189-衆-農林水産委員会-19号 平成27年06月25日
○斉藤(和)委員 私は、日本共産党を代表して、農業協同組合等の一部改正案について反対討論を行います。
反対の第一の理由は、協同組合の改革は、自主自立が基本であり、政府が押しつけるものではないということです。
国際協同組合同盟、ICA理事会は、日本の農協運動の結束を解体する法改正に大きな懸念を表明し、こうした法改正は、日本の農協が農業者や地域社会に提供しているサービスを縮小し、最終的には国民経済にとって逆効果となるだろうとプレスリリースが発表されるほど、国際的な批判を受けている法改正であるということです。
本来、政府がやるべきことは、JA全中がみずからまとめた自主改革案を尊重することです。
さらに、農業協同組合の理事の過半数は認定農業者または販売、経営のプロとすると、理事の資格を導入することは、協同組合の自治と自立の原則を踏みにじるものであり、認められません。
第二の理由は、今回の法改正で、JA全中は、社団法人化され、監査、指導権限の剥奪、建議の法的根拠の撤廃などがされ、各単位農協、都道府県中央会への指導権限を失います。また、賦課金の徴収もできなくなり、活動資金が絶たれます。これらの動きは、JA全中が組合員である農家の利益を最大限に守る立場で行ってきたTPP反対運動の鎮静化を図るための解体とも言えるものであり、許すことはできません。
第三の理由は、全農、経済連の株式会社化を選択肢に導入することです。
株式会社化は、農協事業の独占禁止法適用や外資の株式所有を可能にするものです。これまでの「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」としていた規定を削除し、高い収益性を実現するに置きかえたことは、全農、経済連のみならず単位農協の株式会社化を進めるものです。地域のインフラを支えてきた農協の存立を脅かし、上げた利益を組合員である農家から株主に移行するものであり、認められません。
第四の理由は、農業委員会の公選制を廃止し、目的規定から「農民の地位の向上に寄与する」を削除し、農業、農民に関する意見の公表の権限を奪う点です。
農業委員会は、公選制のもと、農業者がみずから代表者を選ぶことで農地の守り手となり、役割を発揮してきました。それを市町村長が任命することは、農業者の自主性を奪い、農地の番人としての農業委員会制度を骨抜きにすることにほかなりません。認められません。
さらに、農地法の一部改正で農地所有の法人の要件緩和を進めることは、企業による農業、農地支配を一層進めるものであり、許すことはできません。
日本共産党は、以上のような農業組織の解体ともいうべき法案を、当事者、全中の意見表明もされないまま、審議で問題点が明らかになり、さらなる質疑が必要になるもとで採決することに強く抗議を表明して、反対討論とします。(拍手)