斉藤和子TPP特委で追及、遺伝子組み換え食品、48時間通関制度、共済
投稿日:2016年10月31日

 斉藤和子衆議院議員は28日、衆院TPP特別委員会で質問しました。TPPにより遺伝子組み換え食品が表示もなしに流入してくる可能性が高まること、TPPに48時間以内の通関が明記されたことで食の安全が重大な危険にさらされることについて政府の姿勢をただしました。また、アメリカの保険会社がTPPの規定を使って、JA共済や全労済、コープ共済、県民共済などのいわゆる制度共済を攻撃してくる可能性について追及しました。

遺伝子組み換え食品が表示もされず輸入される可能性
 斉藤氏は、TPPの2章「内国民待遇および物品の市場アクセス」の27条「現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易」に規定された遺伝子組み換え食品の貿易について、こうした規定はこれまでの貿易協定であるWTO協定や二国間のFTAにはなかったものだと指摘。その上で、「TPPは、未承認遺伝子組み換え食品の微量混入による貿易の混乱を防ぐため、遺伝子組み換え食品の新規承認を促進すると規定しており、そのために現代バイオテクノロジー生産品作業部会まで設置されることになる」とし、「TPP協定のもとで遺伝子組み換え食品の国際流通が推進されることになる」と批判しました。
 石原伸晃TPP担当大臣は「国内法の修正は迫られない。作業部会は貿易促進を目的としていない」と弁明しましたが、斉藤氏は「穀物メジャーのカーギル社は米国貿易委員会公聴会の準備書面で『我々は(TPPに)農業バイオテクノロジーの状況が盛り込まれたこと、作業部会が設置されることに勇気づけられている』と述べている。ここに彼らの真の狙いが表れている」と反論。「そもそも作業部会に誰が入るかもわかっていない」と、カーギルやモンサントなどの巨大企業が入ってくる危険性を指摘し、「TPPには(遺伝子組み換え食品について)相互に関心を有している場合には、協力を更に促進すると書き込まれている。結局協議の対象になるということではないか」と批判しました。
 さらに、斉藤氏は米国で遺伝子組み換え食品表示法が成立したことに触れ、「もともと米国の食品メーカーは遺伝子組み換え表示に反対してきたにもかかわらず、この法律に賛成したのはQRコードやバーコードでの表示が可能になったからだ」と述べ、「彼らにしてみれば、QRやバーコードによる表示を認めてない日本の制度は非関税障壁になる。TPP協定を通じ同様の表示を導入するよう圧力がかけられかねない」と主張しました。

TPPの48時間通関制度は国民の健康を脅かす
 また、斉藤氏は5章「税関当局及び貿易円滑化」の10条「物品の引取り」で48時間通関制度がこれまでの貿易協定で初めて盛り込まれたことを問題視。「一般貨物で59・5時間、動植物検疫や食物検疫などにかかわる貨物では85.6時間かかっている。これを48時間で通関させようというのか」と税関・食品検疫・動植物検疫の各担当大臣に質問しました。
 各大臣は「義務ではない」と言い訳しましたが、斉藤氏は「そうは言っても、今後要求されていく可能性がある。現に、食品の製造業者が製造工程の衛生管理を行うHACCPによる施設で作られた食品を輸入する場合に、検査を簡素化する仕組みの検討がすでに始まっている」と指摘。「TPP本文には『危険度の低い物品の通関および移動を簡素化する』と書かれているが、危険度が高いか低いかなど、検査してみないとわからない。その上、TPPにはこうした管理手法を定期的に見直し、更新する条文になっている。制度が変わらないなど、何の保証もない」と強調しました。

日本の制度共済が壊される
 さらに斉藤氏は、投資家対国家紛仲裁法廷としてTPPで採用されているISDSの制度により、JA共済や全労済、コープ共済、県民共済、都民共済、中小企業共済などの制度共済が標的とされるのではないかと追及。石原大臣は「想定しにくい」と答えましたが、斉藤氏は「在日米国商工会議所がこれらの共済を名指しで挙げて保険会社と同様の規制の下に置くべきだと要求し、『日本政府による共済等の優遇措置は日本政府に課された国際条約上の義務に反している』とまで批判している。これは、紛争案件として取り上げるぞと圧力をかけている」と指摘。「共済をはじめ、我々がいま持っている権利が、TPPによって侵されてしまう」と述べ、批准など到底できないと主張しました。