児童相談所の施設・体制整備、国の責任で  2016年2月25日 衆院予算委第五分科会
投稿日:2016年02月25日

○斉藤(和)分科員 日本共産党の斉藤和子です。
 児童虐待、それに関連する児童相談所、一時保護所の問題について質問をいたします。
 連日のように、目を覆いたくなるような虐待の報道が続いています。
 ことし初め、埼玉県で、三歳の女の子が顔にやけどを負ったまま放置され、死亡したという事件が報道されました。顔はやけどで赤く腫れ上がり、傷やあざが体全体にあちこちあった。痩せ細り、胃には食べ物がなかった。押し入れにはロープをつなぐ金具が装着されており、閉じ込められた可能性もあるというふうに指摘されています。
 しかも、近隣住民から、虐待を疑い、昨年の夏の時点で二度の一一〇番通報がありました。しかし、警察官は虐待はないと判断し、児童相談所には通告せず、秋ごろから虐待がエスカレートし、三歳の女の子の命は残虐な形で奪われてしまいました。
 今回の警察の対応について、警察ではどのような検証を行っていますでしょうか。
○河合政府参考人 お答えいたします。
 現在埼玉県警察において捜査中の事案でございます。詳細は差し控えますけれども、同県警察では、一一〇番通報を受理した後、警察官を現場に派遣して調査した上で、児童虐待など児童相談所に通告すべき状況は認められなかったと判断したものと報告を受けております。
 なお、現在、同県警察におきまして、事件に至る経緯を含め、全容解明に向けて全力で捜査に取り組んでいるところでございますが、その結果を踏まえ、将来に生かすべき事項があれば生かしてまいりたい、かように考えてございます。
○斉藤(和)分科員 現場で検証が行われているということです。
 私が指摘したいのは、一回目の一一〇番通報は、昨年六月、夜十一時過ぎ、三歳ぐらいの女の子が布団にくるまって玄関前に出されて、しゃがみ込んで泣いている女の子を見かけての通報でした。親御さんは、自分たちがけんかしたから締め出したと。女児に体の傷やあざがなかったので、虐待はないと判断し、児童相談所にも通告しない。埼玉県警内部の虐待情報集約システムにも登録しなかった。そして、翌月には、三十分前から女の子が泣き続けているので調べてほしいという二度目の通報が入るわけですが、駆けつけた警察官は、前回の情報を知らずに、母親の、お風呂に入らなかったから叱ったという説明に、このときも児童相談所に通告しませんでした。
 この間、さまざまな通達などで、警察と児童相談所などの連携の強化ということは言われていますが、警察の内部でも連携が途切れてしまっている。
 「子ども虐待対応の手引き」というのを厚労省から出されていますが、「虐待の判断に当たっての留意点」に、「虐待の定義はあくまで子ども側の定義であり、親の意図とは無関係です。」「子どもにとって有害かどうかで判断するように視点を変えなければなりません。」さらに、保護者の中にはしつけと主張する場合もあるけれども、暴力的行為は子供にとって悪影響をもたらし、不適切な行為であることを認識すべきというふうに書かれています。
 現場で虐待かどうかを判断する警察官に、この「子ども虐待対応の手引き」を使った研修というのは行っているんでしょうか。
○河合政府参考人 お答えいたします。
 この「子ども虐待対応の手引き」につきましては、厚生労働省におきまして作成されたというふうに聞いてございます。この資料につきましては、児童虐待に対応する警察の執務上も参考となるものと認識してございます。
 こうしたことから、警察においても、各種研修において「子ども虐待対応の手引き」につきましての紹介を行ったり、あるいは教材として活用しているという例もございます。また、児童虐待についての理解を深めるため、警察学校等における研修の際に、児童福祉関係者による講義や児童相談所への視察等を実施してございます。
 今後とも、こうした手引を参考にしながら、児童虐待への的確な対応や関係機関との連携強化に資する研修を実施してまいりたいと考えます。
○斉藤(和)分科員 教材や研修でというお話でした。しかし、残念ながら、その中身が生かされなかったというのが今回の事件だったのではないかというふうに思います。
 児童相談所の方にお話を伺ったときに、今は非常に理解のある警察の方が担当してくれているので本当に助かっている、協力も求めやすい、しかし、その人がいなくなればなかなか難しいでしょうねというふうに話をされていました。児童相談所と警察や関係機関との連携を本当に生きた意味で生かしていく、連携させていく、そうした点でも、やはり現場に駆けつけて判断をする、その現場の警察官の研修に、ぜひこの手引を活用する、そしてまた生かしていただく、徹底するということを強く求めたいと思います。
 それで、大臣、ぜひこの「子ども虐待対応の手引き」を、警察はもちろんのこと、子供に関係する、例えば保育園や学校、医療機関など、関係機関にも活用を促進するようなことを行ってはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほども少し虐待の質疑がございましたけれども、子供たちは全て、最も愛される親から虐待を受けるようなことがあってはならないわけであって、今、私ども、児童福祉法の改正に取り組んでおりますけれども、その中で、児童相談所、それから市町村、さらには警察、学校、医療機関、こうして関連する機関が全て連携をきちっとするということはとても大事であり、また、私どもそれに努めてまいったところでございます。
 今引用いただきました「子ども虐待対応の手引き」につきましては、児童相談所や市町村などにおいて適切な対応ができるようにということで、具体的な支援方法とか関係機関による連携のあり方などをお示ししているわけでございまして、これは平成十一年の三月に最初につくって、以後、法改正等に伴って改正を行ってきた。これは雇用均等・児童家庭局の総務課長通知という形になっています。
 改訂の都度に、自治体に対して、関係機関に周知するように要請をしているわけでありまして、さらに厚生労働省のホームページにも掲載、積極的な周知を図っておりますが、各自治体においては、要保護児童対策地域協議会、要対協、この構成機関などで共有をし、支援のマニュアルや研修資料などに活用していただいているものだというふうに承知をしているわけでありますが、今まさにおっしゃった警察、学校、医療機関等々、メンバーに入っているわけでございますので、活用していただいているものだというふうに思いますけれども、なお幅広く使われるように努力していきたいと思います。
○斉藤(和)分科員 幅広く使われるようにという御答弁でした。
 やはり現場にかかわっている、要対協で専門的にかかわられている方はもちろんのこと、やはり現場で現に子供に接する方がどう判断するのかというのが一人でも多くの子供を救う意味で重要だと思いますので、この中身を私も読ませていただきましたが、非常に重要だと思いましたので、ぜひ広めていただければというふうに思っております。
 次に、児童相談所について質問させていただきます。
 児童虐待防止法が施行される前年、一九九九年の児童虐待相談件数は一万千六百三十一件。それが二〇一四年には八万八千九百三十一件に急増しています。
 二〇一四年には、私の地元千葉県で、生後二カ月の男の子が右腕を骨折し病院に搬送され、医師は虐待を疑い児童相談所に通報し、一時保護をされました。しかし、その四カ月後、児童相談所は一時保護を解除し、母方の祖父母のもとに帰します。その一カ月後に、男の子は父親の虐待と思われる急性硬膜下血腫で亡くなってしまいました。児童相談所がかかわっていたのに、なぜ命を救えなかったのかというのは常に問われる問題です。
 「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」を見ても、虐待死事例を担当していた児童福祉司の受け持ち件数は一人当たり百九・一件、うち虐待事例は六十五件とあります。どう考えても、一人がこれだけの件数を抱え、複雑化している虐待の対応をきめ細かく行う、また判断するというのは、そもそも無理があると思います。
 相談業務を担う児童福祉司を、現場の実態に合わせて抜本的に人員をふやす必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○三ッ林大臣政務官 お答えいたします。
 昨年末、政府として、発生予防から自立支援まで一連の対策を強化するため、児童虐待防止対策強化プロジェクトを取りまとめたところでございます。この中で、中心的な役割を担う児童相談所については、体制や専門性を計画的に強化することとしております。
 このため、直接に指導等を行う児童福祉司の配置基準について、人口だけでなく業務量も考慮する等の見直しを検討することとしております。
 平成二十八年度には、児童福祉司の増員に対して、この十年間で最も手厚い水準となる地方交付税措置、標準団体、人口百七十万人当たり三人増員が予定されております。
 また、児童心理司、保健師等の専門職の配置を確保することとしております。
○斉藤(和)分科員 児童福祉司の数を交付税で基本団体に三人ふやすという話がありました。しかし、児童虐待の相談件数はこの十五年間で七・六倍です。それに対して、児童福祉司の数は千二百三十人から二千九百三十四人。今おっしゃられた、さらにふやすというのを足したとしても二・五倍です。
 そもそも、児童相談所は、虐待対応だけではなくて、障害相談、肢体、視聴覚、言語、重度、知的、発達障害から、育児相談、不登校、さらには非行、虞犯、触法の対応まで、まさに生まれたばかりの乳幼児から十八歳までのありとあらゆる問題に対応しています。そこに来て、虐待の相談件数が七倍以上に一気に膨れ上がる。職員が悲鳴を上げるのは当然のことだと思います。
 海外に目を転じれば、例えば、ロサンゼルスは、人口八百七十万人に対し、ソーシャルワーカーは三千五百人置かれています。ドイツやイギリス、北欧などでも、人口数千人に対して一人のソーシャルワーカー。対して日本は、人口一億二千万人に約三千人。私の地元の千葉県の中央児童相談所でいえば、人口百三十万人に二十四人の児童福祉司です。
 大臣、こうした状況を見ても、先進国並みの体制をこの日本の中で確立していくことが必要だと思いますが、大臣、ぜひ、いかがでしょうか。大臣にぜひ。
○三ッ林大臣政務官 お答えいたします。
 児童虐待の通告等に対しましては、夜間、休日を問わず、迅速かつ的確に安全確認を行うことができるよう、平成二十八年度予算案において、安全確認を行うための職員の増員、児童相談所一カ所当たり二人から三人へ、全ての児童相談所において夜間、休日に対応できる職員の配置、これが六十九カ所から二百八カ所へを盛り込んでいるところであります。
 昨年七月には、児童相談所全国共通ダイヤル一八九の開始に合わせて、全ての児童相談所において、二十四時間三百六十五日、虐待通告など緊急の相談に対応する体制を整備したところであります。
 今後、着実に児童相談所の体制が強化できるよう、関係省庁と協力しつつ、地方自治体に働きかけてまいりたいと思います。
○塩崎国務大臣 お気持ちは私ども共有をしているというふうに思っています。
 今、三ッ林政務官から答弁したとおり、方向としては同じ方向に行っているのではないかというふうに思いますが、問題は、どこまでやるかということでございます。
 今私どもが見ている中での問題点というのは、国レベルで、まず全国がどうなっているのかということをより詳しく把握を常時するということが大事だな。そして、都道府県にあっては、今、児相の皆さん方、今お話しのとおり、燃え尽き症候群のように、次から次へと事案を追いかけていかなきゃならないということであります。市町村も、もちろん、権限、役割がまだまだ不明確な中で、実際に一番身近な行政の単位としてお世話をしなきゃいけないということで、私どもはやはり、国、そして都道府県、市町村、それぞれの役割と責任も再定義をして、さらに明らかにして、そしてそれに見合った形で体制を整える努力を挙げてやっていかなければならないんじゃないかというふうに思います。
 どこまでどういうペースでということは、資源配分の問題としてもなかなか難しいわけでありますが、しかし、方向性はやはり、今申し上げたとおり、子供たちの未来をしっかりと確保できるだけの体制が一日も早くできることを念頭に入れながら努力をしていかなければならないし、今回の児童福祉法の改正もそういう思いでやっていかなければいけないというふうに思っています。
○斉藤(和)分科員 子供たちの思いをきちんと支える、そういう点でも、子供たちの真の意味での成長を支えていくという面でも、人員の確保をしていくという御答弁でした。
 現場の人たちの悲鳴というのは、まさに今大臣がおっしゃられたとおり、慢性的に、今抱えている事案が職員には相当重くのしかかっている。そうした結果、現場の児童福祉司は、次々と飛び込んでくる虐待対応に追われている。そうした中で、心身ともに病み、療養休暇をとらざるを得ないという職員もふえていらっしゃいます。そうすると、結局、残された職員にさらに負担がのしかかるという悪循環になっているというのは、やはりどこかで断ち切らなければならないというふうに思っておりますので、ぜひ大幅な人員増を求めたいと思います。
 児童福祉司の方にお話を聞いたときに、私は、非常につらいなというふうに思ったのが、私たちはどなられることはあっても感謝されることはありません、評価されることがないんですというふうに話されていました。虐待だと思っていない親から子を引き離し、子を返せとどなり込まれ、殴られ、けがをしたこともあると。そういう親御さんと信頼関係をつくって相談業務に当たるということは、それだけでも相当な負担であり、時間もかかるわけです。
 親との面接が入っていても、緊急対応が入り、面接をキャンセルせざるを得ない。本来の、一番私たちがやりたい福祉職として親や子に対するケアの部分に率直に言って手が回っていない、非常に悔しいというふうにおっしゃられました。
 先ほど政務官の方が、初期対応だとか夜間、休日の職員体制のお話をされましたけれども、千葉県では、例えば緊急でかかってくる電話の転送、どこにかかるか、土日祝日、夜間。それは、児童福祉司が当番携帯という形で一週間携帯を持ち回りし、そこに緊急の電話がかかってきて対応しなければならないという、全く休まる暇がないという状態です。児童福祉司の職員の数を抜本的にふやすということもそうですけれども、やはり夜間、休日の職員体制、先ほどありましたけれども、仮に今回の予算が通ってふやしたとしても、一児相当たり二名だった枠を三名と、プラス一ですよね。だとしたら、この当番携帯はやはりなくならないわけですよね。
 先ほど来あります一八九が行われたのは非常にいいことだと思いますが、その結果、それを受け取る児童福祉司は非常に負担が重くなっている。しかも、携帯を持たされて休まる暇がない。やはりここの、夜間、休日の職員体制、抜本的にもっとふやしていくというお考えは、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、人を救うには人でないと救うことはできないということであり、なおかつ専門性が高くなければ的確な対応ができないということで、これは、ただ人をふやせばいいという問題ではない、済まないということで、専門性のある人たちをどう確保していくかということも同時に大事なことであり、場合によっては、経験者、もう退職された方なんかのお力もかりなきゃいけないぐらい人手がかかる問題でもあるということでございます。
 そういう意味で、さっき申し上げたとおり、方向としては何とかこの体制を格段に強化したいというふうには思いますが、そこのところをどうするかということを、我々としてはしっかりこれからまた努力をしていかなきゃいけないなというふうに思います。
○斉藤(和)分科員 ぜひ抜本的な体制強化、特に、一八九をやはり自治体任せにしないで、国の責任で、体制だとか、回線を分けることだとか、ぜひ支援をしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 次に、一時保護所の問題についてです。
 一時保護所は、児童福祉法に基づいて、児童相談所に付設などの形で設置されています。
 お配りもしていますが、こちらにパネルも用意いたしました。これは、千葉県の中央児童相談所の一時保護所の子供が寝泊まりする部屋の物入れの扉です。もう一枚目が、これは食堂にある手洗いの場所なんです。これは、修理をしたんだけれども、非常に老朽化が激しくて、抜本的な改修をしないと無理だということで使用禁止になっています。最後が脱衣所の壁。虐待やネグレクトで心身ともに傷ついた子供がこんな場所で過ごさなければならない。老朽化というのは非常に深刻です。
 また、子供たちの実態に合わない施設であるために、一人暴れ出すとそれにつられて施設全体が暴れる。福祉司の方が言っていました、せっかく虐待する親から子供を引き離して一時保護所に入れたんだけれども、その施設内が荒れてしまって、暴力を振るわれたり、振るったりしたことを親に報告しなければならないときほどつらいときはない、せめて壊れたところはすぐに修繕して、一時保護した子供たちに少しでも安心できるいい環境を与えたい。これは当然の思いだと思います。
 確かに今、一時保護所の整備、改修には補助金があります。しかし、児童相談所と一時保護所が一体化しているところが多いために、一時保護所だけの二分の一の補助だけでは、なかなか自治体は踏み切れないというのが実態だと思います。
 私は、ぜひ大臣にこの現場を直接見ていただきたいと思いますし、また同時に、一時保護は国が措置をしているわけですから、その一時保護所の整備に関しては一〇〇%国が責任を負うという立場をとるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 一時保護所、私は福岡で拝見をさせていただいたわけでありますが、ここはかなり質の高いところでありまして、ツーフロアあって、一つは個室、それもかなりゆとりのある個室で、丁寧な子供たちのケアをしているというふうに拝見をしました。しかし、それが全てでは決してないということはそのとおりだと思います。
 虐待などを受けた子供について、迅速に安全を確保するとともに、支援につながるためのアセスメントを行うということで、そういう機能のためにあるものでございますけれども、一時保護を必要とする子供の数は増加の一途、また、入所率が常に一〇〇%前後。ですから、今、相部屋になったり、いろいろな種類の問題を抱えている子が入っているということで、そういうことから、適切な処遇を確保するための整備を推進する必要があるということはそのとおりであります。
 一時保護される子供は、その背景も、虐待、非行、養育困難、さまざまでありまして、一時保護所のほかに、里親等への委託を含めて、個々の状況に応じた支援を行うことが重要だというふうに思っています。
 社会保障審議会児童部会の新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会、ここで今、児童福祉法の改正を議論しておりますが、個別対応を基本とした環境整備について御意見をいただいておりまして、昨年末に政府として取りまとめた先ほどのプロジェクト、対策強化のプロジェクト、ここにおいて、一時保護所の環境改善、それから量的な拡大を盛り込んだわけでございます。
 このため、二十七年度補正予算において、一時保護所における居室の小規模化、それから、年齢、入所事由に応じた処遇の確保を緊急に図るため、特例的に、国の補助、今お話がありましたが、二分の一相当から三分の二相当に上げるということをさせていただき、また整備の促進をそれによって図ろうということで、二十八年度以降も適切な整備の推進に努めていかなければならないというふうに思っております。
○斉藤(和)分科員 ぜひ、補正だけではなくて、通常の予算の方でも三分の二にかさ上げをするぐらいのことをやらないと、やはりなかなかこうした実態というのは変わっていかない。財政難でなかなか自治体も大変、だからこそ、やはり国が音頭をとっていくということが非常に重要になってくるというふうに感じております。
 施設の話、大臣からもございましたけれども、さまざまな子供たちが、非行も含めて入ります。ある児童相談所では、触法の百八十センチを超える少年を、虐待を受けた幼児たちが非常に怖がって、不安定になってしまった。当然だと思います。幼児たちの心理的負担は相当だと思いますけれども、こうした一時保護所の実態、これを改善する上で、個室だとか環境改善が必要だということは、今、大臣の口からありました。
 この児童相談所は、ツーフロアでとおっしゃいましたけれども、非常に新しい施設なので、やはり何とか幼児を安定させなきゃいけない、不安にさせちゃいけないということで、児相の職員の皆さんが、レクリエーションルーム、遊び場にしていたところを潰して、幼児たちの、生活し、寝て、食事もできるという、別の場所をつくったんです。これは、新しい施設だったから、要は遊び場を潰してしまいましたけれども、できました。
 しかし、先ほどのパネルで示した中央児相は、もう既に、あいている部屋はありません。しかも、十五畳の部屋に小学生男子十人が布団を敷いて寝る、そのすき間に男性職員が一緒になって寝るとか、そういうきつきつの状態になっているわけです。階段の下のところにクッションマットを敷いていたんです。どうしたんですかと聞いたら、部屋がないので、暴れ出した子の、要は心を休めるための場所がその階段の下なんですよ、つまり廊下なんですね。そういう状況なんです。
 こうした状況になってしまう背景には、一時保護所の設置基準というのが、児童養護施設に準ずるというふうになっています。やはりそれぞれの、児童養護施設と一時保護所の施設の役割や、そこで生活する子供たちの実情というのは違うわけですから、一時保護所独自の設置基準に私はすべきではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。
○塩崎国務大臣 今お話がありましたように、一時保護所について、設備、運営については、児童養護施設の面積とか職員配置などに係る基準を準用するという形で今日までやってきたのは御指摘のとおりであります。
 先ほど申し上げた専門委員会の場でさまざまな議論を今回いただいておりまして、その中で、個別対応を基本とした基準の見直しについて御意見をいただいているところでございますので、今後、そのあり方について検討し、また、新しい時代にふさわしい一時保護所をつくらなければならないというふうに思います。
○斉藤(和)分科員 ぜひ前向きに検討をお願いいたします。
 やはり現場は、子供を守ろうと必死に努力し、いろいろな工夫をして踏ん張っています。その現場の思いに応えて、一人一人の子供たちの状況に合わせた、今大臣がおっしゃられた個別のケアができる人的、施設的体制をぜひ国の責任で進めていただくことを最後に強調して、質問を終わります。
 ありがとうございました。