日本共産党国会議員団 酪農・畜産問題申し入れ【全文】
投稿日:2016年12月12日

 日本共産党国会議員団は12日、農林水産省を訪れ、加工原料乳生産者補給金の大幅引き上げと生産費の保障、指定生乳生産者団体制度見直しの中止、日EU・EPA交渉からの撤退、牛・豚肉の経営安定対策の見直しを申し入れました。紙智子参議院議員と斉藤和子、畠山和也両衆議院議員が参加しました。礒崎陽輔農林水産副大臣が対応しました。
 申し入れは以下の通り。

農林水産大臣 山本 有二殿
酪農・畜産問題に関する申し入れ
2016年12月12日 日本共産党国会議員団

 乳用牛の飼養戸数は2016年2月1日現在で前年より700戸減少し、肉用牛でも2,500戸減少するなど、飼養戸数の減少傾向には歯止めがかからず、酪農・畜産の生産基盤は崩壊寸前ともいえる深刻な状況にある。
 日豪EPAにともなう輸入乳製品・畜産物との競合や円安による輸入飼料価格の高騰、光熱費、燃料代の増加等による生産コストの上昇が、酪農・畜産経営を厳しい状況に追い込んでいる。日豪EPA やTPPによる酪農・畜産物の大幅関税削減は、こうした農家の窮状に追い打ちをかけ、生産基盤の弱体化をすすめるだけである。
 TPP協定の発効が困難になる中、政府は日EU・EPA交渉の年内妥結に向けた動きを加速させている。EU諸国は農業分野でTPPを上回る市場開放を要求しているとも伝えられており、乳製品・畜産物のさらなる輸入拡大がすすめば、日本の酪農・畜産は、壊滅的な打撃を受けることは必至である。
 日本の酪農・畜産が直面する困難な現状を打開するためには、TPPや日EU・EPAなど、際限のない乳製品・畜産物の市場開放路線と決別するとともに、輸入飼料に依存し大規模化に偏重した現在の酪農・畜産政策を、日本の大地に根差した循環型の酪農・畜産経営へ転換することが切実に求められている。そのため、以下申し入れる。

1. 加工原料乳生産者補給金を大幅に引き上げるとともに、生産費を保障する仕組みを構築すること。

2.乳業メーカーとの対等な価格交渉、効率的な集送乳、飲用向け牛乳と乳製品向け牛乳との調整という機能により、牛乳・乳製品の安定供給に重要な役割を果たしてきた指定生乳生産者団体制度の見直しは中止すること。

3.乳製品や豚肉などが競合する日EU・EPA交渉から撤退すること。

4. 牛・豚肉の経営安定対策の見直しについては、直ちに実施すること。

5.肉用子牛生産者補給金制度の保証基準価格は、再生産が可能になるよう改善・充実すること。

6.飼料生産型酪農経営支援事業の交付金単価の引き上げや基準面積などの事業参加要件の緩和等、輸入飼料に依存しない自給飼料型の酪農経営にたいする支援を拡充すること。また、飼料作物の増産を支援するため、水田・畑・採草地への直接支払を拡充すること。

7.飼料価格の高騰による酪農・畜産経営の破たんを防ぐため、配合飼料価格安定基金からの補填を安定的なものにするために万全な財源を確保すること。

8.畜産クラスター関連事業について、規模拡大要件をはずし、家族経営を含めた多様な担い手がとりくめるよう採択要件の弾力化、上限単価の引き上げなど、実情をふまえた改善を図ること。

9.酪農経営安定化支援ヘルパー事業については、必要な予算額を確保するとともに、要員の確保、人材育成の取組への支援等を拡充すること。

10.本年8、9月に日本に来襲した台風によって被災された酪農・畜産農家に対する支援策を一層促進するとともに、被災酪農・畜産農家の営農継続に向けた各種支援対策の円滑な事業推進と予算の確保を図ること。

11. 青森県、新潟県等で発生した高病原性鳥インフルエンザの防疫措置に万全を期すとともに、発生農家をはじめ、移動制限区域内の農家等、生産者支援対策を円滑に進めること。
以上