参考人質疑 18歳選挙権 2015年5月29日政治倫理・選挙特別委員会
投稿日:2015年05月29日

89-衆-政治倫理の確立及び公職…-4号 平成27年05月29日

○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
 本日は、参考人の皆さんのお話、非常に勉強をさせていただくことができました。最後の質問者になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 十八歳選挙権ということなんですけれども、やはり、選挙というのは民主主義の根幹であり、国民主権、議会制民主主義の基本というか根幹だと思います。
 歴史的に見れば、議会をつくる、そして普通選挙権の獲得、また、戦後では婦人参政権や二十歳からの選挙権の実現と、まさに自由と人権の獲得の闘いの中でこの選挙制度がかち取られ、国民主権、そして日本国憲法が確定してきたという歴史があると思います。
 日本共産党は、一九二二年の党創立以来、十八歳以上の全ての男女に普通選挙権をということを掲げ、その実現のために力を尽くしてきましたけれども、そうした点で、今回の十八歳選挙権、これは本当に幅広い民意を議会に反映させるといった点で非常に重要ですし、議会制民主主義を発展させるという点でも大事だというふうに考えております。
 その点で、斎木参考人、そして高橋参考人、早田参考人にお聞きしたいんですけれども、お二人は十八歳選挙権の実現のために活動をされている、そして、早田さんは若手の弁護士の会の活動をされている。
 そもそもそうした運動を始めるきっかけというか始めた理由、それと、実際に今同世代の皆さんに運動する中でさまざま働きかけていると思うんですけれども、その運動をする中で何が大事だったというふうにお感じになっているのか、その辺をお答えいただければと思います。

○斎木参考人 私がこの運動を始めますきっかけになったのは、二つあります。
 一つは、政治的な関心というものが薄れていっている状況があって、それは議会制民主主義の本質が揺らぎかねない事態になっている。人々がきちっと情報に通じて、選挙に行って、そして代表を選んで政治を決めていくということが、政治的無関心が拡大し、若者の投票率も、世代別投票率、二十代の投票率は戦後最低になっている。そういう中で、やはり議会制民主主義の根底が覆るような状況になっているというところが大きい問題としてある。
 だからこそ、若い世代に対して主権者教育を充実させることであるとか、いろいろなことが、十八歳選挙権の実現を目指していることによって、今まさに議論になっているわけですよね。だから、この法案の成立を目指していくことによって、結局、まさにこういう主権者教育とかの議論が生まれてくるだろうということ、ひいては民主主義の本質というものの質を高めていくということが一つです。
 二つ目は、私は、今現在二十三歳ですので、五十年後とか自分が高齢者になったときとか、そういうことをやはり想像します。そうなったときに、自分が高齢者になるときに、約四割が高齢者であるような状況になっているときに、では、国債は今一千兆円を突破しているような状況がある、どんどん私たちにツケを回しているんじゃないか。それを解決しようというふうな議論は出ますよね、毎度毎度出ているわけですけれども、一向にそれが解決されるような施策とか政策は打たれていないわけです。そういうことを考えますと、私は次世代に先送りされていると強く感じておりますので、そういった世代間格差の問題をやはり解消しなければならない。
 この二つが、私のこの活動を始める強い強い動機になっております。
 どんな運動がよかったかということもお伺いしましたのでお答えしますと、やはり、当事者意識を持っていただくためには、先ほども述べましたが、政治家の方々との直接交流というもの。
 政治家の方というのは、すごい雲の上とかテレビの中の世界で、あるいはダーティーで、すごい何かお金を、汚職のことばかりやはり取り上げるわけです。こういう真面目な審議は全然マスコミに取り上げられずに、そういう何か問題が起こったときばかりマスメディアは取り上げる傾向がありますから、やはりダーティーな人たちなんだというイメージを持たれているのは実際なんですね。これは現実としてあると思います。
 しかし、実際触れ合うと、真剣に頑張られているんだ、もう本当に寝る間も惜しんで頑張られている方がたくさんいる。そういうところを見ると、あっ、自分も政治に関心を持たなきゃとか、どういう人を選ぶべきかとかいうことをやはり言いますね。なので、直接交流をどれだけふやしていくかということが非常に重要になってきますし、それはやはり、皆様方の行動の一つ一つということになると思うんです。
 ですから、ぜひともそういうところを何か意見として役立てていただけたらいいと思います。

○高橋参考人 まず、なぜこういうことに取り組んだかということからお話をさせていただきたいと思います。
 個人的なことになりますけれども、私、高校のときに生徒会長でした。そのときに、例えば校則を半分にしたりとか、あと、当時、子どもの権利条約が日本で批准されたばかりの時期でして、子どもの権利条約の中では子供の最善の利益とかさまざまな権利が保障されている一方で、学校現場では、みんなそうなんだから我慢しなさいといって、なかなか権利が保障されていない状況があったんです。
 こうした中で、子どもの権利条約というのは条約ですので、憲法の下だ、先生が言っているのは、教育委員会か、大きくても文科省の通達ですよねと。通達より大分上の条約でこういうことが保障されていると思うんですけれども、何で我々にはこういう権利が保障されていないのか答えてくださいというような公開質問状を、学校に出したりとか、教育委員会や知事に出したりとか、当時の各政党に出したりとか、文科省、外務省とかに出したりとか、そういうような活動をしていたんですね。
 そういうときに、非常にメディアにも取り上げていただいて、我々の世代というのはいわゆる学園紛争だったりとかという時代ではないので、そういう若者がいなかったものですから、クローズアップしていただきました。
 そうすると、そういうことによって、今まで関心のなかった同世代にも関心を持ってもらえるようになったというようなことで、私は、地域だったりとか自分たちのことだったりとか、また自分が住んでいる国についてみんながもっと考えるようになるべきだというようなことからこういう活動を続けているというのが一つです。
 もう一つは、私、帰国子女でございまして、世界でも数少ない東西ドイツの教育を受けた人間であります。そういった、外から見た日本というものを感じたときに、海外の人たちというのは日本の政治だったり日本の民主主義というものについて非常に低い評価をされていて、私は、自分たちの国はそういう国じゃない、世界に誇れるような民主主義の国にしたいという思いから今まで頑張ってきたということが私の原動力であります。
 それから、どんな運動が実際に効果があったかということですけれども、これは、こういう場でお話しするべきかどうかわからないですけれども、むしろ求められていることじゃないことまでお答えするかもしれませんが、一つは、国民世論を選挙権を求める形に大きく変えて、若者全体が求めているから法改正をするんだというのが一番きれいな形だとは思うんですけれども、なかなかそうはならない。
 それでも、当時、私たちが十五年前にやったときには、大学生だった自分を初め三人の若者、同世代しか言っていなかったことが、今ではメディアの世論調査で過半数を超えるだけ賛同してくれるようになりましたから、そういう意味では大きな変化があったんだと思いますし、それが後押ししていることは間違いないです。ただ一方で、こういった市民や一若者が言ったことが政策に本当になるということを考えると、ロビー活動みたいなことが非常に功を奏したのではないかなというふうに思っています。
 一方では、永田町世論と言われる議員の皆さんに、若い人たちが求めているものを感じてもらうということが非常に重要で、今まで政治に関心を持っていたけれども言えなかった若者たちを数百人国会の中に呼んで、そういう若者の声を実際に国会議員の皆さんに見ていただいて、感じていただいてというようなことは、特に政権与党の国会議員の皆さんのお気持ちに響いた活動になったのではないかなというふうに思います。
 それから、政党やそういうイデオロギーを超えて、超党派で民主主義の質を高めようということをやるべきではないかということを切々と論理的に熱意を持って議論を通じてきたことが、党派を超えて、与党の皆さんも野党の皆さんも共感をいただいて、ここまで来れたのではないかというふうに自負しているところでございます。
 以上でございます。

○早田参考人 私がこの運動を始めたきっかけというところでございますけれども、私は、お二人とは違いまして、十八歳ですとか二十のころは政治に何の関心もありませんでした。私、今でこそ弁護士をしておりますけれども、法学部出身ではございませんで、文学部英文学科の出身でございます。
 大学の三年生になって就職活動をしたときに、ある大企業の役員面接まで進んだときにこう言われたんですね、非常に個人的な話で恐縮ですが。君は頑張る、頑張ると言うけれども、男の頑張ると女の頑張るは違うんだよと言われたんです。私は、あっ、こういうことを言われる体験というのは本当にあるんだとそのときに初めて知ったんです。
 そこから、労働法というものに興味が生まれ、政治に興味が生まれました。政治の現場で話されていることが私たちが働く現場につながっているということを初めてそこで体感をいたしました。そういう経験があって初めて私は政治に関心を持つようになったわけなんですね。
 ですので、私が今一番気をつけていることは、聞いてくださっている方々の生活に一番引きつけて考えていただくこと、そしてもう一つは怖がられないことです。政治というのは怖いとか、憲法というのは何か難しい、怖いという印象をよく持たれます。そうじゃない、まずは敷居を下げるというところから始める。そして、私たち自身が楽しむことによって、それも敷居を下げることの一つの方法でございますので、そういったことに気をつけております。
 以上です。

○斉藤(和)委員 ありがとうございます。
 今度は四人の参考人の皆さん全員にお聞きしたいんです。
 若者が政治参加をしていく上で、私は、さまざま日本の選挙制度というのは、被選挙権の問題もそうなんですけれども、べからず集というふうに公職選挙法が言われるように、やってはならないというものが非常に多い。特に、国政選挙になりますと供託金が三百万とか六百万というふうに、非常に国際的に見てもまれな高額になって、若者が政治参加をしようと思ってもバックがなければできないという、なかなかハードルが高い状況があると思うんです。
 また、選挙制度でいっても、小選挙区制という四割の得票で八割の議席を占めるような、自分の一票が生きているんだろうかという実感がなかなか持ちづらい、そういう部分も選挙制度自体に私はあると考えているんです。
 そうした点で、若者の政治参加を今後進めていく上で、十八歳選挙権もそうなんですが、今の日本の選挙制度から見た場合、何が障害になっているのか。逆に言えば、むしろこういうふうにした方がもっと若者が政治に参加できるようになるんじゃないかという御提案というか御意見があればぜひお聞かせいただければと思うんです。

○斎木参考人 お答えします。
 どういうふうにすれば若者がもっと積極的に参加できるだろうか。一つは、被選挙権に関すること。直接、本当に立候補していくということが一つの参加の方法でありますので、まず一つ被選挙権からお答えしたいと思います。
 やはり供託金というものは、諸外国の事例から見ても高いというふうに思いますので、これは引き下げるべきであろうというふうに思いますし、同時に、被選挙権年齢についても、何度も申し上げておりますが、やはり引き下げるべきであると思います。
 というのも、例えば憲法十五条では、「成年者による普通選挙を保障する。」と述べておりますから、その普通選挙の中に被選挙権も含まれるというふうに解釈をすれば、被選挙権年齢は二十が相当ではないかというふうに私は考えているんですが、そう考えたときに、二十に被選挙権年齢が引き下げられますと、例えば大学を休学して立候補するとか、そういったことが可能になると思います。
 そうなったときに、日本の労働の市場として、新卒一括採用というのはまだ依然として強い状況にあるという中にあって、出馬するということが、やはりライフプランを設計していくに当たり非常にリスクになる可能性というのはあると思うんですね。
 ただ、例えば引き下げられて二十で大学を休学して立候補できるような状況になれば、非常に検討をしやすいことになるというふうに思います。ということであれば、被選挙権年齢を引き下げたり、あとは供託金を引き下げるということは、やはり早急に議論をされてしかるべきだと思います。
 かつ、そういった若い世代が実際に立候補するということは、皆さんも選挙に出られたときなんかはやはり御友人がすごく応援をなさってくださったと思うんですよね、当然ですが。
 ということは、それは、三十代であれば三十代の御友人が多いでしょうし、四十代の人であれば御友人が基本的には多いでしょうということになれば、やはり若い人が立候補することで若い人の友人が、もちろんいろいろいますけれども、基本的には若い人が友人多いわけですから、そういう人たちが、また投票に行きたいとか、あるいは、若い人が出ているから、あっ、政治に対して関心を持とうということになると思いますから、被選挙権年齢を引き下げることは、そういう二重の意味でそういった若い人が政治に参加していくということを促すと強く思いますので、ここの検討もやはり早急に進めていくべきではないかなというふうに思います。

○篠原参考人 私はちょっと意見が違って、政治とか政治家への関心というものが若い人にないというのは、やはり世の中への関心がないんですよ。世の中というものに対して関心がないんですよ。それで、では世の中を動かしているのは政治なのかどうなのか、こういくので、余り政治、政治というふうに最初にかぶせない方が、僕は若い人たちを政治へいざなっていく逆に近道だというふうに思う。
 それから、政治家の供託金の問題とかなんとかという技術的な問題、べからず集の問題もそうだし、そういうものが、今申し上げたようなことが進んでいくと、私も政治家になってみようかしらとか、そういう質を伴った人たち、ここにいらっしゃる方はみんな質がいいと思うんだけれども、時々、質がどうかなと思う政治家がいるじゃないですか。だから、そういうようなものも排除して、質のいい政治家の人たち。
 だから、一番大事なことは、そういう志とかを持たないと、技術的に出やすいようにどうしたらいいかということばかりやっていたってだめですよ。僕は政治家というのは究極のボランティアだと思っているから、やはりそういう志を持っている人なのかどうなのかということ。
 だから、そういうものをつくるのは主権者教育なんですよ。全てが、主権者教育を小学校からどう起こしていくかということに私はつながっていると思うので、先ほど来、この両方から、被選挙権をもうちょっととか、十六歳と。私は、時期尚早論で、まず、十八歳をしっかりと実質化する、これが大事だと思っています。

○高橋参考人 私も、主権者教育、政治教育の充実をしていくのが重要だ、それが本質だということは同意であります。
 ただ、その上で、べき論を言ってもなかなか変わらないというのが現実でして、民主主義は大切だから参加しろと言っても、誰も参加しないんですね。
 私自身、実は政治家だった時期があって、当時、市川市の市議会議員だったときに、一%条例というのを提案して、実現しました。これは何かというと、有権者が市民税の一%分の使用目的を指定できるという制度です。これは民主主義の仕組みからはちょっと不誠実なところもあるんですけれども、ただ、参画をするとインセンティブがあるということで、参画を促進させる政策を打つというような誘導というのは、一定時期、転換期においては有益なんじゃないかなというふうに思います。これは、ハンガリーで一%法というのがあって、それを反映した政策提案ということでやったんです。
 あと、御提案の、選挙による制度で斬新なということでいうと、二〇一〇年に書いた本の中では、世代別選挙区制度というのを提案していて、例えば、今の地域別選挙区制度、千葉五区とか四区とかとやると、どうしても地域代表が選ばれてしまうので、シルバーデモクラシーの現実でいうと、どうしても高齢者に、若い政治家も、必ずしも若い人の意見だけ代弁していれば受かるということにならなくなってしまうんですね。
 それを、例えば二十代選挙区とか三十代選挙区とか、三十代が投票する選挙区というのをつくれば、少数ではあるけれども、必ず若者の利益代表を出すことができるという選挙制度です。例えばこういうことも含めて、ドラスチックな選挙制度、頭の体操みたいなことをすることは大事だとは思いますけれども、本質的なことなのかどうかというのはまた別かなと思います。
 もう一方で、韓国では、女性の社会進出を始めるために、ポジティブアクションとして、政党の比例名簿に男女男女の順番で入れるということをやったりしています。
 例えばこういうことを各政党が、若者を入れるようにするとか、もっと言えば、政党を規定する法律というのは国内にはないので、政党法みたいなものをしっかりつくって、政治と金の問題ももちろんそうですけれども、それだけじゃなくて、政治教育における政党の役割だったりとか、候補者選定における国民の信頼を持つための基本的な原則だったりとか、こういったものを明示して、若者を一定数入れなければいけないとか、あとは、政党の候補者選定については、より透明性を高めて、有権者に事前に判断させるようにするとか、そういった改正をすることというのは一つあるかなと。
 それから、先ほど先順位者もおっしゃっていましたけれども、例えば、政治家になりにくいところを緩和するのであれば、休学はもちろんですけれども、休職なんかもさせられるような形で法的に整備をして、民間の人たちが出て、戻れるようにする。
 そういったことは重要で、アメリカではリボルビングドアと言われているんですけれども、政策人材とか政治人材が大学に行って政治家になって、今度戻って大学に行ってシンクタンクに行ってという移り変わりによるステップアップがあるんですけれども、日本の場合、最初に政治家になるとなかなか行けません。
 私自身、二十代で政治家になって、その後ヘッドハンティングされて自治体の部長職をやって、今大学の教員をやってとやっていますけれども、これというのはまさに新しい道の開拓でして、こういったことの整備というのも皆さんで御検討いただくと、さまざまな人材が政界に来て、また人材が流動化して活性化されるんではないかなというふうに思います。
 以上でございます。

○早田参考人 やはり、政治にかかわること、これが特別視されている空気があると思うんですね。その空気をなくすこと、これが一番重要ではないかと思うんですけれども、制度的に少しでも改善できるような方法として、一つにはネット選挙の解禁ということが経験として挙げられると思います。
 ネット選挙の解禁による効果はいろいろ議論のあるところですけれども、一つ確実にあった効果として、誰もがネット上であれば選挙に関して自分の意見を言ってもよい、実際にそれに従って行動された方がいたわけですよね、発言された方がふえた。こういった経験によって、自分が政治に対して主体的にかかわるという経験を持った方も多いと思うんです。こういったことをネット上だけでなく、公職選挙法のほかの選挙運動の分野にも広げるということが一つ方策として重要ではないかと思います。
 また、今まで出てこなかったんですけれども、小選挙区制についても、一時期は自民党の先生方も含め改善しようというような御意見も出されていたかに記憶しておるんですけれども、小選挙区制による死票率の多さ、あれで、私一人が投票しても無駄じゃないかという諦めが生まれているんではないかと思うんですね。こういった点を解消していくことも方策の一つであろうと考えます。
 以上です。

○斉藤(和)委員 済みません、どうもありがとうございました。
 以上で質問を終わります。