本会議・賛成討論 農水相に対する不信任決議案
投稿日:2016年11月10日

※写真=しんぶん赤旗提供

192-衆-本会議-10号 平成28年11月10日

○斉藤和子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました山本有二農林水産大臣に対する不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
 第一に、山本有二農林水産大臣の二度にわたる国会審議を愚弄する暴言は断じて許されません。
 山本大臣は、十月十八日、佐藤勉議院運営委員長のパーティーで、私は内心思っております、強行採決するかどうかはこの佐藤勉さんが決めるであろう、ですから、私ははせ参じたわけでございますと発言しました。これは、政府が国会に露骨に介入し、しかも強行採決をけしかけるものであり、国民の厳しい批判を浴びたのであります。
 ところが、山本大臣は、不適切な発言で御迷惑をおかけし申しわけないと述べた直後の十一月一日、田所議員のパーティーで、この間冗談を言ったら首になりそうになりましてなどと発言したのであります。強行採決発言を冗談というなら、国会で陳謝したことも冗談だというのでしょうか。
 山本大臣はみずからの発言の重大性も全く認識しておらず、反省もしていないことは明らかです。野党四党が辞任を要求したのは当然です。
 第二に、利益誘導発言です。
 山本大臣は、十一月一日の田所議員のパーティーで、JAの方々が大勢いらっしゃるみたいでございますので、あすでも田所先生の御紹介で農林省に来ていただければ、何かいいことがあるかもしれませんと発言しました。利益誘導そのものであり、大臣としての資格も資質もないことは誰の目にも明らかです。
 その一方で、農家の願いには全く聞く耳を持たず、踏みつけにする態度をとってきました。それは、九月に発覚した輸入米価格偽装問題での対応に端的にあらわれています。
 山本大臣はTPP特別委員会で、輸入米は国産米価を押し下げていないと答弁を繰り返しました。しかし、実際には、輸入米は国産米より二割も安く取引されていることが明らかになり、輸入米と国産米は同じような価格だから影響はないとしてきた政府の主張は根底から破綻しました。
 ところが、山本大臣は野党が何度も求めた調査を行いませんでした。大臣の責任は、農家や国民の納得が得られるよう事実を明らかにすることであって、事実を隠したり、ごまかしたりすることではありません。
 多くの農家が、安い米価のもとで、減反や飼料米への転換を余儀なくされながらも、歯を食いしばって米をつくり続けているんです。だまされたという農家の怒りの声が大臣には聞こえないのでしょうか。農家に対してこれほど不誠実な大臣が農林水産大臣の職にあることに憤りを感じざるを得ません。直ちに辞任すべきです。
 第三に、山本大臣が、国会決議に違反し、公約に反して、農林水産業に甚大な打撃を与えるTPP協定を推進していることです。
 二〇一三年の国会決議は、日本にとって重要な米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖などの五つの農産物について、除外または再協議とするとしています。ところが、政府でさえ、重要五品目で無傷のものはないと答弁したではありませんか。
 さらに、日本だけに課せられた七年後の再協議規定で、さらに厳しい譲歩が強いられることは明白であります。明らかに国会決議違反です。
 それだけではありません。山本大臣は、二〇一二年の総選挙ではTPP断固反対を掲げて当選しました。ちょうど一年前の十一月、JA土佐くろしお主催の祭りで、TPPの合意は撤回し、協定への調印、批准は行わないことという請願に署名したのであります。TPP大筋合意の直後に、合意は撤回、批准は行わないと表明しながら、TPP批准に突き進む。こんなにも農家や国民を欺く姿勢はありません。
 最後に、このような山本大臣を任命し、かばい続け、TPP協定を強行しようとしている安倍首相、自民、公明両党の責任は重大です。
 十一月四日、TPP特別委員会の塩谷委員長は、同日の本会議の開催が議院運営委員会で協議されているさなかに、職権で一方的に委員会を開催し、民進党、日本共産党の質疑権を奪い、TPP協定と関連法案の強行採決に及びました。
 これは、国会のルールも無視した前代未聞の暴挙であります。我が党が要求したように、委員会に差し戻し、審議続行するのが当然であります。
 今や、TPP参加のどの国でも、TPPに反対する市民の声が渦巻いています。それは、TPPが投資家や多国籍企業の利益を優先して、国民の権利と国の主権を危うくし、食の安全を脅かし、雇用を奪うからであります。日本の農林水産業を破壊し、豊かな自然と地域社会を荒廃させることも明らかです。
 アメリカでは、TPPに断固反対だという大統領が誕生しました。

○議長(大島理森君) 斉藤君、時間が来ておりますよ。

○斉藤和子君(続) 今からでも遅くはありません。日本でも、全国津々浦々に怒りの声が渦巻いています。この声に耳を傾け、TPP協定及び関連法案の採決はやめるべきです。
 以上、賛成討論を終わります。(拍手)