TPPで遺伝子組み換え食品が流入 通関制度、共済制度も崩される
投稿日:2016年11月18日

192-衆-環太平洋パートナーシッ…-9号 平成28年10月28日

○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
 遺伝子組み換え食品について質問をさせていただきます。
 遺伝子組み換え食品は、TPP協定の中で、第二章、内国民待遇及び物品の市場アクセス、第二十七条、現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易に位置づけられています。こうした、TPPのように、市場アクセスのようなところに遺伝子組み換えを位置づけている貿易協定は初めてだと思います。WTO協定にもFTAにもないと思いますが、間違いありませんか。大臣、いかがでしょうか、石原大臣。

○石原国務大臣 APECといったような国際的な場でこれまで議論されてきて、ここに入っているというふうに認識しております。そして、前段の御質問は、委員の御指摘のとおりでございます。

○斉藤(和)委員 つまり、今までの貿易協定の中に、市場アクセスというような場所に遺伝子組み換えは入っていないということでよろしいでしょうか。もう一度お願いいたします。

○石原国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたとおり、APEC等々の場でこの議論がなされ、この中に入っておりまして、過去の貿易協定等々には入っておりません。

○斉藤(和)委員 つまり、貿易協定の中に入っているものは日本は結んでいない、今までとは違う新たな遺伝子組み換え食品の貿易に関するルールを今回のTPPで導入するということになります。その意味をどのように石原大臣は捉えていらっしゃるでしょうか。

○石原国務大臣 お答えいたしたいと思います。
 いわゆる未承認の遺伝子組み換え作物が微量に混入した作物の輸入の未然防止、発生時の迅速な対応のため、TPP締約国の間で協力や情報交換を図ろう、そういうことが入っているということは、もう委員御存じのとおりだと思います。この点、第二章二十七条第一項に、「現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易に関する透明性、協力及び情報交換の重要性を確認する。」と明示的に規定をさせていただいております。
 いずれにいたしましても、委員が御指摘のこの二十七条では、この条のいかなる規定も、締約国に対し、自国の領域においていわゆる遺伝子組み換え製品を規制するための自国の法令、政策の修正を求めるものではないと明確に書かせていただいておりますので、何ら変更を求められるものではございませんし、我が国の規制をしっかりと守っていくということだと認識をしております。

○斉藤(和)委員 つまり、この新しく結ぶTPPで遺伝子組み換えの貿易のルールというのを新たに結ぶわけですけれども、これによって遺伝子組み換え食品の貿易が拡大するということはないというふうにお考えでしょうか。

○石原国務大臣 先ほどの御答弁と同じになってしまうんですけれども、自国の法令あるいは政策の修正を求めるものではないということが明確化されておりますので、委員の御懸念は当たらないと考えております。

○斉藤(和)委員 御懸念は当たらないということですけれども、懸念はあるわけです。
 この規定は、承認されていない遺伝子組み換え食品の微量混入による貿易の中断の影響を縮小することや、そもそも中断をさせないためにどうするかという構成になっています。
 例えば、二十七条の八には、未承認遺伝子組み換えの微量混入、いわゆる「LLPの発生による貿易の混乱の可能性を減ずるため、」として、遺伝子組み換え食品の新規承認を促進することが明記されています。さらには、そのために、現代バイオテクノロジー生産品、先ほどもありましたが、作業部会が設置されることにもなっています。
 遺伝子組み換え食品の国際流通がTPP協定のもとで推進されることになるというふうに読めるんですが、いかがでしょうか。

○石原国務大臣 そこの読み方は、私どもと見解を異にしていると思います。
 すなわち、今委員が御指摘になりましたTPP協定第二章二十七条十項に明記されております、いわゆる情報交換と協力の読み方でございますけれども、これは遺伝子組み換え食品の貿易促進を目的とする場ではないということは明確に書かれておりますので、委員の御懸念のとおり、それによりましてどんどんと遺伝子組み換え食品を日本の法の目を抜けて輸入をする、そういうことはないものと承知をしております。

○斉藤(和)委員 そうおっしゃいますけれども、穀物メジャーの有名なカーギル社は、我々は、農業バイオテクノロジーの条項が盛り込まれたこと、作業部会が設置されたことに勇気づけられていると、米国の貿易委員会公聴会準備書面で明言しています。
 この条項の真の狙いが、まさに、穀物メジャーのカーギル社が言うように、私たちは勇気づけられたと言うように、拡大するということにあるのではないですか。いかがでしょうか。

○石原国務大臣 先ほども御答弁させていただいたんですけれども、委員が御指摘の、TPP協定二十七章三条の規定において、作業部会の決定というものは、いずれの国からも反対がないこと、先ほども議論になっておるんですが、コンセンサス方式でございますので、カーギル社の意図するところが私には理解できないわけでございます。

○斉藤(和)委員 コンセンサス方式と言いますけれども、やはり、穀物メジャーがここまで言っているということに私は危機感を持つべきだというふうに思うんです。そういう危機感を持たない中で、相互協力だ、コンセンサスを得るんだ、そういう立場に、私は非常に、本当にこれで国民の食料が守れるのか、健康が守れるのかという疑念を持つわけです。
 さらに問題なのは、現代バイオテクノロジーの作業部会の取り扱いです。
 二十七条の十には、「締約国間において、現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易について相互に関心を有している場合には、協力を更に促進すること。」というふうに書かれています。「相互に関心を有している場合」、この場合、協議の対象に表示の問題というのはなり得ると思いますが、いかがでしょうか。

○石原国務大臣 斉藤委員が今御指摘されましたように、「相互に」ということがついておりますので、私どもは委員と同じ立場でございまして、国民の皆様方が不安に感じるような遺伝子組み換え、ただし、この作業部会が置かれたということは、やはり情報交換ができるというところにメリットがあると思います。
 というのは、どういうものが入っているのかということはなかなか分析できないわけでございます。こういうものがこういうものにはこう入っているということを情報交換することによって、作業部会で委員の御懸念に応えられるものが生み出されていくものと承知をしております。

○斉藤(和)委員 そもそも作業部会に誰が入るのかということもブラックボックスになっていて、まだ明確になっていないわけですね。
 今私が質問したのは、この作業部会で表示というのは協議の対象になり得るんですかというふうに聞きました。いかがでしょうか。

○石原国務大臣 協議の対象には全てのものがなると思うんです。しかし、どうするか、何をするかということについては、「相互に」というところがついておりますので、そこのところは委員の御懸念に当たらないと認識しております。

○斉藤(和)委員 つまり、全てのものが協議の対象になるということです。
 ことしの例えば七月二十九日、オバマ大統領がアメリカの遺伝子組み換え食品表示法に署名をし、アメリカ史上初めて遺伝子組み換え食品表示が法律で義務化されました。
 問題は、アメリカの遺伝子組み換え食品表示法で、遺伝子組み換え食品の表示にQR表示やバーコード表示が認められることになりました。
 もともと、アメリカの食品メーカーは、遺伝子組み換え表示に反対をしてきたわけです。しかし、消費者の運動などによって、州単位での遺伝子組み換え食品の表示が導入をされていく。こうした中で、アメリカの食品メーカーは、州の表示は廃止をする、そのかわり、QR表示やバーコード表示を導入することを法案成立の前提とするということで、要するに、アメリカの食品メーカーにとって、QR表示、バーコード表示というのは表示を書き込む上で大前提になっているわけです。
 そこで、お聞きします。
 仮に、遺伝子組み換え食品の表示としてQR表示やバーコード表示されたアメリカの食品を日本に輸入された場合、輸入する場合、どのように対応をするんでしょうか。

○松本副大臣 お答えをいたします。
 今、アメリカにおいてそのQR表示というものが認められることになった米国の遺伝子組み換え食品表示法の話につきましては、今先生のお話があったとおりであります。
 これを受けてでありますけれども、食品の表示でありますけれども、食品を選択する際の重要な判断材料というふうになるものと考えておりまして、消費者が求める情報が適切に表示されることで、安心して食品が購入できるものと承知をしております。
 次に、先ほど石原大臣からもお話があったところでありますけれども、海外からの輸入品であっても、国内で流通する際には、我が国の法律である食品表示法に基づく食品表示基準に沿って、遺伝子組み換え農産物である旨、または遺伝子組み換え農産物が使用されている旨の表示を行う必要がございます。
 食品表示法におきましては、事業者に対しまして、基本的に食品容器包装に義務表示事項を表示する義務を課しているところでもありまして、米国の遺伝子組み換え食品表示法のようにQRコードのみにより表示する方法は、我が国においては認められておりません。
 仮に、議員が御懸念を感じているように、QRコードを我が国においても義務表示の方法として認めることについては、我が国においては、消費者はまず食品の容器包装に表示されている情報を確認するということ、高齢者などの中にはインターネットリテラシーが十分でない方もいることなどから、遺伝子組み換え表示を含む義務表示事項につきましては、容器包装への表示により行うことが適当であるというふうに考えておりまして、委員の御懸念は当たらないものと考えております。

○斉藤(和)委員 要するに、遺伝子組み換えの表示のQR表示やバーコード表示があったとしても、日本では認められないと。
 アメリカの食品メーカーというのは、先ほどもう既に答えられましたけれども、QR表示やバーコード表示は日本ではやらないというふうにおっしゃいました。しかし、QR表示、バーコード表示というのがアメリカでやられることになれば、アメリカの食品メーカーにしてみれば、それをやらないことは非関税障壁になる、こう言われる可能性はあるわけです。それが、将来、非関税障壁の撤廃を柱にしているTPP協定のもとで、日本に対してQR表示やバーコード表示を導入しろという圧力になりかねないと思うんですが、いかがでしょうか。

○澁谷政府参考人 お答え申し上げます。
 石原大臣からもう既に御説明をさせていただいておりますけれども、作業部会でそのような議論がされるのではないかという御懸念かと思いますが、この作業部会に関しましては、各締約国が自国の法令及び政策に従うことを条件としてということが明記されております。この第二十七条につきましては、各条項にそれぞれこの法令及び政策に従うことというのを明記しておりますので、御懸念は当たらないというふうに考えております。

○斉藤(和)委員 情報交換という言葉だけだったらよかったんです。協力という言葉が入っている。そこに、私は、もっと真剣にこのことの意味を政府として考えるべきだというふうに思うわけです。
 表示は、国民の選ぶ権利、まさに基本的人権の権利に当たるわけですから、絶対にこういう圧力に負けるようなことは許されないわけですし、逆に言えば、こういう非関税障壁になるようなことは全て撤廃するというTPPそのものが、私は、本当に国民の権利を守る、そういう協定なのかというところに疑問を持つわけです。
 次に、第五章の問題に進みます。
 税関当局及び貿易円滑化についてという章が立てられています。
 この章での最大の問題点は、第十条で四十八時間通関制度が明記されたことです。条文では、「自国の関税法令の遵守を確保するために必要な期間内(可能な限り物品の到着後四十八時間以内)に物品の引取りを許可することについて定めること。」というふうになっています。
 この四十八時間通関制度は、TPP協定の原協定であるP4協定で導入されたもので、これがTPP協定にそのまま引き継がれたものだということですが、これまでのFTAなどの貿易協定の中で、こうした通関に時間を書き込んだものというのはあるんでしょうか。

○木原副大臣 斉藤委員にお答えいたします。
 これまで我が国が締結した貿易協定において、貨物の引き取りの許可に関する具体的な期限を定めたものはなく、TPP協定が初めての事例であると承知しております。

○斉藤(和)委員 つまり、日本にとって初めて期限を切って結ぶのが今回のTPPということになるわけです。
 そこで、財務省にお聞きします。
 日本における一般貨物と他法令該当貨物の輸入手続の平均所要時間、二〇〇九年と二〇一五年分、それぞれ明らかにしてください。

○木原副大臣 財務省が二〇一五年に行った輸入手続の所要時間調査における海上貨物の入港から輸入許可までの平均所要時間でございますが、一般貨物全体では五十九・五時間、他法令該当貨物は八十五・六時間となっております。
 また、二〇〇九年の調査では、一般貨物全体では六十二・四時間、他法令該当貨物は九十二・五時間となっており、この六年間で一定の短縮がなされていると承知しております。

○斉藤(和)委員 つまり、現時点、二〇一五年の時点でも、一般貨物で五十九・五時間、動植物検疫などにかかわる他法令該当貨物においては八十五・六時間で今現在通関がやられているわけです。これを四十八時間で通関させるということは、どう考えても無理があるというふうに思うわけです。
 これに対して、財務省、厚生労働省、農林水産省それぞれに、どういうふうに対応しようというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

○木原副大臣 まず、我が国の関税法では、検疫等の関税関係法令以外の法令に基づく手続が必要な貨物については、輸入者がその手続を経た上で、輸入申告に係る審査の際、税関に手続の完了を証明することが必要とされております。
 この点、TPP貿易円滑化の章では、「自国が課する引取りのための要件が満たされていない場合において物品の引取りを許可することを要求するものではない。」と規定をしているところです。したがって、TPP協定の発効後であっても、検疫等の手続が終わっていない貨物を四十八時間以内に通関させなければならなくなるものではなく、必要な手続が適切に実施されるものと承知しております。

○古屋副大臣 お答えいたします。
 TPP協定第五章、税関当局及び貿易円滑化章第五・十条一項におきまして、「締約国に対し、」「引取りのための要件が満たされていない場合において物品の引取りを許可することを要求するものではない。」と明記をされております。
 したがいまして、食品衛生法に基づく審査や検査など必要な輸入手続の結果、到着後四十八時間を超えて輸入許可が行われたとしても、TPP協定に違反するものではないと考えております。
 引き続き、輸入食品の検査を着実に実施し、食品の安全を確保してまいりたいと思います。

○山本(有)国務大臣 御指摘の第五章十条一の第二文に、「自国が課する引取りのための要件が満たされていない場合において物品の引取りを許可することを要求するものではない。」と念のための規定が置かれておりまして、検疫が終わっていない貨物を四十八時間以内に通関させなければならないわけではないということでございます。
 我が国の動植物検疫につきましては、我が国への家畜の伝染病や植物の病害虫の侵入を防止するために必要十分な水準の検疫措置を講じなければならないし、TPPはこれに抵抗する、あるいはこれを妨げるものではありません。

○斉藤(和)委員 皆さん、要は四十八時間以内に通過させなければならないというふうなものではない、必要な手続は行うというふうに答えられていらっしゃいました。
 先ほども言ったんですが、時間を書き込む協定というのは、今まで日本は結んでいないわけです。それをあえてTPPでは四十八時間にした。しかも、二〇〇九年から二〇一五年の間、現に、先ほどお答えいただいたとおり、日本の一般貨物や他法令該当貨物においても、一定、この通関をするための時間を短縮するという努力が行われているわけです。
 日本が幾ら四十八時間は守らなくてもいいんだと言っても、四十八時間、「可能な限り」と書いているんだから、これをやらなくていいのかというふうに言われかねないわけです。逆に言えば、守らなくていいものであるなら、あえて四十八時間と協定に書き込まなければよかったというふうに思うわけです。
 その辺、やはり先ほども言ったとおり、四十八時間という時間が入った協定がTPPなわけです。それを日本はこれから結ぼうとしているわけです。その意味の重みをやはりよく考える必要があるのではないかと思うわけです。
 厚生労働省は、今までと変わらないというふうなことをおっしゃいましたけれども、既に、輸出国登録施設制度の導入で、自主検査を五年間省略する仕組みを検討しているということを聞いているんですが、いかがでしょうか。

○古屋副大臣 現在、検疫所におきまして、初めて輸入される食品や継続的に輸入をされる食品につきましては、輸入業者に対して、全量をとめ置いて検査を行うよう指導をいたしております。
 御指摘の輸出国登録施設制度は、食品衛生管理手法の国際基準でありますHACCPを導入していることを要件として、登録された施設で製造された輸入食品につきまして、この指導に基づく検査内容の簡素化を行うことができるかどうか、現在、検討をしているものでございます。
 このHACCPとは、食品の製造事業者みずからが食品によるリスクを把握し、原材料の入荷から出荷までの重要な工程を管理する、合理的で有効性が高い手法であります。
 このため、HACCPを導入している施設から輸入される食品につきましては、効果的な衛生管理が実施されているため、一定の安全性が確保されていると評価できることから、指導検査の内容を簡素化できるかどうかについて検討しているものでありまして、そもそも、四十八時間通関制度に対応することを念頭に置いたものではございません。
 なお、仮に指導検査の簡素化を行うとした場合であっても、引き続き、検疫所が実施するモニタリング検査の対象となります。また、検査の結果、違反が確認された場合には、他の違反食品と同様、命令検査による全量とめ置きの検査を行うこととなります。
 国際標準でありますHACCPによって管理された食品の輸入を促進することで輸入食品の安全性を高めるとともに、引き続き、リスクに応じた輸入食品の検査等を着実に実施することにより、食品の安全性確保に努めてまいります。

○斉藤(和)委員 つまり、検査を簡素化する動きというのは既に始まっているわけです。
 さらに、問題は、前段の第五章九条には「危険度に応じた管理手法」というのが明記されています。「危険度の低い物品の通関及び移動を簡素化する、」と書かれています。これは重大な問題です。
 なぜなら、危険度が高いか低いかというのは、検査をしなければわかりません。危険度が低いものだからといって無検査で輸入されたら、そこに仮に、もしかしたら潜んでいるウイルスや動植物の侵入を許すことになりかねません。ましてや、四十八時間通関制で、その目標の達成のために、危険度の高いレベルの基準を低いレベルに引き下げてしまうようなことがあれば、国民の命と日本の農林水産業に重大な脅威になりかねないわけです。
 そうならないという保証はあるんでしょうか。農林水産大臣、いかがでしょうか。

○山本(有)国務大臣 今御指摘のTPP貿易円滑化章の規定、これは、税関当局が行う検査活動に係る管理手法について、リスクの高い貨物になるべく資源を集中させるといった旨を述べているものでございます。動植物検疫のような、税関以外の手続の内容について規定したものではございません。
 既に、動植物検疫では、WTO・SPS協定、衛生植物検疫措置に関する協定に規定された権利に基づきまして、動物または植物の生命または健康に対する危険性の評価を行い、危険性に応じた検査手続等の検疫措置を定めて実施しているところでございます。
 このような疾病や病害虫の危険度に応じて行われる輸入検査が、TPP協定の発効により簡素化することにはならないところでございます。

○斉藤(和)委員 簡素化することではないというふうに言われていますけれども、第五章の九条の二には、「貿易を円滑にするため、」「危険度に応じた管理手法の制度を定期的に見直し、及び更新する。」というふうになっているわけです。日本の制度は変わらないという保証は全くないわけで、極めて重大な協定の中身になっていると言わざるを得ません。
 次に、ちょっと時間もないので、TPPと共済についてお聞きをします。
 私ども日本共産党は、日本の共済制度というのは、日本の国民にとって極めて重要な制度であり、守り抜かなければならない制度だと考えています。
 しかし、TPPでは、金融サービスが第十一章に設けられています。定義の中に「「金融サービス」とは、金融の性質を有する全てのサービスをいう。」とされていますが、ここに共済は含まれるでしょうか。そして、他の国から共済の問題が指摘された場合、二十条の協議だとか二十一条の紛争解決の規定の対象になるのか。さらには、ISDSで相手が提訴してくることがあった場合、それを防ぐことができるのか。
 以上三点、お答えいただきたいんですが、いかがでしょうか。

○石原国務大臣 TPP協定には、実は、共済特有の規定はございません。ですから、委員の今のような、含まれる、含まれないという御質問になるんだと思います。
 その中で、やはり共済といっても多様な形式が存在しているんだと思います。法令上の根拠の有無、提供主体の性質、国費が入っている、入っていないといったような、そんな違いもあると思います。金融サービス章が適用されるか否かは、同章の適用除外の規定にそれぞれの共済が該当するか該当しないか、すなわち、国費一〇〇%の共済は適用されない、こういうふうに解釈をしているわけでございます。
 なお、同章の適用される共済については、他の締約国の金融機関等に対し、同様の状況において差別的な措置を課すなどといった金融サービス章に抵触する措置は行っておりません。これが一番目のお答えでございます。
 そして、二番目、いわゆる紛争解決等の協議のところでございます。
 我が国には、先ほどもお話をさせていただきましたように、さまざまな共済がいろいろな形で存在をしているわけでございます。金融サービス章が適用されるものとされないものがあるというわけでございます。金融サービス章が適用される共済については、第十一章の規定の対象となることはそのとおりでございます。
 いずれにいたしましても、金融サービス章が適用される共済について、他の締約国の金融機関等に対し差別的な措置を課すなどといった同章に抵触する措置は行っていないと御理解をいただければいいと思います。
 それと、ISDSでございますけれども、共済にかかわる措置についてISDSで訴えられる可能性がありますのは、これは極めて限定的でございます。例えば、あるところの共済が火事になった。日本でいえば、どんなところでも消防車が来て消すのは当たり前ですけれども、そうでないことがありますので、そういう、消防等、最低限の待遇を与える義務。そして、補償ですね、何かあったときの補償。正当な補償を伴わない収用の禁止などの規定に違反した場合に実は限定されております。我が国がこれらの義務に反する措置をとるということは、今、消防の例を出させて御説明させていただきましたけれども、考えにくいわけですね。
 したがいまして、我が国の共済については、ISDSにより提訴されることは想定されておりません。

○斉藤(和)委員 つまり、金融サービスのこの章に適用されるものもある。二十条、二十一条にかかわることもあり得る。
 ISDSについては想定されていないということだったんですが、提訴そのものを相手国がやってくる場合、それを防ぐということはできるんでしょうか。

○澁谷政府参考人 違反がないにもかかわらず、万々が一提訴されたという場合、これはいわゆる濫訴に当たるということで、当該請求が仲裁廷の権限の範囲外だという理由で却下されるということになると承知しております。
 いずれにいたしましても、提訴されて、それが損害賠償まで発展するというのは、TPPのチャプターの義務に違反する措置を我が国がとったという場合でございますので、大臣が先ほど御説明したとおり、それはおよそ想定しがたいということでございます。

○斉藤(和)委員 つまり、提訴できないわけではないということです。この規定を使って共済が攻撃されかねないという懸念があるわけです。
 既に、よく考えていただきたいのは、二〇一五年十二月に在日米国商工会議所が、「共済等と金融庁監督下の保険会社の間に平等な競争環境の確立を」との意見書を公表しています。これまでも出されていますが、今までは、JA共済、農協改革を求める問題が中心でした。しかし、今回は、JA共済に限らず、全労済、コープ共済、県民共済、都民共済、中小企業共済全てについて、保険業法下で金融庁監督下の保険会社と同一の監督下に置くことを要求しています。また、保険会社との平等な競争条件が確立されるまでは、共済の事業拡大及び新市場への参入はすべきでないと主張をされているわけです。
 アメリカ政府がこのような要求をTPPの中で求めてくることは容易に考えられるわけですが、いかがでしょうか。

○岸田国務大臣 そもそも、御指摘ありました在日米国商工会議所ですが、定期的に会員企業の意見を取りまとめ、意見書を公表しており、その一環として御指摘の共済に関する意見書も公表されている、このように承知をしております。そして、この意見書において独自の要請を行っているわけであります。
 我が国の協同組合による共済、これは、一定の地域、職業または職域でつながる者が構成した協同組合の内部において、組合員みずからが出資し、その事業を利用し合う、こういった制度であります。広範な組合間の相互扶助活動の一環として行われるものであり、そして、そのような組織の特徴を踏まえた独自の規制が必要ということで、それぞれの組織の所管官庁において法律の範囲内で適正に監督している、こういった制度でありまして、こうした在日米国商工会議所の指摘、現在の制度が共済に競争優位をもたらしているというような指摘、これは全く当たらない、そもそも内容においてこの指摘は当たらないと認識をしております。

○斉藤(和)委員 内容について当たらないという回答でしたが、意見書にはこうも書かれています。共済等への優遇措置は政府が日本の金融資本市場の健全な育成を促進する能力を損なっているとまで批判をし、さらにこう言っています。日本政府による共済等の優遇措置は日本政府に課されているGATS上の義務に反しているとまで批判をされているわけです。
 GATSはWTOのサービスの貿易に関する一般協定のことです。(発言する者あり)GATSです。GATSでいいんです。
 これはつまり、共済をWTOやTPPの紛争案件として取り上げるぞという圧力をかけてきているわけです。TPPが日本の共済制度の重大な脅威になることは明らかです。要は、WTOに訴えるぞ、こういう趣旨を持っているわけです。いかがですか。

○岸田国務大臣 我が国としましては、USTRなど外国政府から不当な指摘があった場合、これは的確に反論をしています。
 しかし、御指摘のような在日米国商工会議所を初め、多くの特定の団体それぞれがいろいろな意見書を出しております。その多くの意見書一つ一つについて反論するということは行っておりません。ただし、御指摘をいただきましたので、いま一度説明をさせていただきましたが、内容において、我が国の共済制度、この指摘のようなことは当たらないということを改めて御説明させていただいている次第であります。

○斉藤(和)委員 いずれにしても、共済がTPPのターゲットになりかねないということは、アメリカが繰り返し求めていることをいっても、あらゆる部面で我々が今持っている権利、こういうものがTPPによって侵されかねないということを改めて強調して、質問を終わります。
 ありがとうございました。