そういう中で、ノウハウが都道府県のそれぞれ試験場の中にある。それを民間に開放する。
 もし、こういう種の、まさに地域の共有財産、これを開放して、例えば育成者権を盾に民間に独占されるという危険はないのか。都道府県の種子の改良、生産、普及を推進し、財源を確保するどころか、むしろこうしたシステムを壊すことになるのではないか。都道府県がこれまで改良してきた品種の扱いというのはどうなるんでしょうか。そもそも、それも含めて民間に開放するということなんでしょうか。

○西郷政府参考人 都道府県が開発した品種の取り扱いはどのようになるのかというお尋ねでございますが、それらを全て民間事業者に開放してしまうのかというお尋ねでございます。
 農林水産省といたしましては、研究成果が速やかに国内生産者に普及していく、都道府県の生産者に普及していくということなど、我が国の農業の発展に貢献すると考えられる民間事業者に対して研究成果を提供していくということが適切であると考えております。
 都道府県に対しましてもこのような考え方をお伝えしまして、こういった点を考慮した上で研究成果の提供の適否あるいは提供の方法等についても判断していただくよう促してまいりたいと存じております。

○斉藤(和)委員 つまり、研究成果を提供する。これは重大な問題だと私は思うわけです。民間に開放するということは、開発に投入したコストに見合う利益を上げなければならない、これは当然です。品種改良には時間もコストもかかります。それが全て種子の価格に上乗せされることはないのかということが問われるわけです。
 農水省が作成された資料でも、都道府県が開発したコシヒカリ、二十キログラム当たり七千九百二十円、ヒノヒカリは七千六百七十円です。その一方で、民間企業のとねのめぐみは一万七千二百八十円。業務用は、きらら三九七が七千百円、まっしぐらが八千百円、民間企業のみつひかりは二十キログラム八万円です。
 種子法を廃止しても種子の価格が値上がりすることはないと言い切れるでしょうか。

○柄澤政府参考人 お答えいたします。
 私どもが各都道府県に聞き取ったところによりますと、大半の都道府県は、種子法が廃止されても引き続き種子の生産、普及に関与するとおっしゃっておられますので、今後とも都道府県の体制が同様で推移することを前提とすれば、県の生産、普及する種子の価格自体が高くなるということは想定されないところでございます。
 一方、種子法の廃止と同時に、農業競争力強化支援法案の新規参入支援措置等も講じますので、民間企業の種子生産への新規参入が促進され、また一方、都道府県のコスト削減も図られるというようなことになれば、種子価格の引き下げにつながる可能性もあるということだと思います。
 今委員御指摘の、民間事業者が種子生産を行っている品種について、現状で、確かに都道府県の品種よりも高いものもございます。しかしながら、そういったものについては、かなり収量が高いというようなことで、種子の値段を収量でカバーするということで、結果、農業者の所得が従来の品種より高くなるというようなデータがございまして、そういうことが農家も実感されている関係で、現にそういった品種が生産者によって活用されているということでございます。
 いずれにしましても、種子法の廃止によって、県と民間事業者の連携による種子生産が促進されることによりまして、供給される種子のバラエティーが多様化するということで農業者にとって選択肢が広がる、メリットになるという考え方でございます。

○斉藤(和)委員 種子の価格は上がらないというような話ですけれども、先行投資で種子を買って八万円払えというのは、それ自体が、自分のうちで米をつくってというふうに考えている人にとってはできないわけで、やはり、多様な農家の人たちを、物がつくりたいと思っている農家の人たちをしっかりと支えていくという観点からいったら、都道府県が今まで果たしてきた、種子を安定的に、安価に供給するということは、絶対欠かせないわけです。
 私がおかしいと思うのは、農業力強化支援法でも、要は、農業資材や飼料、農薬は高いから下げろと言っているわけですよね。その一方で、種子の価格は上がっても構わないというのはおかしいんじゃないかと思うわけです。
 安倍政権が掲げている農業改革というのは、先ほどもありましたけれども、農家の声を聞いているのかと。聞いていないわけですよね。農家のためなのかと、本当に。民間企業に今までの蓄積を開放すると言っているように、民間企業のためなんじゃないんですか。いかがですか。

○山本(有)国務大臣 御指摘のように、政府を挙げて農業競争力強化を図らなきゃならぬわけでございますし、都道府県の枠というものに必ずしもとらわれずに、種子の生産、普及、これを進めたいというように思っております。
 ですから、法制度として、都道府県と民間企業がさらに協力し合って、農家のためになる、そういう種子の開発、研究、そういったものができないかということがこの法律の廃止の趣旨でございますが、委員御指摘のように、民間企業のためにやっているというお叱りは、私ども全く考えるところではありませんで、優良な品種を決定するために試験や原種、原原種の生産の義務づけというものを廃止して、そして、奨励品種が民間でも指定されることによって、さらに民間の力を今まであった都道府県の力に加えさせてもらうということが必要なのではないかというように思っております。
 こうした取り組みが、農業者の選択肢を拡大して、大いに将来的な所得向上のメリットになるというように思っております。

○斉藤(和)委員 農業者の選択肢が拡大されて、いわば選択肢をふやすというのは、今までの体制で、多様な品種が、それぞれの都道府県、地域に合ったものが開発されている、種子法のもとだからこそ私は選択肢があるというふうに思うんです。
 民間企業には、もちろん外国資本も入ってくるわけですね。既に世界では、今まで中小を含む多くの種子会社が遺伝資源管理の一端を担ってきましたが、そうした種子会社がモンサントなどの多国籍企業によって世界じゅうで囲い込まれて、国際的な問題になっているわけです。
 二〇一四年、商品種子市場は、世界全体で約四百億ドルと言われています。モンサント、デュポンなど上位四社の占有率五八%、上位八社の占有率は七三%とまで言われているわけですね。
 こういうことが、今まで日本は種子法があったから、米、麦、大豆では遺伝子組み換えも含めて入ってきませんでしたけれども、それさえも脅かされかねない、そういう状況になる懸念はありませんか。

○山本(有)国務大臣 繰り返しになりますけれども、主要農作物種子法というものの中に、知的財産の保護あるいは外国資本の参入防止というような規定がございません。したがいまして、現在でも外国資本が参入する可能性がございます。
 また、御指摘の多国籍企業、特にアメリカの大資本の企業が種子についての大きなシェアを持っているというようなお話でございまして、先ほど佐々木委員にもお答えをさせていただきましたけれども、私の大きな思い違いが一つございました。カナダで栽培できない、あるいは流通していないということを申し上げましたけれども、遺伝子組み換えの作物、カナダは今現在ではその栽培や流通が認められているそうでございまして、訂正させていただきます。
 しかしながら、こうした大きな企業の餌食になるような、そんな農業を目指すわけではありませんので、特に、現在でもこれを規制されていないわけでございますが、入ってきていないということにおいて、いわゆる日本のマーケットに対しては、さほど多国籍企業の興味が、あるいは魅力がないというように我々は考えるところでございます。

○斉藤(和)委員 そういう認識でいいのかというふうに思うわけです。
 米ではありませんけれども、世界の遺伝子組み換え作物の栽培状況、二〇一五年の資料を見ますと、遺伝子組み換え品種の作付割合、大豆では八三%とも言われています。要は、作付面積の八三%はもう既に遺伝子組み換えになってしまっていると。こうした結果、世界的に、この二十年間で遺伝子組み換えの大豆の種代は四倍に上がったというようなことまで言われているわけです。
 こういう脅威から、ある意味、種子法があったからこそ、米、麦、大豆は守ってこられたわけですよね。そういうことに対して、余りにもこれを廃止するということに対する危機感がないのではないかということをちょっと指摘しまして、次に、農業機械化促進法廃止法案について聞きます。
 農業機械化促進法に基づいて、農業機械の検査業務、鑑定業務は極めて重要です。私も現場に行ってお話を聞いてきましたけれども、話を聞けば聞くほど、なぜ廃止なのかというふうに疑問に思いました。
 そこで、二〇一六年六月に変更された農研機構の中長期計画で、「11 農業機械化の促進に関する業務の推進」、(4)に「農業機械の検査・鑑定」というのがあるんですけれども、ここにはどのように機械の検定、鑑定が位置づけられているでしょうか。

○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘いただきました、二〇一六年六月に改定いたしました中長期計画の中で、農業機械化促進法に基づいて行います農業機械の検査につきましては、安全性評価の充実を図りつつ、効率的かつ効果的に実施すると位置づけまして、具体的には、農業機械の安全性の向上に向けまして、国内外の規制、基準の動向等を踏まえ、事故防止や被害低減に向けた安全性評価に資するような評価試験の充実を図ること、また、型式検査合格機の情報について、検査成績の内容等をウエブサイトを通じて広く一般の用に供すること等が掲げられてございます。
 また、鑑定につきましても同様の位置づけをいたしました上で、環境性能評価の充実を図りながら効率的、効果的に実施するという、環境面の評価の充実も記載してございます。

○斉藤(和)委員 つまり、充実を図り、型式検査のところでも、その情報を広く一般の人が利用できるようにウエブサイトで公開するような、そういうことが必要じゃないかとまで言われている。廃止なんてことはないわけですね。むしろ充実させる必要がある、そういうふうに中長期計画では定められているのに、なぜ型式検査の制度を廃止しなければならないんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

○山本(有)国務大臣 今回の農業競争力プログラムの策定の中で、型式検査について必要性を点検いたしました。そうしますと、製造技術が進展をしておるために、検査によって性能をチェックする必要性というのは極めて低減、低下しております。そしてまた、十六年度以降は安全性に係る検査を除きましては受検実績が一件もないということでございました。
 したがって、いわば農業機械の製造技術がおくれているから何とかしてほしいというような、念願の、この法の趣旨というのは没却されてしまった、こういうことでございます。
 安全性の検査につきましては、農作業の安全確保をするために、農研機構法に位置づけることにおいて引き続き実施することになっておりますし、この法案の廃止後の農研機構に、中長期の目標とかあるいは中長期の計画をお願いしてやっていただくということに改正することになるわけでございますが、安全性の検査については、その中にしっかり位置づけさせていただくわけでございます。
 そんな意味で、中長期計画、これに、この検査を廃止するということとの整合性を持たせていただいたということでございます。

○斉藤(和)委員 検査の成績内容、機種の特徴等を容易に検索、比較できるデータベースを充実させ、ウエブサイトを通じて広く一般の人が利用できるようにしようじゃないかというのが中長期計画に書かれていたわけですよね。むしろ、要は、廃止するということをいろいろ言われましたけれども、では、お聞きしますが、今の農業機械の安全確保は、農業者の高齢化の進展の中で、死亡事故も増大しています。ある意味、至上命題なわけですね。
 二〇一五年八月に、農業資材審議会農業機械化分科会が開かれます。農業機械の安全確保が審議をされ、そこにおいても、提出された資料には、農業機械、農作業の一層の安全確保に向けて、メーカーへの型式検査受検、安全鑑定受験の促進というのが書かれているんです。なくせではなくて、安全確保のために型式検査の受検を促進しようじゃないかと書かれている。
 さらに、これらの議論を進めてきた農業資材審議会農業機械化分科会への農業機械化促進法廃止法案について説明したのが三月の十七日です。要は、もう法案が提出された後に審議会に出されている。まだ議事録も公開されていません。どんな意見が出たのかも見ることができません。
 こんな、審議会もすっぽ抜けて、意見も聞かずに、農業機械促進こそが必要だ、安全性を担保するために必要だと言っているのに、余りにもこれは乱暴なやり方なのではないですか。いかがでしょうか。

○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
 農業機械化促進法につきましては、先ほど大臣からも御答弁いたしましたけれども、今回の生産資材に関します各種の法制度等総点検していく中で、社会的な必要性が低下していることから廃止するということをしたところでございます。
 ただ、農作業の安全自体は、これ自体は、この法律で、機械化促進法で担保しているものではございませんけれども、安全性の検査また鑑定というのは非常に重要でございますので、これは同法の廃止法の附則の方で、農研機構法で明確に規定をして、これからも安全性検査また鑑定はやっていくということございます。
 なお、審議会につきましては、農業資材審議会の農業機械化分科会で機械の関係は審議いたしますけれども、この法案そのものの改廃自体は審議事項ではないので、事前の御審議はいただいてございませんけれども、閣議決定いたしましてから、御指摘ございましたとおり、三月十七日に分科会を開催いたしまして、委員の方々に御説明をいたしました。
 委員の方々からは、同法の廃止についての御意見は特段ございませんでした。ただ、今後の機械開発に当たっての農業者の声をよく聞くべきだとか、部品の共通化とか標準化とか、そういうふうな前向きの御意見を多々いただいてございますので、そういう御意見をまたしっかり受けとめまして、今後の農業機械の開発、農作業安全対策の充実に生かしてまいりたいと存じます。

○斉藤(和)委員 種子法にしても機械化促進法にしても、現場の意見から上がってきたものではない、しかも、やり方が非常に乱暴過ぎる。こういうやり方は改めるべきだし、これは廃止させるべきではないということを最後に強調して、質問を終わります。
 ありがとうございました。