沿岸漁民がフォーラム 企業の漁業権参入自由化の危険性を強調 沿岸小型漁船まもる資源管理を
投稿日:2017年09月01日

沿岸漁業フォーラム 資源管理の民主化を

 沿岸漁民でつくる「全国沿岸漁民連絡協議会」とNPO法人「21世紀の水産を考える会」は1日、参議院会館で沿岸漁業フォーラムを開きました。漁業関係者、研究者、議員・秘書ら160人が参加しました。
 「亡国の漁業権解放論~資源・地域・国土の崩壊」と題し鈴木宣弘東大大学院教授が特別講演しました。
 鈴木氏は、沿岸の漁業権は、漁業者の集合体としての漁業協同組合に与え、漁業資源の保護や過当な要職を防ぐなど調整が行われており、企業も漁業組合員になることで参加できると紹介。内閣府の規制改革推進会議などで、一般企業に入札などで特別に漁業権を付与する議論が出ていることについて、「とんでもないことだ。外国企業も含め資金力のある企業が漁業権を買い占め、漁民の生活を奪い“この浜から出て行ってください”ということになる。地域が崩壊し、国境の警備、安全保障も弱まる」と話しました。漁協の民主化とともに、沿岸漁業の必要な補助金、水産関税撤廃の国際協定中止の必要性を訴えました。
 第2部として、各地から直面している生活と権利をめぐる問題が報告されました。東日本大震災後の「水産特区」として、企業に漁業権を独自に宮城県が与えた問題では、カキの養殖の出荷時期を守らない、他産地のカキを流用するなどの問題を企業が起こしたことが紹介されました。
 有明海の干拓による漁場汚染の回復を求める運動、東京電力福島第1原発の漁業汚染への対応、岩手県のサケ刺し網漁の解禁を求める裁判闘争が報告されました。
 和歌山県のカツオ漁が4年連続で不漁となっている問題では、熱帯の海域で巻き網で乱獲していることを水産庁に申し入れたことが報告されました。
 クロマグロの国際的な漁業規制への対応でも、大型中型の巻き網が幼魚の集団を乱獲しており、沿岸漁民の釣り漁への過度な規制の是正と必要な所得補償を求める運動が紹介されました。
 日本共産党から紙智子参院議員、斉藤和子衆院議員が参加しました。
(2017年9月2日・しんぶん赤旗)