斉藤和子衆院議員は8日、農林水産委員会で食品添加物の安全性ついて質問しました。20年以上にわたって十分な検証もされないまま野放しで使われてきた「既存添加物」について、早急に安全性を評価し、有害性の有無を確かめるべきだと主張しました。
確かめもせず一括で添加物として指定
日本ではかつて、「天然由来だから大丈夫」という思い込みから1051品目もの添加物が野放しで使われていました。
しかし、消費者運動の進展に伴って、天然添加物の安全性を確かめ、食品添加物の指定をすべきだという声が高まり、政府は1995年に食品衛生法を改正し、天然添加物も指定制度の対象とすることにしました。
ところが、当時の政府はこれら天然添加物を使用していた企業に配慮し、すべての天然添加物を「既存添加物」という別枠を設け、安全性をチェックすることなく一括して食品添加物指定してしまいました。当然、消費者団体などから大きな批判の声が起こりました。
「速やかに安全性見直し」と決議していた
そこで、改正に当たっては以下のような付帯決議がなされました。
「食品添加物の指定及び規格基準並びに残留農薬基準については、国際的基準も考慮しつつ、科学的根拠による安全性評価に基づき指定及び策定を行うとともに、最新の科学的知見に基づき適宜見直しを行うこと。特に、既存の天然添加物については、速やかに安全性の見直しを行い、有害であることが実証された場合には、使用禁止等必要な措置を講じること」
この付帯決議をよりどころに、厚生労働省は少しずつ安全性の確認を進めてきました。平成8年度厚生科学研究報告書「既存天然添加物の安全性評価に関する調査研究」では、欧米での許認可状況や安全性試験の結果などから既存添加物の基本的な安全性について検討し、489品目のうち139品目については、その安全性を確認することが必要であるとされました。
すぐにでも安全性の確認を
一方、このとき「基原、製法、本質等からみて安全と考えられ、早急に検討を行う必要はない」とされたものが109品目あります。このうちのひとつ、「アカネ色素」も問題はないとされていたものでした。
しかし、その後ドイツで行われた試験によって発がん性の可能性があることがわかり、現在では「既存添加物」から削除されて使用が禁止されるに至っています。「天然由来だから」「これまでずっと使ってきたから」では済まされない危険が潜んでいる可能性があるのです。
斉藤氏は「平成8年の段階で早急に検討を行う必要がないとされた109品目についても、安全性評価が必要ではないか」と要求。厚労省は「安全性にかかる情報の収集、検討を進める」と答弁しました。
きちんと検証して本来の指定制度に整理統合すべき
そもそも、食品添加物は食品衛生法10条に基づいて安全性を評価し、規格基準を定め、品質や販売・製造・使用方法を規制すべきものです。斉藤氏は「そうした規制のない『既存添加物』は食品衛生法の付則による経過措置だ。本来の指定制度の枠内に整理統合すべきではないか」と主張し、「本年出版が予定されている食品添加物の企画を定める『食品添加物公定書』に、既存添加物を積極的に掲載していくべきではないか」と求めました。
政府は「引き続き検討作業を進め、規格基準の設定を行う」と答弁しました。
(スタッフK)