本会議 農協法反対討論 2015年6月30日
投稿日:2015年06月30日

189-衆-本会議-36号 平成27年06月30日

○斉藤和子君 私は、日本共産党を代表して、農協法等の改正案に反対の討論を行います。(拍手)
 本法案は、安倍総理主導のもと、農業を企業のもうけの場に開放するため、邪魔になる農協や農業委員会の解体に道を開くものです。農協を岩盤規制の象徴として描き出し、六十年間続いてきた制度に穴をあけるとしていることは、とんでもありません。政府が本当に農業の再生を願うなら、再生産可能な価格保障を実現し、歯どめなき農産物の輸入拡大路線こそ見直すべきです。
 以下、具体的な反対理由を述べます。
 協同組合は、自主自立が基本であり、理事の資格の導入などの改革案を政府や規制改革会議が押しつけるものではないということです。JA全中がみずからまとめた自主改革案こそ尊重すべきです。
 参考人質疑などでも、本改正案への積極的な賛成の声は聞かれず、現場の意見が反映されていない、改革の的がずれているなどの批判の声が相次ぎました。
 国際協同組合同盟理事会は、日本の農協運動の結束を解体する法改正に大きな懸念を表明し、日本の農協が農業者や地域社会に提供しているサービスを縮小し、最終的には国民経済にとって逆効果となるだろうと厳しく批判しています。
 この改革は、農業者を置き去りにしているものであり、認めることはできません。
 また、本改正案は、これまで家族農業と地域社会を支えてきた総合農協の役割を否定するものです。
 本改正案の特徴の一つは、農協の目的として、営利の追求を強調していることです。株式会社化の導入で、営利が優先され、今赤字となっている営農指導や地域のインフラなど、農家や地域に必要不可欠なものさえ切り捨てられかねません。農外企業の横暴に協同して立ち向かう農協の目的と性格を否定して、どうして農業者を守れるのでしょうか。
 さらに、JA全中の監査指導権限を奪うことや、信用、共済事業の分離、准組合員の利用制限などを狙っていることは許されません。
 もう一つ重大な問題は、農業委員会の公選制を廃止し、農地の番人としての農業委員会制度を骨抜きにし、農地への企業参入を促進することです。
 農地は、単なる土地ではありません。先祖代々その土地を耕し、土をつくり引き継いできたものだからこそ、農民の農地に対する思いは特別なものがあります。
 農地の権利の移動や転用にかかわる農業委員会は、農業者がみずから代表者を選ぶことで、農家から信頼され、農地の守り手として役割を発揮することができたのです。それを市町村長の任命制に変えて、これで本当に農地を守ることができるのかと不安の声が出るのは当然です。
 さらに、農業、農村の全般的な問題について意見する権利を奪い、農地利用に関するものに限定することは、農業委員会を形骸化するものです。
 加えて、農地法を一部改正し、農地所有の法人の要件緩和を進めることは、企業による農業や農地への参入をさらに進めるものであり、許すことはできません。
 今、TPP交渉が重大な局面を迎えています。多くの農家が不安を強めているときに、農家の声を束ねTPP反対を訴えてきた農協組織の解体を進めることは重大です。協同組合の自主性を奪い、家族経営を基本にしている日本の農業と農村の将来に重大な禍根を残す、農業組織の解体ともいうべき本法案を廃案にすることを求めて、反対討論を終わります。(拍手)