193-衆-農林水産委員会-8号 平成29年04月18日
○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
きょうは、砂糖の需要や食の安全にかかわる人工甘味料スクラロースについて質問をします。
スクラロースは、イギリスで開発をされた砂糖を原料とする甘味料です。日本では一九九九年七月に食品添加物に指定をされました。砂糖の六百倍の強い甘みがある一方で、カロリーは一グラム当たりゼロカロリー。このため、カロリーオフやカロリーゼロのダイエット飲料やガム、ドレッシング、デザートなど多くの加工食品に使用されていて、無意識のうちに結構私たちはスクラロースを口にしています。
しかし、スクラロースは毒性の強い化学物質と同じ有機塩素化合物であることから、安全性への懸念を持っている方もおられたり、指摘もされている。こうした中で、人工甘味料不使用などの表示を目にすることもあるようになりました。
そこで、このスクラロースの一日摂取許容量は体重一キログラム当たり十五ミリグラムとされているわけですけれども、スクラロースは、それぞれ使用する品目ごとに使用基準が設定されています。どのようになっているでしょうか。
○北島政府参考人 お答えいたします。
我が国におけるスクラロースの使用基準は、食品、添加物等の規格基準において、使用できる食品とその使用限度量が定められております。
具体的には、生菓子や菓子については一キログラムにつき一・八グラム以下、ジャムについては一キログラムにつき一グラム以下、清酒、果実酒、清涼飲料水、乳飲料などについては一キログラムにつき〇・四グラム以下、コーヒー等に直接加え、砂糖に代替する食品として用いられるものについては一キログラムにつき十二グラム以下などとされております。
○斉藤(和)委員 このように、スクラロースは、それぞれの使用品目ごとに使用量が設定をされているわけです。
このスクラロースが一体どこで製造をされているのかということなんですが、日本では製造をされていないので、全て輸入されているという理解でよろしいでしょうか。
○北島政府参考人 厚生労働省といたしましては、個々の食品添加物について国内製造量を把握しておりませんが、関係団体によりますと、食品添加物として国内で流通しているスクラロースにつきましては、全て輸入されているものであると聞いております。
○斉藤(和)委員 全て輸入だということです。
このスクラロースというのは、イギリスのテイト&ライル社というところによって開発をされました。なので、製法の特許があるために日本ではつくられていないということで、全て輸入だということです。
日本でつくられていないということですので、繰り返しますが、今私たちが食している食品添加物として加工品の中に入っているスクラロースは、全て輸入から入ってくるということでよろしいでしょうか。
○北島政府参考人 ただいまお答えいたしましたとおり、全て輸入されているものであると関係企業から伺っております。
○斉藤(和)委員 それで、このスクラロース、食品添加物については、その生産量と輸入量に基づいて、摂取量調査というのが行われています。
平成二十六年三月にまとめられたものがあるわけですけれども、平成二十五年、厚生労働科学研究費補助金で行われた食品添加物の規格試験法の向上及び摂取量推定等に関する研究、分担研究、食品添加物規格試験法の向上と使用実態の把握等という中で、食品添加物の生産量統計調査を基にした摂取量の推定に関わる研究、その一、指定添加物品目、第十回最終報告というのがあります。これが摂取量調査では最新のものだというふうに思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○北島政府参考人 御指摘の研究につきましては、研究としては最新のものであると認識しておりますが、平成二十七年度に実施された、実際に流通している食品の調査であるマーケットバスケット方式による一日摂取量調査の結果では、スクラロースの一人当たりの一日摂取量は〇・八二五ミリグラムとなっております。
○斉藤(和)委員 マーケットバスケット方式で二十七年があるというお話でした。その前に、研究調査としては二十六年三月にまとめられたものが最新だということですので、この研究調査に基づく、この平成二十六年三月にまとめられた調査結果、ここでスクラロースの状況はどのように記載をされているでしょうか。
○北島政府参考人 御指摘の研究報告書によりますと、純食品向け出荷量は十八万キログラム、純食品向け査定量は十四万キログラム、摂取量は十一万二千キログラム、一日一人摂取量は二・四ミリグラムとされております。
○斉藤(和)委員 つまり、十八万キログラムということですから、スクラロースの純食品向け出荷量は、トンに直すと百八十トン、純食品向け査定量が百四十トン、摂取量が百十二トン。百トンを超えているわけです。
スクラロースは、先ほど御答弁があったとおり、確認したとおり、全て輸入されているわけですから、この二十六年の調査によれば百八十トンのスクラロースが輸入されていることになります。
そこで、財務省にお聞きします。
スクラロースの輸入量は、貿易統計上、二〇〇〇年から二〇一一年まで、毎年どのようになっているでしょうか。
○三木大臣政務官 斉藤委員の御質問にお答えいたします。
貿易統計におけるスクラロースの輸入量につきましては、二〇一一年の統計から区分を変更し、スクラロース単独での輸入数量の方を記載させていただくようになりました。このため、それ以前のスクラロースのみの輸入量は把握しておらないところでございます。
御質問のあった期間のうち、貿易統計においてスクラロースの輸入量が把握されているのは二〇一一年のみでございまして、輸入量は約十六・六トンでございます。
○斉藤(和)委員 二〇一一年から区分を変更したというお話がありました。
そのスクラロースの区分、HSコードで検索をしますと、まさに今おっしゃったとおり、二〇一一年より前は輸入量がゼロの記載なんですね。
そうすると、区分を変更されたということですが、区分を変更する前は、ではそのスクラロースという区分で輸入量は把握していないということなんでしょうか。
○三木大臣政務官 お答えいたします。
二〇一〇年以前はその他の非縮合フラン環というものの中に含まれておりまして、スクラロースのみの輸入量は把握しておりません。
○斉藤(和)委員 スクラロースのみの輸入量は把握していないという御回答でした。
ただ、二〇一一年、今言われているのは、記載されているのが十六トンというお話がありました。厚生労働省の数量でいえば、先ほど確認したとおり、スクラロースの純食品向け出荷量は百八十トンなわけですね。貿易統計では、今のお答えだと十六トン。だから、十数トンぐらいで推移しているわけです。桁が違うわけですね。
国内で生産されていないということで全量が輸入されているわけですから、非常に、どうなっちゃっているのか。無から有は生まれないわけで、理解に苦しむわけです。
厚生労働省はこの点、どのように受けとめられますでしょうか。
○北島政府参考人 御指摘の研究報告書による数量については、アンケート方式により、国内の企業から申告をされた数値を積算したものであり、調査対象年度を平成二十二年度としております。
一方で、財務省の貿易統計におけるスクラロースの輸入状況につきましては平成二十三年以降から統計がとられているものであり、単純に比較はできないものと認識をしております。
また、貿易統計につきましては、税関において申告された数値をもとに集計しているものと承知しており、先ほどの研究における推計方法とは異なるものと認識しております。
○斉藤(和)委員 それにしても違い過ぎるわけですね。
スクラロースは、一九九九年七月から食品添加物に指定をされて、先ほど紹介したとおり、多くの加工食品に使われていて、流通をしているわけです。いろいろ、さまざまな調査が行われているわけですけれども、十年間はスクラロースとしては把握をしていないというお話でした。
実際に輸入されていたが、特定の企業の依頼で、特定の国からの輸入量を、財務省は財務省統計から削除したり反映させないということはあるんでしょうか。
昨年の財務省貿易統計資料で見ますと、中華人民共和国からの輸入のみで、その数量は一万八千百三十八キログラムというふうにされています。最大の輸入国である、つまり、イギリスから特許をとって工場をしているのがアメリカなんですが、このアメリカからの輸入量というのは記載がないんです。財務省、どういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。
○三木大臣政務官 委員の御質問にお答えさせていただきます。
貿易統計におきましては、貿易取引の実態を極力正確に示す必要がある一方、例えば取引の単価など、輸出入業者の営業上の秘密が明らかとなることで不測の損害を与えないように十分配慮する必要がございます。
このことから、経済統計に関する国際条約、その議定書の第一編の(2)においても、「個個の事業所に関する情報を漏らす結果となるような事項を収録し、又は発表するいかなる義務も課するものではない。」とされているところでございまして、また、こうした点を踏まえまして、関税施行令においても、「私人の秘密にわたると認められる事項については、証明書類の交付をせず、及び統計の閲覧をさせない。」とし、営業上の秘密に配慮することとしているところでございます。
このため、品目別のデータなどにおきましては、貿易統計の計数が輸出入量などの総数に満たないことということはあり得ることでございます。
○斉藤(和)委員 つまり、私人の利益にかかわるものは貿易統計には記載しない、そういう要請が企業側なりからあれば貿易統計には載せなくていい、公表もしないという理解でよろしいでしょうか。
○三木大臣政務官 委員の質問にお答えします。
取引の単価など、輸出入業者の営業上の秘密が明らかとなることによりまして営業上の不利益を与えないために、こういったことは公表しない場合もございます。
○斉藤(和)委員 財務省の、貿易統計とは何か、どのようなことがわかりますかというホームページにこういうふうに書かれているんですね。「貿易統計は、経済統計に関する国際条約及び関税法に基づき、我が国の貿易の実態を正確に把握し各国の外国貿易との比較を容易にすることにより、国や公共機関の経済政策、私企業の経済活動の資料に資することを目的に作成、公表及び閲覧されるもの」というふうに書かれているんです。
つまり、我が国の経済政策をつくる上で、この貿易統計はもとになって経済政策がつくられる、要はそういう役割に資する目的で作成されている、こういうふうに財務省のホームページにも書かれているわけですけれども、実際に、スクラロース、これは食品化学新聞社というのがレポートを出しているんですけれども、ここでも、大体需要量は百トンを超えているんですよね。しかし、貿易統計では十数トン。だから、桁が違ってしまう。
では、この桁が違ったものをもとに国は経済政策をつくるのかということになるわけですけれども、非常にこの経済統計そのものの信憑性というのが問われると思うんですが、いかがでしょうか。
○三木大臣政務官 委員の質問にお答えします。
委員御指摘のとおりの目的で貿易統計というものは出させていただいておりますので、貿易取引の実態を極力正確に示す必要があるというのは、もう議員御指摘のとおりでございますけれども、そのことによりまして、国内企業の営業上の秘密が明らかになることによって、不測の損害を与えかねない事態も予想されることでございますので、こういった場合には、統計に関する国際条約、ここにもありますとおり、この考え方に基づきまして公表を差し控えさせていただいているところでございます。
○斉藤(和)委員 財務省貿易統計の記載事項の変更あるいはホームページに記載される事項の変更というのは、先ほど御答弁があったとおり、私企業の営業の秘密に当たるものであれば消せるということですよね。
そうすると、例えば、関西のある企業が近畿財務局にお願いをすれば、ホームページに掲載されない、貿易統計には載らないということがあるということなんでしょうか。
○三木大臣政務官 お答えいたします。
そういった数字を明らかにすることによって、その業者の営業上の秘密が明らかになり、その業者にとって不利益になる、また不測の損害を与えかねない場合には、公表を差し控えさせていただいている場合があるということでございます。
○斉藤(和)委員 いや、もう本当に、そういうことをやっていたら、何を一体私たちは信じて統計を見るのかということになるわけですよね。
厚生労働省の調査では、先ほどもあったとおり、自主申告に基づいて、輸入量の大半を占めているある一企業の数量も記載をされている。財務省は、逆に言うと、輸入量の大半を占めている一企業の数量を除外して、その他の企業の数量を記載しているというふうにも見えるわけです。二つの省庁でそれぞれ真逆のデータを公表している。
事は、国民の口に入る、しかも、安全性に不安を感じている食品添加物で、人工甘味料の摂取量にかかわる問題なわけですから、これは明確にしていく必要があると思うんです。
食品添加物に限りませんけれども、貿易統計上、こういうふうに営業上不利益をこうむる場合、秘密にするということで明らかにしていないケースというのがほかにもあるのか、これを全てやはり明確にしていただきたい。何が出していないのかというところをはっきりさせていただかないと、私たちは一体何を見て議論すればいいのかという話になるわけですよね。ぜひ、その辺、いかがでしょうか。
○三木大臣政務官 委員の質問にお答えいたします。
先ほど申し上げましたように、営業上の秘密が明らかになる場合、また不測の損害を与えないように公表を差し控えさせていただいている品目はございますけれども、個々の品目の貿易実績について非公表扱いにしているものがどれか、あるいは非公表扱いにしているかどうかということは、この場ではお答えを差し控えさせていただきます。
○斉藤(和)委員 この場ではお答えを差し控えるということでしたので、ぜひ調べていただいて、どんな品目が非公開になっているのか、これをぜひ資料として提出していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○三木大臣政務官 委員の質問にお答えさせていただきます。
個々の品目の貿易実績について非公表扱いにしているかどうか、あるいはそれがどうかということは今回お答えを差し控えさせていただきたいと思いますので、どうぞ御理解いただけますようよろしくお願いします。
○斉藤(和)委員 非公表ということで、これではやはり議論できないわけですから、ぜひ、営業上の損害にならないような形で、せめてどれぐらい数量が、正確に、輸入されているのか、これぐらいは、やはり国民に責任を持つ政府として、私は提出すべきだと思うんです。
ぜひ、委員長、お取り計らいをお願いします。
○北村委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。
○斉藤(和)委員 ぜひよろしくお願いします。
最後に大臣にお聞きします。
人工甘味料、これは甘味料ですから、砂糖の需要にも影響をするわけです。
独立行政法人農畜産業振興機構が、近年における人工甘味料の動向だとか甘味料の需要実態調査というレポートをまとめているんです。そこでも、食品化学新聞社は、国内の需要量は百トンを超えている、しかし、貿易統計では十数トンになっちゃって、一体これは何が起こっているんだろうかというような、例えばこういうふうに書かれているんですね。世界市場の圧倒的なシェアを誇るイギリスのテイト&ライル社の生産拠点がシンガポールやアメリカなどにあることを踏まえると、これらの国から輸入されたスクラロースが他のHSコードに分類されている可能性も考えられると。要は、実態把握がよくわからないよということを農畜産振興機構もこのレポートに書いているわけですね。
甘味料ですから、繰り返しますが、砂糖の需要にかかわる。TPPの議論の中でも、重要品目の中に砂糖は位置づけられていたわけです。しっかり、この人工甘味料スクラロースの調査、実態を明らかにしていく。砂糖の需要にかかわる問題として、大臣としても責任を持ってやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 スクラロースの輸入量等に関する両省のデータが違うという点については不案内でございますけれども、食品添加物の安全確保に関しましては、厚生労働省がしっかり対応していただいているものと承知しております。
そこで、農林水産省としましては、食料の生産から消費までの段階において、食品の安全性の向上に取り組んでいるわけでございますので、引き続き、食品安全委員会や厚生労働省、関係省庁と連携を組んで、国民のニーズに応えたいというように思います。
それから、スクラロースを初めとする人工甘味料についての砂糖の業界への影響でございます。最近の調査で、人工甘味料の使用目的が、カロリーの低減化が主な目的であるということ、コスト削減のために砂糖の代替甘味料として使用している企業は少ないということでございました。また、砂糖とは風味が異なるために、人工甘味料への切りかえができないとする企業もあります。そういう観点から見まして、現時点では、人工甘味料が砂糖の需要を代替しているとまでは考えておりません。
また、一説によりますと、二十七砂糖年度における人工甘味料スクラロースの砂糖換算値で見ると一・二万トン、そして砂糖消費量は我が国は百九十三・五万トンですから、一%に満たないわけでございます。
そうした需給の状況からしましても、今後検討をしつつも、この人工甘味料の需給の影響についての心配は今のところないというように思っております。
○斉藤(和)委員 需給に影響しないというような御答弁で、私は非常に驚いているわけですけれども、やはり、幾ら入ってきているのかというのを政府全体が輸入量としてつかめていない、統計を見てもわからない、こういう実態は異常だと思います。
ぜひ、しっかり実態も調査をして、影響がないというのであれば、その事実を数字としても示していただきたいということを最後に強調して、質問を終わります。
ありがとうございました。