189-衆-農林水産委員会-17号 平成27年06月16日
○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。最後の質問者になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、私からは四人の方に同じ質問をしたいと思います。
私、実は農家の娘でありまして、改めて、農業というのはつくる喜びと売る喜び、これがやはり相まって農業の生産意欲がより高まるなというのを、祖母を見ていて思うんです。もうほとんど、ばりばりと農業ができるというような状況ではありませんが、自分の体力の許す限りで物をつくり、そしてそれを直売という形で身近な方々に売って、そして、そこに喜びを感じている、それが生きがいになっているということを私は感じているんです。
農業を産業化していく上で、大規模化、これも重要だとは思います。ただ、この日本という国土の特徴からいって、平野が非常に少ない、そして中山間地が非常に多い、こうした状況の中で、私は、大規模農家と同時に、零細小規模農家もやはり大切だというふうに思うんです。
そうした点で、やはり農協が果たしてきた直売所というような、零細農家や小規模農家の方であっても、つくって売る喜び、そこを支えてきたという役割があるのではないかというふうに私は感じているんですけれども、参考人の皆さん方はどのように、大規模農業と中小零細農業、両方私は重要だと思うんですが、いかがお考えでしょうか。
○齋藤参考人 私も、大規模農業者、それから山手で小規模でもやっている農業者、両方とも必要だと思います。ただ、法律が全部同じ法律になるものですから大変なんです。
今、中山間地の直接支払い等々で、小規模でも、それから条件が厳しくてもできるような法律を出していただいて、何とかなりますけれども、逆に、平場の大規模の方が、昔あったじゃないですか、四ヘクタールでどうのこうのということで、それでメリットを受けながら規模拡大ということで出していたんですけれども、それがなくなってしまって、中山間の方は中山間地域等直接支払制度によって、あれも直接来るんだったらいいんですけれども、集落に来るものだから、どうやって分けるかみたいなのが頭の痛い問題になっているぐらいです。
本当に先生方から、見た目は汗だくになって、真夏に草刈りなんかばかみたいと思われるかもしれないですけれども、あれは結構楽しいんですよ。そんな楽しい生産と、それから売るとき、本当に喜んでもらえること自体が、金をもらうよりも、声をかけてもらう、それから手紙をもらう、電話をもらう、こんな楽しい職業はないと思いますので、中山間の直接支払いプラス、大面積でこれから集約しながらやる方にも一定の生き残るチャンスをいただきたいなと考えます。
以上です。
○三品参考人 本当に、斉藤さんが言われたように、つくる喜びと、そういうふうな、私は、農家というのは非常に貴重な産業だと認識をしております。ただ、喜びと、それに生計というふうな一大事があったら、現実は違うというふうに考えています。
そして、四ヘクタール、十ヘクタールというのは、いろいろなことがあってなくなった施策をどうこう言うつもりはありません。ですが、専業、兼業というふうにきちんとした線引きをしてくれというお話をしただけであります。
それぞれ小さい農家は、そうやって産直をしたり、いろいろなときに、日本の食料を支えているというふうなことは、同じ農民として差別はするものではないんですけれども、やはり収入の大半をどこから得ているんだというふうになったときには、言葉でなくても、一体どういうふうな形がベターか私はよくわかりません、専業農家の位置づけをきちんとしてほしいというのが信念であります。
以上であります。
○中嶋参考人 私は、協同組合の一つのミッションは、組合員の全ての方に役割を与えるということだと思います。それで、中山間地の方々が何をつくり何を売るのか、そのための出口として直売所というのをフル活用するのは非常に大賛成です。
それから、中山間の地域はやはり高齢化が進んではいますが、例えば、そこの食材を手間をかけてさらに価値のあるものにするときに、そこの方々が非常に大きな役割を果たすんじゃないかなと思っています。
そういった、一見すると弱点になるようなところも強みにするような取り組みというのも行っているんじゃないかと思って、評価をしています。
○樽川参考人 私のところの法人というのは二十六戸で構成されておりますが、一町歩以下の組合員が半数以上でございまして、その方々に最初に言ったのは、除草剤散布の機械と草刈り機以外は買わないでください、その他は全部私どもがお手伝いする、そして、自分のところでとれました余剰な野菜は私どもの品物と一緒に売ってやる、そして、おばあちゃん、おじいちゃんに百円でも二百円でも還元してやる、そういう考えで、お互いに助け合いながら、そういうふうにして進んでいく。
そうすれば、おじいちゃん、おばあちゃん、身障者の方々も、非常に喜びを感じ、そして何か生き生きとしていく。それが健康につながり、地域のコミュニティーにつながるのではないかというふうに思っております。
私どもの方ではうまくやっております。
○斉藤(和)委員 ありがとうございます。
それでは、齋藤参考人にお聞きしたいんですけれども、事前にいただいた資料でちょっと見ましたら、米づくりはこれまで生産調整や補助金といった国の政策に支えられたり振り回されたりしてきた、だからこそ、それぞれの土地に適したローカルな工夫や知恵が試される、農家はみんなローカリスト、土地や地域やコミュニティーを離れては生きていけないんだ、それが、今、米価暴落によって危機になっているというお話があったんです。
齋藤さんから見た場合、今回の農協改革で地域の中の農協が大きく変わっていくわけですけれども、先ほどお話があったように、農協がさまざまな事務処理をやってくれていたというお話もあったんですが、そういう観点から見た場合、今回の改革というのはどのようにお感じになっていらっしゃるでしょうか。
○齋藤参考人 事務処理は、一般の農家には農協がやっています。うちのメンバーにはうちがやっています、山のような書類づくりですけれども。
そういうことで、今改革しなかったら、例えばこれが、農協改革、もう五年後、いやいや十年後というような感じだとするならば、多分、専業農家はもういなくなると思うんです。だから、今が本当に最後のチャンスだと思いますので、専業農家、法人から本当に使ってもらえるような農協に今変わらないといつ変わるんですかという、そんな状況だろうと思います。
以上です。
○斉藤(和)委員 ありがとうございます。
三品参考人にお聞きしたいんですが、先ほどもありましたけれども、農協はみずから改革することが必要だということで、組合員の皆さんを戸別訪問で意見もお聞きしたというお話がありました。
その上で、やはり私も、農協というのは協同組合であって、組合員さんのものであると思うんです。だとしたら、組合員の皆さんの要望に応える改革こそが本来の改革ではないかというふうに感じているんですけれども、今回、官邸主導とも言われていますが、こうした農協改革、どのようにお感じになっていらっしゃるでしょうか。
○三品参考人 斉藤さんの言われるとおりだと思います。
今いろいろな観点の中で、ずれてしまうというふうなことがあったときに、やはりこういうふうに改革を自分でするときに、やはり一回真っさらになって、一体どういう形がいいんだというふうなことの中で、いい意味に改革をするのだったら、私は一つあるのかなと。
そして、私の中で、もう時間も大分経過していて何を言ったか覚えていない現実もあるんですけれども、私のところは、自分個人で有限会社をつくって四十数年経過をいたしました。それでも、きちんと農協は利用しています。
以上であります。
○斉藤(和)委員 もう一度、三品参考人にお聞きしたいんですが、農業委員もやられていたというお話がありましたが、今回、農業委員会の方も、今まで農家の皆さんがみずから代表者を選ぶという公選制という形から、市町村長が任命する選任制という形になるわけですけれども、こうした農業委員会の大きな意味合いを変える、これはどのようにお感じになるでしょうか。
○三品参考人 本来、農地を一番わかっている委員が農業委員の任につかないと大変なことが始まりますよ。
地域の中で選ぶときに、その自治会、自治区なりが一致団結して、この人にやってもらおう、そういうふうな観点で農地を動かすから健全な農地であるわけです。それが、大都市、上からの落下傘があったときに、これは、きちんと維持できるか非常に不安を感じる次第であります。
以上であります。
○斉藤(和)委員 ありがとうございます。
樽川参考人にもぜひお聞きしたいんですけれども、町議会だとか県議会だとか、議会の方で活動されていたこともあるということを経歴を見て知ったんですが、その上で、議会の立場から、同じなんですが、農業委員会が公選制から選任制になる。しかも、農業委員会は、これまで議会推薦だとか農協団体からの推薦もあって選出をされていたのが、これがなくなってしまう。全て市町村長からの選任になるということなんですけれども、議会の経験をされた樽川さんから見た場合、この農業委員会の改革というのはどのように映るんでしょうか。
○樽川参考人 今、農協改革、農業委員会の改革、いろいろな改革がある程度見えてまいりましたが、私は、むしろ、このぐらいの改革をするのであれば、農地法全体を改革する、そして、万般にわたって、百年の大計を考えた日本のあるべき農業の姿、農地のあるべき姿というのが見えてほしかった、そういうところに英断を持った進め方をしていただきたかったというふうに思っております。
それが全て変わるということになれば、農家も必然的に変わってまいります。そして、それに向かって一体になって進んで、よりよい姿の日本像ができて、浮かび上がらせることができたのではないかな、そういうふうに考えております。
○斉藤(和)委員 ありがとうございます。
中嶋参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほども、弱点があるところが逆に強みになるというお話があったんですが、事前にいただいた資料の中でも、今、団体は株式会社への見直しが課題になっていますということで、ただ、株式会社だけが本当にいいのかということを指摘されているわけですけれども、私も、やはりもうかる農業という一方で、中山間地などはもうからないことが多い、ただ、株式会社になればやはりもうからなければいけない、こうした相矛盾するものがあると思うんです。
ただ、農地というのは、食料の生産と同時に、やはり農業が果たしている役割は国土の保全もあるということを考えたときに、仮にもうからなかったとしてもしっかり農業としてやっていける、そういう土台が私は必要ではないかというふうに考えているんですけれども、中嶋先生はどのようにお考えでしょうか。
○中嶋参考人 その地域地域において、どういうビジネスの形態が適当なのかというのは違うんじゃないかなと思います。株式会社型がいい場合もあるし、協同組合型もいい場合もあると思います。それから、もう少し違うNPOの形態もあるかもしれません。
私は、協同組合の場合は、全員で議論をして合意していくそのプロセスがとても大事だと思っていて、例えば、それは、地域の環境を守るというミッションも入れながらビジネスをやっていくためにはそういうスタイルがいいかもしれません。株式会社の場合には、利益を追求し、さらに組合員の境界を超えて、もっと幅広くさまざまな活動をするには適しているんじゃないかと思います。
食料を供給するという観点からすると、手広くやった方が、それは世のためになるところもあると思いますので、それは、どのような作物をつくっているか、どういう条件かによってそれぞれが御判断するところではないかなというふうに思っております。
○斉藤(和)委員 ありがとうございます。
最後に、三品参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほどの農業委員会の続きです。
農業委員を今回は半減して、そのかわりに農地利用最適化推進委員という、農業委員がやっていた認可だとかそういう部分と、逆に、農地の集積だとかパトロールの活動は別のこの農地利用最適化推進委員にやってもらおうという二段階の仕組みにしようとしているんですけれども、農地利用最適化推進委員になってくれる方がいるのかなという私は素朴な疑問があるんですが、いかがでしょうか。
○三品参考人 やってみなければわからないと思うんですけれども、今、樽川さんがどういう発言をしたか。
百年の大計をしっかり考えてやるのが、この場の中で思いつきとか、そういうふうな段階の中でこれいい、あれいいというふうになると、最後は農民が振り回されるんですよ。ですから、信念が必要だ。私の言っていることは、そういう信念に基づいてきちんと発言をしているわけです。ちょっとあれのときに、僕は言うことはできるんですけれども、質問はいたしません。おかしいと思います。農業をわかっている者、精通者が農業委員をすべきだと思います。
○斉藤(和)委員 ありがとうございました。
四人の皆さん、それぞれのお立場から御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。
私も、農業を農業としてしっかりと、食べていける農業、同時に、それとあわせて、国土を保全するという重要な、国の根幹である農業、これを両立させていく、やはりそのための改革でなければならないというふうに思っています。
その中で農協が果たしてきた地域での役割というのは非常に大きかったんだろうということを考えますと、やはりもっともっと、現場で働いている農家の皆さんの声が、そして、逆に言えば、農協の組合員の皆さんの声が本当に反映されているのかどうかというところを私は非常に疑問に思いますが、皆さん方の御意見を参考に、ぜひ、農協が本当に農協として組合員の皆さんのためになるように、引き続き審議を進めていきたいというふうに思っております。
きょうはありがとうございました。