ちば民報 2022年5月15日付
1議席の重み
全国学者・研究者日本共産党後援会のつどいで、宮地正人・東京大学名誉教授が行った開会あいさつを紹介します。
「7月の参議院選挙は、よかれあしかれ、戦後日本史の中に書き込まれる歴史的な参議院選挙だと思っています。戦後世界史の大きな前進に逆行する国際法を無視した野蛮なロシアのウクライナ侵略は、戦後かつてないほどの大事件にいま発展しつつあります。
アメリカのアフガン侵略、イラク侵略それは、世界の経済システムに、それほど大きい影響を与えたわけではありません。しかし、今回のロシアのウクライナ侵略は、日ごとに全世界経済システムに打撃を与え続けています。また、ロシアの侵略に対する世界的な憤激を踏まえ、アメリカを含むNATO諸国はウクライナへの支援を続け、ロシアの当初の侵略の目的をくじきつつあります。それに対し、ロシアは我々が長年恐れ、阻止し続けてきた核兵器の使用の可能性まで言い出しております。もし、われわれが、核兵器使用ということを許せば、報復攻撃は必然であり、人類史は21世紀の終焉を迎えることになりかねません。
しかも、自公政権は、日本の国民のロシアの侵略への憤激を利用しつつ、敵基地攻撃能力保有と核共有、共同の線に引きずり込もうとしています。1946年戦争の惨禍をなめつくし、2度の原爆投下の被害にあわされた日本国民は、その憲法の中で、核戦争の時代に勝者はいないとし、世界に先駆けて軍事力を放棄し、その後『核を持たず、作らず、持ち込ませず』という非核三原則を国民的な合意としました。いま、このような日本国民の合意がなし崩し的に破壊されようとしております。しかも、独裁資本主義国家ロシアがあのソビエト国家の継続であるという間違った日本国民の中にある根強く残っている偏見は、7月の参議院選挙での自公政権の勝利と言う見方さえ一部マスコミの中に生み出しています。
この時ほど、日本共産党が、この政党の根本精神と方針を広く国民の中に訴え、この方向しかないと国民に語りかけ、来る参議院選挙に勝利しなければならない時はないと私は確信しております。
私個人の研究テーマは幕末維新期であります。日本の独立を勝ち取ろうとする当時の国事活動者が、心に刻んだスローガンがあります。『頼むべからざるを頼まず、頼むべきものを頼む』というものでした。そして、彼らが、ぶれないための座右の銘にしたのが、『百姓、町人の前に恥じず』という大原則でした。21世紀の日本民族の生存のため、また、新自由主義の横暴さに日夜苦しめられている勤労者、農民、そして、中小企業の人々のため、日夜奮闘している日本共産党の勝利への確信を固め」学び、議論しようと呼びかけました。