零細漁業者に手厚い漁船保険・漁業共済を 2016年5月11日衆院農水委
投稿日:2016年05月11日

190-衆-農林水産委員会-7号 平成28年05月11日

○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。質問をさせていただきます。
 まず、漁業保険の方から質問をいたします。
 本改正案によって、全国に今四十五ある漁船保険組合が統合されて、新たな全国組合を設立できるようにすることになります。
 その理由の中に、この二十年余り、加入隻数の減少が一貫して進んでいることが挙げられています。これは先ほど来出ていました。
 普通保険の加入隻数は、二〇〇五年から二〇一四年までの十年間で三万五千隻以上が減少したと言われています。将来起こり得る災害に備える上で、事業基盤の強化が何よりも急務であるからということで法案が提出されました。
 そこで、お聞きしたいのが、今後、これまでのように加入隻数の減少というのはとどまるかというと、なかなかそうは言いづらく、減少傾向にある、そうしたときに、安定した保険を維持するとなると、加入している漁民の皆さんからいただく保険料を値上げするということになりはしないかという懸念があるんですが、その辺はいかがでしょうか。

○佐藤政府参考人 斉藤先生の御質問にお答えいたします。
 保険料の算定でございますが、その際には、過去の損害率データをもとに、保険料収入と保険金支出が長期的にバランスするように設計されているところでございます。
 先生御指摘のように、漁船保険への加入隻数は年々減少傾向にあるわけでございますが、この加入隻数の減が損害率に直ちに影響を及ぼすわけではないため、保険料の引き上げには必ずしも結びつかない、このように考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、今回の改正法案によりまして、漁船保険団体の統合一元化後におきましては、全国規模の新組合が設立されることが可能となることから、十分な引受隻数及び引受金額が確保され、今後も安定した事業基盤により保険の運営ができるもの、このように考えているところでございます。

○斉藤(和)委員 必ずしも上がるものではなくて、安定した運営をということでした。
 加入隻数が今後も減少し続けるということは、私はやはりどこかで食いとめなければならないということだと思います。根本的には漁業経営の安定化と有効な資源管理が必要だと考えるわけですが、この点については後でまたお聞きしたいと思います。
 もう一つ、今回の改正の理由に挙がっているのが、やはり東日本大震災で岩手、宮城両県の組合で巨額の保険金支払いが発生したことによって、保険金支払いの財源が不足する事態になったことが挙げられています。
 東日本大震災で漁船が被災し、保険金を受け取ることができるその一方で、個々の漁民の方々が支払う保険料は上がってしまうということが起こっています。津波や災害という、ある意味不可抗力で損害を受けてしまった、こうした場合にも、保険金の支払いを受ければ保険料が上がってしまう、つまり負担がふえるというのは何とかできないものかと思うのは当然だと思うんです。これは、同様に共済の方でも言えることで、養殖共済でも同じようなことが言えます。
 自然災害などの不可抗力にもかかわらず、掛金が上がってしまう。災害という痛手をこうむり、何とか漁業を再開しても、保険料や掛金の負担増になれば、漁民の方からすれば、何とかしてくれよと思うのは当然だと思うわけです。
 特に災害という不可抗力、こうした災害などの場合は、ぜひ何か工夫をしていただいて、漁民の方々の負担増にならないようなやり方を検討していただくことはできないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。
 保険料そして共済掛金の料率でございますが、これはあくまでも、これらの制度が保険制度でありますから、原則として、先ほども説明いたしましたが、過去の損害率のデータをもとに、収入であります保険料、共済掛金と、支出でございます保険金、共済金が長期的にバランスするように設計しているところでございます。
 保険事故につきましては、例えば、自然災害に起因する事故でありましても、漁業者の管理の方法等の人的な要因によりまして被害が左右される側面がありますことから、自然災害とそれ以外を明確に区分するような運用は行っていないところでございまして、一般的な損害保険制度においても同様に行われているというふうに承知しているところでございます。
 ただ、今の保険料率、共済掛金率の算定につきましては、平成二十三年三月に発生した東日本大震災が含まれているわけでございますが、被災した漁業者に過度な負担とならないよう率の据え置きまたは調整を行った、こういう経過はございます。

○斉藤(和)委員 やはり過度な負担にならないような措置というのは今後も引き続きぜひ検討をしていただいて、この保険料の負担によって、漁業を再開しようと思ったけれども、やはり漁業をやめようというふうにならないような下支えをぜひしていただきたいというふうに強調したいと思います。
 次に、全国が、一つの漁船保険の組合が設立されることによって組織が統合され、事務処理なども一元化することで組織の合理化が図られる、経費も節減できるというふうに言われています。そのことによって事務費にかかわる付加保険料を軽減できる可能性があるというお話を伺っています。
 その一方で、先ほど来ありましたとおり、全国の支所の職員配置は今までどおり維持するというふうにおっしゃられています。
 職員の維持というのは当然のことだと思うんですけれども、職員を維持しながら一方で経費を節減していくというのは、具体的にどのような取り組みの中で経費を節減していこう、捻出していこうと考えているんでしょうか。

○加藤大臣政務官 斉藤委員の御質問にお答えいたします。
 組織統合一元化の主目的は、大規模災害が発生した場合であっても保険金支払いが可能となるよう、財政基盤を強化して、将来にわたって事業基盤を安定させることにございます。
 一方、組織体制の見直しが行われる中で、業務の効率化が図られ、これによる経費の削減など必要とされる合理化は当然ながら行われるものと考えております。
 なお、現在想定をされているものにつきましては、事務処理経費について、地域組合ごとではなくて、本所一括の事務処理が可能となることによりましての経費の削減、そしてまた、同一組織のもとで支所間の連携による事故査定の効率化によります出張費等の削減等が考えられるところでございます。

○斉藤(和)委員 職員を維持しながら、事務の合理化だとか、先ほども答弁の中にありましたけれども、北海道の船が鹿児島で事故に遭っても、そこに出張をわざわざせずに査定ができるということなどがありました。
 やはり、そういう職員の皆さんをしっかりと維持しながら全国組織になったことによる有利な面を働かせていくことというのは、非常に大事なことだというふうに感じています。それが経費節減につながり、保険者に還元することができるということは、非常に重要なことではないかなというふうに感じております。
 同時に、これまでは、ほぼ各都道府県ごとに漁船保険組合があり、そこで総会が行われ、方針が話し合われ、役員を選出し、財政の面でもしっかりとチェックをするなど、加入者みずからが組織運営にかかわる民主的な仕組みもあったと思います。
 それが、統合することで、いわゆる、今まで身近で、自分の組織、自分たちの地域の意見がしっかりと運営に反映されると言っていたものが、統合されたことによって、自分たちの意見が反映されなくなるのではないかという危惧を感じるわけですけれども、組合員の皆さんの意見をしっかりと反映させる民主的な手続というのは担保されているのでしょうか。

○加藤大臣政務官 お答えいたします。
 組織統合一元化後も、現在の漁船保険組合は、統合された組合の支所として、地域の漁業者の保険の引き受け等を行う予定としているところでございますし、支所ごとに支所運営委員会が設置されることとなっております。
 この支所運営委員会は、各地域の実情を踏まえた漁船保険事業等を実施していくために、組織運営を行う本所へ地域の意見を集約、具申する等、本所と各地域の組合員とのかけ橋の役割を担う機関となりますので、これによりまして支所の意見を十分に反映させていくことができるもの、このように考えておるところでございます。

○斉藤(和)委員 この改正案を準備するに当たっては、かなり関係団体や組合でも議論をされて、既に全国で統合の決議も上がっていると伺っています。
 ぜひ、今政務官からもありましたとおり、引き続き地域の声がしっかりと反映させられる、そのためにも、支所運営委員会が、おっしゃられたとおり、本当にかけ橋となって、しっかりと機能していけるようにしていくことというのが非常に大事だろうというふうに考えるわけです。
 次に、無事戻しについてお聞きします。
 全国の多くの組合で、例えば、三年以上事故などを起こさなかった場合に、保険金の支払いを受けなかった加入者に対しては、保険料の一部を払い戻す無事戻し制度が今採用されています。先ほど副大臣からあったとおり、今は三十一で行われている。ということは、つまり今四十五の漁船組合のうち十四の組合ではこの無事戻しは実施されていないということになります。
 このように、各組合によって無事戻しについてはばらつきがあるわけですけれども、全国組合に統合された後、この無事戻しの制度というのはどのようになっていくのでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。
 今先生の方から御指摘ございました無事戻しでございますが、これは組合により異なりますが、おおむね三年間無事故だった場合に限定して保険料の還元を行うことでありまして、一つといたしましては、無事故者の実質的な掛金負担を軽減させて、事故率の低い方を加入促進するといったようなこと、もう一つは、漁業者の事故防止に対する意識の高揚によりまして保険金支払いが減少することで、保険事業基盤の安定が図られるという趣旨により実施されてきたものでございます。
 二十六年度の実績でございますが、無事戻しを実施している組合は全四十五組合のうち三十一組合でございますが、無事戻しを行っていない十四組合につきましては、保険の収支上、無事戻しに充てる財源が不足したといったような理由によりまして実施に至らなかったものでございます。
 統合一元化後におきましては、地域による差をつけず、全国一律に統一基準に基づいて無事戻しを行うことを考えておりまして、その詳細は今後、統合一元化が開始される来年四月までに詰めていきたい、このように考えているところでございます。

○斉藤(和)委員 今は十四でやられていないけれども、全国一律でこの無事戻しもやっていくというお話でした。
 加入者の皆さんにとっても、事故がなければ保険金が返ってくるということは非常に利益になりますし、無事故を啓発していく上でも大きな後押しになるものだと考えます。非常に私は重要な制度だと思いますので、ぜひ、三年なければ保険が返ってくるという、今の一番最低ラインというんですか、のところで全国一律の基準にできるようになったらいいなというふうに個人的には思っております。
 次に、特殊保険について伺います。
 これは、戦争、変乱、襲撃、拿捕、抑留の場合に、漁船に生じた損害に対して保険金を支払うという保険になっています。本改正案は、近年でも北方の海域で拿捕事案が発生しており、一定のニーズに応える制度を拡充しつつ安定的に運営を図るものであるのは理解できるわけです。
 しかし、戦争、変乱となると何を指しているのか正直よくわかりません。例えば、民間の船舶戦争保険では、機雷などの兵器の爆発は含まれるが核兵器は除くとか、ストライキなどの争議行為も含むとか、テロや暴動、海賊行為も含むなど、それぞれ類型的に定められているものなどもあります。
 その上で、この特殊保険というのはどのような契約になるのかということと、また、この戦争、変乱というのは何を指しているのか、定義をぜひ教えていただければと思います。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。
 戦争、変乱を填補の対象とする特殊保険につきましては、これは民間保険の船舶戦争保険に相当するものでございまして、戦後、朝鮮動乱の発生に伴い措置されたものでございます。
 漁船でございますが、漁船は航行中や操業中に海上の戦闘行為等に巻き込まれるおそれがございますため、現行の特殊保険におきましては、戦争、変乱についても保険の填補対象としているところでございます。
 なお、漁船保険制度におきましては、このようなリスクを漁船がこうむる可能性があることから、戦争、変乱その他政令で定めるこれに準ずるものを戦乱等としていまして、いろいろな、イラク戦争とかいったような名のつくような大がかりなものだけではなく、海上における戦闘行為や襲撃、拿捕等も広く含むこととしているところでございます。

○斉藤(和)委員 一つ、どのような契約になるのかという質問が。

○佐藤政府参考人 保険契約でございますので、あくまでも保険契約のことでございます。(斉藤(和)委員「期間です。普通保険と特殊保険で期間が違いますよね、契約の」と呼ぶ)
 ですから、今言ったような変乱とか拿捕とか、こういったものについては、例えば船が拿捕等によりまして油や何かを流してしまったときに、現在では対象になっておりませんが、今後、そうした場合には保険契約の中に入りますので、対象になる、こういうことでございます。

○斉藤(和)委員 普通保険と特殊保険で分けているわけですよね。それは、特殊な場合というのは、海外に出ていく、その基本的な、どういう船がこの特殊保険を結ぶのかというところをお聞きしたんですけれども。

○佐藤政府参考人 特殊保険ということでございます。(発言する者あり)
 船といたしましては、四カ月以内に帰ってくるものが対象ということです。(発言する者あり)
 失礼しました。保険期間が四カ月でございます。

○斉藤(和)委員 ちょっと私が説明を受けたのと違うので、あれっと思ったんですけれども、普通保険は一年間で、特殊保険の場合は二から五カ月という枠があったかと思うんですけれども、四カ月というお話だったのでいいんですけれども、特殊保険の場合というのは、まさに海外の広い海域に出ていって、テロだとか変乱だとか、今ありましたように、何か事態に巻き込まれたときの対応のためにつくられている保険だということで、民間の保険会社で言われているような定義というよりも、いろいろな事態を想定して、そういう事態に巻き込まれたときにきちんと救えるような保険になるんだという理解をさせていただきたいと思います。
 次に、共済について伺います。
 改正案では、養殖共済について、先ほどもありましたけれども、これまで、漁協の中で一人でも加入しない人がいると全員加入できなかった制度を改めて、個々の漁業者が個別に加入できるようにするものになりました。これによって加入率の向上を図りたいということなんですけれども、これは非常に大事だというふうに思っています。
 そこで、共済の現在の加入率を見てみると、漁獲共済、養殖共済、特定養殖共済の全体の平均がおよそ七割だとされています。これは漁獲量をもとに割り出した共済の加入率だと思うんですけれども、経営体あるいは漁業者の数に対する加入数の割合というのは把握しているんでしょうか。

○佐藤政府参考人 共済の加入率でございますが、これにつきましては、農水省が取りまとめております漁業・養殖業生産統計年報を用いまして、全国の漁業生産額と加入者の漁業生産金額をもとに算出しているところでございます。
 契約件数ベースの加入率につきましては、当方では把握しておりません。

○斉藤(和)委員 漁獲をもとに七割の人が入っているということです。
 ここにちょっとこだわりたいんですけれども、漁業共済の現場のニーズをつかむ上でも、私は、漁獲量だけではなくて、経営体や漁業者の数でつかむ必要があるのではないかというふうに思っているわけです。
 というのも、漁獲共済の加入率について、例えば個別の漁協をピックアップして、漁業者の数で調べてみました。茨城県では、漁獲量で見ても漁業者の数で見ても、加入率はほぼ一〇〇%。その一方で、鳥取県では、漁獲量で見た加入率は九七%なんですが、漁業者の数で見ると加入率は四五%と、がくっと落ちるわけです。
 漁獲量のみで加入率を見てしまうと、水揚げが大きい船がたくさんあるところは、入っていない人が、入れていない人が仮に多くいても、隠れて見えなくなってしまうわけです。
 しかし、家族経営の、地域に根づいている漁業者の経営を支えていくことは、私は、漁村の地域経済を支え、活性化をしていく上でも、漁獲量の少ない漁業者の実態や要望もしっかりとつかんでいく必要があるのではないかと感じているわけです。
 加入率の低い漁協の支部にお話を聞いてみると、共済に入らない理由に、高齢化などがあり、細々とやっているから共済掛金が高くて払えない、メリットも薄い、逆にメリットがあれば入るんだけれどもという声もありました。
 こうした漁業者の皆さんのニーズをつかむ上で、漁獲量のみで加入率をはかるのではなくて、経営体や漁業者単位でつかむことも必要ではないかと思うんですが、御検討いただけないでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。
 今先生の方から御質問ございました、とり方でございますが、契約件数ベースによりまして加入率の算定といったことは、これは理論的には考えられるわけでございますが、実際の実務を行う上で、母数となる件数を正確に把握するということが非常に困難な面がございます。
 例えば、採貝採藻業におきましては、集団加入しているわけでございますが、漁協が一の契約者として入っておりますが、実際にはこの一つの契約の中に複数の経営体が所属しておる。また、養殖におきましても、一経営体が複数の魚種のそれぞれで契約を結んでおりまして、また、一つの魚種においても年魚ごとに契約を締結しているというようなことで、非常に複雑な作業になるといったような実態があるわけでございます。
 ただ、私どもといたしましては、経営規模の小さな漁業者の方が共済に加入していただくことは非常に重要な課題であると認識しておるところでございまして、当然、加入促進にはしっかり努めていきたい、このように考えているところでございます。

○斉藤(和)委員 なかなか数字的につかむのは困難だけれども、小さな漁業者の方にもぜひ共済に入っていただくように促進するというお話でした。
 地域の漁村を支えている方々というのはどんどん高齢化しているわけで、私はやはり、そういう実情をしっかりとつかんで、その零細な方たちが、何か災害があったからもうこれでやめちゃおうかなというのではなくて、共済に支えてもらって少しでも漁業を続けようというふうに思ってもらえるような、そういう下支えになるようなものを制度としてもしっかりと検討していただきたいということを求めます。
 次に、養殖共済の中に内水面の養殖が入るようになりました。実に、出荷額で見れば、内水面の養殖魚のうち七割がウナギなわけです。共済の加入はウナギの養殖業界からの長年の要望でもありました。
 同時に、今、ウナギの養殖に関しては重大な事態になっているというふうに思うわけです。市場に出回るウナギのほとんどは、天然のシラスウナギを養殖池に入れて育てたものです。一九六〇年代後半までは百トンを超えていたシラスウナギの国内採捕量が年々減少していっているということはいろいろな場面で指摘がされています。
 日本が世界じゅうからウナギを輸入するという状況がある中で、国際的な商取引を規制しようという動きが起こっています。二〇〇八年には、ヨーロッパウナギがワシントン条約附属書2に掲載され、ヨーロッパウナギはほぼ輸入禁止状態になりました。また、二〇一四年には、ニホンウナギ、アメリカウナギが国際自然保護連合のレッドリストに掲載をされています。
 日本は、ウナギの大消費国として、一刻も早くウナギ資源の持続利用に向けた管理が国際的に私は求められているのではないか。こうした状況の中で、日本は、ウナギ養殖業を届け出から許可制に変更をしています。
 しかし、関係各国や自然保護団体の危機感というのは高まっていて、アメリカやEUは、ことし九月に開かれる野生生物の国際的な取引を規制するワシントン条約の締約国会議で、ニホンウナギの貿易規制に向けた提案をするのではないかということが報道をされていました。
 実際は提案されなかったようですけれども、この間のこうした国際的な経緯についてどう捉えているのか、お聞きします。

○佐藤政府参考人 お答えいたします。
 我が国は、EU等、ウナギに関心を有する国、地域に対しまして、ニホンウナギにつきましては、CITESの附属書に掲載して国際取引の規制の対象とするのではなくして、東アジアの関係国、地域の協力によりしっかりした資源管理を行うことが資源の維持と持続可能な利用のために効果的である、こういうことで、附属書への掲載提案を行わないよう繰り返し働きかけを行ってきたところでございます。
 四月二十七日に附属書掲載提案の期限を迎えたわけでございますが、いずれの国からもニホンウナギの附属書掲載提案はなされなかったところでございます。
 なお、EUは、附属書掲載提案は行わなかったものの、ヨーロッパウナギが附属書に掲載された効果の評価や、全てのウナギ種の資源及び取引の状況等について議論する場を設けるというような提案を行ったというふうに承知しているところでございます。

○斉藤(和)委員 全てのウナギについて議論をする場を設けるというお話でしたけれども、その中で、貿易や資源の状況についての実態調査を行う必要があるのではないかというようなことが提案されるようなこともお聞きしています。
 もしウナギについて調査を行うということになれば、日本政府としては、どう受けとめてどう対応しようというふうにお考えでしょうか。

○森山国務大臣 斉藤委員にお答えいたします。
 EUの提案への対応につきましては、その詳細な内容につきまして関係省庁と今後精査した上で検討する必要がありますので、現段階で確たることを申し上げられませんが、ウナギ種について情報収集や評価を行うこと自体は、資源管理に資するとの観点から、一定の意義があると考えております。
 本提案がなされたことは、ウナギ種についての資源管理の取り組みに対する国際的な強い関心のあらわれであるという受けとめもできるのではないかというふうに考えておりますので、我が国としては、今後も、東アジア周辺国、地域に対する働きかけを含め、ニホンウナギの資源管理に引き続き取り組んでいくということが重要なことであるというふうに考えております。

○斉藤(和)委員 資源管理には今後も取り組んでいくというお話でした。もし国際的に調査をやろうというふうになれば、やはり積極的に日本もかかわって、ウナギを継続的にしっかりと利用できる資源管理を行っていくということが必要だろうと思います。
 資源管理にかかわって、藻場、干潟の問題を一つお聞きします。
 藻場、干潟は、豊かな生態系を育む機能を持っていて、水産資源をふやす上でも非常に重要だと考えます。日本は、高度経済成長期以降、産業開発によってコンクリートで海岸を固め、藻場、干潟、生命の揺りかごとも言われるところを壊し続けてきたという経過があります。それをなぞるように、沿岸漁業の漁獲量も、ピークの一九八五年には二百二十六万八千トンあったものが、二〇一四年には百九万八千百五十二トンと大きく減少をしてきています。
 水産庁も、一月に公表した藻場・干潟ビジョンでは、沿岸域の開発によって藻場面積が減少し、干潟機能が低下しているとしており、我が国周辺水域の水産資源の約五割が低水準にある、漁場の環境が悪化しているというふうに認めています。
 こうした認識のもとで、水産基盤整備事業が藻場、干潟造成に軸足を移しているということは非常に重要だと私は思うんですけれども、この間、失われたものが五万七千五百四十ヘクタールに対して、この間の藻場、干潟の造成面積は年間で千三百から千五百ヘクタールにすぎません。
 私は、もっと抜本的な予算の増額が必要ではないかというふうに考えるわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○森山国務大臣 斉藤委員にお答えを申し上げます。
 藻場、干潟は、水産動植物の産卵、生育の場として重要な役割を果たしていると認識をしております。近年、海水温の上昇やウニなどの食害生物によるいそ焼けの進行等により藻場が減少しており、水産資源への影響が懸念をされるところであります。
 このような状況の中で、藻場、干潟の造成につきましては、漁港漁場整備長期計画において、平成二十四年度から二十八年度まででございますが、水産資源の回復や生産力の向上を図るために、五カ年でおおむね五千五百ヘクタールの藻場、干潟を造成する目標を掲げて整備を推進してきております。平成二十四年、二十五年、二十六年、三カ年で三千八百ヘクタール整備をしてまいりましたので、順調に進捗をしていると思っております。
 現在、平成二十九年度を初年度とする次期漁港漁場整備長期計画の策定作業を進めているところであり、この中で、さらなる水産資源の回復や生産力の向上を図るために、藻場、干潟の造成に係る目標設定や内容の充実について鋭意検討を進めているところでございます。

○斉藤(和)委員 ぜひ、二十九年度からの計画も今回を上回るような造成計画にしていただければというふうに思います。
 最後に、サミットの関係でちょっと質問をします。サミットの警備と真珠養殖の問題です。
 伊勢志摩サミット開催に際する警備で、八日間の賢島への通行制限や海上航行制限などが打ち出されています。その時期は、現地では真珠養殖の核入れ作業の最盛期であり、夜明け前から日没まで、手作業で一日約四百個の核を入れる作業をしなければならないという時期にちょうど合います。その際は母貝を作業所に持っていくために船を出す必要があり、現地では警備によって作業に支障が起こるのではないかという不安の声も出されています。
 日本共産党の三重県委員会も、四月の二十五日に三重県知事に対して、真珠養殖は核入れの時期であり、開催当日の二日間を避けたとしても、二十一日から何日も仕事をとめることはできない、仕事ができるように配慮してほしいという申し入れを行ったところです。
 海上保安庁としても、警備によって真珠養殖に支障が出ないように万全の対策を求めたいと思いますが、現状と対策についてお聞きいたします。

○秋本政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員御指摘のとおり、伊勢志摩サミットが開催される賢島周辺海域というのは、大小の島々や入り江、浅瀬が多く、また、真珠養殖などの漁業活動が活発な海域でございます。まさしく地元住民による生活の場となっております。
 こうした地理環境、それから昨今のテロ情勢を踏まえまして、政府といたしましては、自治体等関係機関と緊密に連携しつつ、警備に万全を期すこととしております。
 海上保安庁としましては、こうした政府方針のもと、同海域における警備を的確に実施するため、警察や自治体と連携しつつ、地元の漁業協同組合、それから真珠養殖組合を初めとする関係者に対して説明を行い、地域社会と一体となった警備体制を構築しているところでございます。
 この中で、サミット期間中の賢島周辺海域における船舶の航行につきましては、漁業活動などの生活のために必要がある場合に、事前登録を行っていただくことなどによって円滑に航行ができるように配慮しているところでございます。
 今後とも、関係省庁や自治体と連携して、住民の方々の声をお聞きしつつ、サミット警備に万全を期してまいりたいと思っております。

○斉藤(和)委員 賢島では、土産物店だとか飲食店を中心に、観光客がシャットアウトされるのではないか、影響が出るのではないかという話も出されています。
 真珠養殖ではかなり配慮をされて、航行ができるようにするというお話でしたけれども、やはり十分な配慮をされて、影響が想定される関係者に対してはしっかりとした対策をとることを求めて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。